- Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061315839
感想・レビュー・書評
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スマホもインターネットも無い時代に、留学生として世界の22ヵ国を笑顔と体力で貧乏旅行をした型破りの紀行記。人間に必要なのは行動力と好奇心と笑顔だということが、この作品を読んで痛感いたしました。全ての若者に読んでほしいと思います。
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アメリカに行ってみるか
観てみよう
観てから、考えれよう
なんでもいいから、この混沌の中で
外に出て、自分のスケールを越える巨大なものに出会いたくなった -
破天荒な生涯を貫いた作家の代表格。26歳でフルブライトによる貧乏旅行で出会う世界各地の人との交流で、様々な思索を展開。朱に染まらない独立心、誰とでも友達になれる人たらし術、相手の肩書や権威にひるまない自尊心、自分で体験しないと気が済まない実行力など今の日本人がなくしたモノを確かに持っていた。その後の活動に毀誉褒貶はあるものの、本書が青春文学の金字塔であることは間違いありません。無粋覚悟でわかりやすい思索の1つを抽出すれば、中高と未だに続く「使えない」英語教育の弊害を英語の予備校講師という立場もあってか1960年にすでに指摘しています。(P416)
佐藤優「十五の夏」とともに、できれば高校生までに読んでおきたい作品の一つです。
小田 実(1932年(昭和7年)6月2日 - 2007年(平成19年)7月30日)は、日本の作家・政治運動家。体験記『何でも見てやろう』で一躍有名になった。日本に多い私小説を批判し、全体小説を目指した。九条の会の呼びかけ人の一人。妻は画家の玄順恵。
大阪府大阪市出身。旧制天王寺中学(のち大阪府立天王寺高等学校)に入学するが、学制改革により新制大阪府立夕陽丘高等学校に進学し、東京大学文学部言語学科を卒業する。大学卒業後は代々木ゼミナールで英語科講師。
1958年(昭和33年)、米フルブライト基金により渡米。その後、一枚の帰国用航空券と持参金200ドルで世界一周旅行に出かけ、一泊1ドルのユースホステルなどに宿泊しながら、世界のあらゆる人たちと語りあった。現在のバックパッカーの走りともいえ、その体験記『何でも見てやろう』はベストセラーとなり、小田実の名前も一躍有名になった。一枚の航空券をもって世界を駆け巡る習慣はその後も続き、小田実の作家活動・思想形成の基本的スタイルとなった。
1960年安保闘争の時期から、平和運動を開始する。ベトナム戦争期は、「ベトナムに平和を!市民連合」(ベ平連)、「日本はこれでいいのか市民連合」を結成。ソビエト連邦の崩壊により、小田がKGBから資金的・物理的援助を受けていたことを裏付けるソ連側の機密文書が公開され、その歴史的評価が大きく下がることとなった。
一貫して市民の立場をとることを信条としている。左翼と見做される場合が多い。マルクス主義には懐疑的で、「マルクス主義における党組織論は、カトリックと似ている」、「マルクス主義者は真理を独占していると考えているが、人間の行動の動機は、財産欲による場合よりも性欲による場合が多い」などと述べている。2005年(平成17年)の衆議院議員選挙では、土井たか子が事実上の政界引退を表明したことに遺憾の意を表し、社会民主党支持を明らかにしている。
竹内洋によると、小田実は『何でも見てやろう』で一躍有名になった当時は、リベラル左派のように見えたという。しかし当時の論壇は、左翼によって席巻されていたため、小田は「良心的」扱いの右翼の扱いだったという。
1970年代に当時の軍事政権に迫害された韓国の金大中の救出運動にも加わったものの、同時に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を「地上の楽園」と賛美するキャンペーンを行った進歩的文化人を代表する一人でもあった。
(ウィキペディア) -
18才で初読、海外を旅したいと思わせてくれた大切な一冊。
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深夜特急を読んでいたからか、とても読みにくかった。
話が飛びまくって 今の状況から逸脱しがち。
途中でやめてしまったけれど、とりあえず手元に置いておいて、海外旅行に行く時にパラっと見てから行くようにしてみるか。 -
昔、角川書店から「バラエティ」という雑誌が出ていた。
そのブックレビューが好きで、小田実の「HIROSHIMA」の紹介のついでに、「何でも見てやろう」も紹介されていた。
僕の購入した講談社文庫の初版が、1979年になっているから、このブックレビューを読んだのは、17か18の時だろう。
それから40年以上経って、この本を読んだ。
熱気とお金がまるで無いのに、明るさや希望さえ感じる。
もし、18歳のとき読んでいれば、もっとこの本が書かれた時代に近かったのに。
40年目にやっと読んだなどと言うと、たいそうなことのようだが、ゲーテの「ファウスト」など中学の頃読みたいと思って、まだ読んでいないのだ。
いつか読みたいものである。
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旅行記といえば深夜特急しか知らなかった。それよりはるか前に世界を貧乏旅行していた人が居た!
なんと日本を出発したのは1958年。最初はアメリカのハーバードへの留学から始まった。戦後わずか10年ほどで、敵国であったアメリカへ、しかも(生活費や交通費も含め)全部費用はアメリカ持ちでただという制度に申し込んで受かったとのこと。当時のアメリカ人にはもはや日本は敵国という意識はなく世界一豊かで栄えていた(ただし黒人差別は残っていた)。逆に日本ブームで特にカメラやZENというものに憧れる人たちがいたという。
当時を知らないボクたちには貴重な資料的作品である。それからそのまま帰国するのではアメリカ文化にだけ浸かったまま世界を知ったことにはならないと、北欧、ヨーロッパ、中近東と渡りインドまで周って帰ってきたという。 -
読もうと思った理由
海外旅行の裏表すべて生々しく書かれた実体験記としてよく読まれているので内容を知りたいと思ったから
著者の行動力、勇気、記憶力、判断力などすごいとしか言いようのない内容でした。各国の文化、風習のちがい、経済、衛生などさまざまな格差も面白かったです。旅行はいろんな人・街・自然・宗教・習慣などの価値観に触れられるし、あらためて日本のすばらしさ、欠点に気付かされるし、人間を2回りも3回りも大きくすると思います。 -
日本の文学青年が1960年という戦後復興中の時期に、バックパッカーとして世界を回った体験記。お金をかけず、ローカルと同じ環境まで入って旅をするスタイルは、刺激を受けた。その国の文化や風習等、衝撃だったことも取り上げながら、断じて差別的なことは書いていないのがすごい。いろんな価値観を認め、旅をするスタンスは、世界を旅することを夢見るものに非常に希望を持たせる。世界旅行を考えるものにとっては必読書。
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小田実が1958〜60年にかけて訪れた国々での紀行文。沢木耕太郎著「深夜特急」が旅のバイブルとして名高いが、その沢木耕太郎が影響を受けた著書。実際、沢木耕太郎は「象が牙を」でその旨を綴っている。確かに、影響を受けた事がよくわかる内容なので深夜特急が好きな人はおそらく好きになるだろう。
今から60年近く前の話なので、政治情勢や物価など時代を感じる場面も多い。しかし、マクロ視点で見た世界の景色というのは今と変わらないのだと感じた。「何でも見てやろう」のタイトルの通り、その気概で世界の上流階級から下流階級までみた著書が帰国後に記した最後の章は正に現代においてもまったく同じであると感じるほどである。