- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043943869
感想・レビュー・書評
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酒屋勤務と女子高生。
雑居房。
大家の爺さん。
銭湯でであった腋臭臭い男を、デリヘル嬢から思い出す。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
苦役列車からはまっている貫多。どうしようもない人柄が読んでいて心地いい。
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4つの話をまとめた短編集だが、主人公は皆同じ北町貫多という人物によって作られている、決して連作という構造にもなっていないが、私小説である。
一貫して明治や大正時代の文学作品なんかで使われる古風な言い回しを軽快に描く本作は独特な魅力で溢れている。普段は目にしない難読な漢字が出てきたりもする。自堕落で単純で気まぐれに出来ている主人公と端正な文章との対比をしても面白い。大概どの物語も主人公である貫多が何らかの形で問題を起こし、それを意外な形で結末を迎える独特な面白さがあった。 -
おもろい。笑った。
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この作者の小説は基本的に面白いと思うが、続けて数冊読むと主人公のだめさ加減に辟易とするため、間を開けて読む事をお勧めする。
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図書館で借出。
日雇い労働で得た金はその日のうちに遊興で消尽し、家賃は何ヶ月も滞納、それを詰られれば心中で呪詛の言葉を吐き、シロウトの彼女ができるや練習台になるとほくそ笑み、金の無心に訪れた実家で母の財布から金を引き抜く―
ごくごく単純に何の工夫もなく言ってしまえば、クズである。
しかしこのクズ、案外と「イケるクズ」なのだ。
貫多が抱く憎悪も呪詛も絶望も真実ロクでもないのだけれど、読者の多くは「そういうのあるな~」と妙に共感してしまうところがあるはず。
彼の妙に時代がかった口調やムチャクチャな理屈には、思わず笑ってしまうところもあった。
作者の西村賢太自身がモデルであろう(「自分のことしか書けない」と言うだけに、「あろう」どころかそのものズバリだと思うが)北町貫多は逆恨みの権化のような男だが、心に抱く悪意も殺意も実行するだけの度胸はない。
言うなれば「草食系クズ」である。
どこか可愛げのあるクズの恨み帳のような小説である一方、アウトローが世に唾して生きる小説っぽくも読めるのだが、そこに救いはない。
「わかっちゃいるけどやめられない」式のダメ人間たる貫多だが、彼が「やり直す」ためのよすがとしているのは、唯一「若さ」しかない。
しくじるたびに自己嫌悪や後悔に悶える貫多は、名前に反して何一つ“貫けて”はいない。
作者が私淑する藤澤清造の作品に出会う以前の、10代の頃の話が主であるため、まだ「西村賢太」という人間の軸ができていないのが、そんな印象を与えるのかもしれない。
ところで、この作家はネーミングのセンスがいい。
本人の名前の読みを少しずらした「北町貫多」のやっつけ感も好きだが、作品名がいい。
この短編集に収録されているのは、「貧窶の沼」「春は青いバスに乗って」「潰走」「腋臭風呂」の4編。
これら恥辱にまみれた日々のことを書いた作品集のタイトルが、『二度はゆけぬ町の地図』。
うーむ。いい。 -
2chでスレ立てするレベルの内容
笑えるところもあるし、実体験に基づくのかリアリティがある部分もあるんだけど、なぜか全体通して読むとあまり好きになれない -
題材はヒドいけど文章が素晴らしいです。言葉は近代文学的だけど硬くない。
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「苦役列車」の世界につながる私小説集。
「春は青いバスに乗って」のタイトルと内容のギャップがよい。