トップ・レフト ウォール街の鷲を撃て (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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感想 : 89
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043755028

感想・レビュー・書評

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  • 悪くないけど期待倒れ。

    レビューを見ると、金融の世界に身を置く人には面白いらしいですが、素人の私にはなんで高評価かわからない。

    確かにリアリティーは感じますが、なんかキャラも弱いし、攻防戦もパッとしなくて、感情移入しにくいんですよね。

    前半なんか全くドラマを感じなかったし…

    正直「ハゲタカ」のような興奮は全くありません。

    経済小説にもエンタメを求める人には向かないかも。

  • 本を開いた瞬間にその世界に引き込まれ一気に読了してしまった。邦銀で働くエリートコースにいる男と、邦銀に見切りをつけ外銀へ身を投じた2人の男の戦いを通して両銀行の体質そして気質がよくわかる。外資での評価基準は金を稼ぐ能力でありシンプルで明快である。一方、日系企業の評価基準は社内環境に順応して、いかに上司に気に入られるかにかかっている(全ての企業がそうとはいわないが)。全体主義が馴れ合い主義になっている象徴であろう。日本では転職が欧米諸国に比べ容易ではないというが、それは日本のビジネスパーソンが業界や職種へのプロフェッショナルではなく、彼らが身を置く会社でのプロフェッショナルとなっている所以であろう。力のあるものは例え若者であろうとも重用される欧米文化と違い、出る杭は打たれる文化の日本。このような文化を生み出している老害は早々に企業から退場して頂き、この非効率な文化の体質改善が必要だ。本小説の主人公の一人である龍花が受けた扱いは実際の世界でも珍しくない。能力のあるものはそれに見合う待遇の場所へ移動していく。この日本企業独自の体質を改善しなければ、サムスン電子が日本の優柔な技術者を次々と引き抜いているように、産業の空洞化ならぬ人材の空洞化が進んでいってしまうだろう。

  • 初めて読んだ黒木亮さんの本。シ・ローン団の主幹事行をめぐって邦銀と米国投資銀行が繰り広げる戦い。実際の経済史にも沿っていて、ストーリーの進行を妨げないけれど、とても詳しい解説がしており、とても読みやすい。邦銀の中の雰囲気や、投資銀行のサバイバルな様子もイメージしやすいので、外銀に就職希望してる人も面白いと思います。黒木亮作品の中でピカイチだと思う。

  • 巨大シンジケートローンの立ち上げを題材に対照的な2人の登場人物を絡めて国際金融の舞台裏を描く。邦銀の体質に翻弄されながらも日本に貢献したいという志を貫く今西、そこを飛び出して邦銀に対する怨念を糧に外資系投資銀行で活躍する龍花、この2人は著者の複眼的な物の見方を体現しているのかも。

  • 総合商社ってなんで強いの? なんで日系企業によくある大企業病にならないんだろう?

  • 都銀でエリートコースを進むが自行に対して幻滅もしている今西、元同期で屈辱的な行員生活を送り転職後は外資系金融機関で働く龍花。別の金融機関で働き価値観も全く異なる二人がトルコにおける融資案件で激突する。
    国際協調融資の具体的な動きが生々しく書かれており臨場感がある展開となっている。今西が大事にしているものは日本人的で共感持てる一方で龍花の人生観も全くわからないわけではない。

  • 商社のビジネスを調べる中で引っかかった一冊、国際金融の世界をチラ見できる経済小説。小説の勢いに押されて一気に読めました。

  • ロンドン在住の作者が、投資銀行、邦銀の内情について書いた物語。投資銀行の厳しさが手に取るようにわかった。My word is my bond.というフレーズが心に残った。同じ投資銀行でも米国系と欧州系は違うという事か。

  • 話以前の問題として、なぜ日本は外国語が話せないか、に突き当たる。まずはカタカナ廃止して下さい。各国の言葉が飛び交う国際金融を舞台とするなら、それぞれの言語をそのまま記載し、括弧で日本語訳を入れるか、最初から最後までカタカナに頼らず日本語で書け!
    "ローンチ(進水)"なんて書いてあってもlaunchには結びつき難く、英語圏でローンチなんて言っても通じない(最初は進水の中国語読みなのかと思った)。tombstoneのどこがツームストーンになるのか? スピーキングはspeakingではない。ルビを使うなら、日本語とアルファベットの組み合わせにして欲しい。少しは経済・金融用語も理解可能になる。
    こういうカタカナを如何にも物識りのように使うのは、日本の国際化にとっても百害あって一利なしじゃないのか?

    で、話。龍花が情けない。そして邦銀の上から下までどれだけ戦力がないか書き出しているわけだが、日本を憂う作者としてはどうしたいのか。結局、現状と同じように優秀な現場行員は邦銀に失望して欧米に流出してしまうし、解決策は提示されないまま終わる。

  • 国際金融を舞台にした経済小説。
    世界を相手にしたダイナミズムは圧巻である。
    巨大融資を成功させるまでに様々な問題が持ち上がるが、それらは作者の経験からなのかリアリティがあり、物語に厚みをつけている。
    小説としてもおもしろいが国際金融マンを目指す人にとっては参考書としても読む価値がある本だと思う。

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著者プロフィール

黒木 亮:1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社を経て2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビュー。著書に『巨大投資銀行』『エネルギー』『鉄のあけぼの』『法服の王国』『冬の喝采』『貸し込み』『カラ売り屋』など。英国在住。

「2021年 『カラ売り屋vs仮想通貨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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