- Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061317772
感想・レビュー・書評
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学生時代に読んで、かっこいい、クールとしびれ、社会人になってから読んで、すかしてるなあ、と思い、少しはなれ、今また手に取ってみると、味わい深く感じられる。
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たぶん、16年ぶりに再読。
もちろん騎士団長殺しを読み終えて、寂しかったから。
なんと瑞々しく、初々しく、ヌーヴェルヴァーグの映画みたいにカッコいいのだろう。アメリカかぶれでもあるけど。
新鮮だった。ちょっと時間をトリップしながら過去のことをサラッと語る。
素敵な小説だったのだ。
すっかり忘れてたけれど。
自分の中の瑞々しさも、取り戻せた。 -
2005年に出した村上春樹の「職業についての小説家」中には、本作の題名が何度も登場してくる。しかし、自分自信で“出来の悪い小説”がたまたまヒットしただけだ。と語っており、そんだけ自分で酷評するのなら見てみたくなり、また、本処女作を見て、「自分でもこれくらいなら書ける」という自信を得たかったためにこの本を読んだ。しかし、やはり村上春樹は最初から村上春樹。常人ではとても及ばぬ域の物語がそこにはある。全体を読了し、意味はないのだ。しかし、この余韻は彼の作品でしか味わえない。そんな読後感が、1Q84や海辺のカフカで得る読後感がこの作品でも味わえていることに驚きを隠せない。確かに小説的手法の枠を超えたものかもしれない。2時間足らずで読み終えてしまう分量だし、手書きの絵も挿入してある。それも良いのだが、やはり文章自体のかっこよさ、情緒には自分もこうであるべきだと憧れるかっこよさには脱帽。久しぶりに村上春樹、彼の空気を吸った。
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月末に新作が発売ということで書店で大いに煽っているが(お祭り気分で買うだろう)、それとは関係なく今年は春樹を読みたいと思っていて、ようやくその足がかりとなるデビュー作の再読を行うことができた。
自分の中で春樹はいつまで経っても「評価保留」の作家である。それはやはり周囲のノイズがあまりに大きすぎるからというのもあるけれど、どの作品を読んでも、良いとも悪いとも、好きとも嫌いともいえるのだ。
中学(か、高校か)以来となる再読だが、当時これを読んだときどんな感想を抱いたかはもうすっかり忘れている。だがおそらく今と同じく「よーわからんな」と思ったのだと思う。やっぱり、よーわからん。
ただ、まだ小説というものをほとんど読んでいなかった当時に比べて今感じることは、この小説の強烈なオリジナリティである。芥川賞の選評などでアメリカ文学の安易な模倣であるとも評されたようだが、しかし現在の、全くここから遠ざかったように感じる春樹の作風と間違いなく繋がっている部分が多くあることに驚く。
そして同時に、現在の春樹にはこの小説の鮮やかな軽やかさはなくなってしまったな、と感じた。それはデビュー作だからこそだろうと思う。
このまま所謂「鼠三部作」を読みたい。 -
職業としての小説家を読んで、デビュー作をまた読んで見たくなった。
30年以上をかけてどんどん深いところまで降りていったこの人のこれが原点。 -
"HAPPY BIRTHDAY AND WHITE CHRISTMAS"
1年ほど前に友達にもらったこの本を、世界から隔絶された一昨日の朝、喋る言葉を失った瞬間に手に取り読み始めた。
移動中の電車の中で。ミッシェルを聴きながら。
新宿に行って帰ってを2回分繰り返してあとがきに辿り着いた。
一番好きな部分を引用する。
「1938年6月のある晴れた日曜日の朝、右手にヒットラーの肖像画を抱え、左手に傘をさしたままエンパイア・ステート・ビルの屋上から飛び下りたのだ。」
もらったこの本の装画は佐々木マキ。
昭和57年7月15日に発行された、初版だった。
この本が私の元まで辿り着いた時間をおもう。 -
当時の文学という存在の地位の高さその理由を踏まえ、文壇の選考方々なんかが読むとビックリしたんだろうな、という印象があった。芥川賞はよく前衛的な作品を好んで受賞作品に選んで来た観点から言えば、本作も類にもれないはずであった。しかしその前衛的に取られる部分がいかんせん良くなかった。だから、まぁ酷評されるのも理解出来る。
そんな世情も一新するほどに変化した現代の若者から言わせると、この小説は強烈なものがあった。特に印象に残っているのは鼠の書く小説では人が死なず、セックスシーンもないとあり、それは敢えて書かなくても皆勝手にするからとあり、なるほどと感嘆したものだった。
理解できない部分もまだ多く残っているが、それでも衝撃を受けるには十分のものだった。 -
5年ぶりぐらいだろうか。再読。
今と全然違う文章ですね。
大体会話。また、細密画のような描写は少ない。
構造もパッチワーク。
確かに、当時これが酷評される理由もわからないでもない。しかし、この味わいはスカスカなところからは出てこないだろう。あまりにモザイクがさりげなさすぎるだけ。
更にこの頃は随分とストレートにメッセージを出していたんだな、と少し嬉しく。 -
懐かしさを感じながら、再読。
二十歳頃読んだときに、心に響いたことを思い出しました。 -
村上春樹のデビュー作ですね。
高校の教科書に載っていた『とんがり焼きの盛衰』を除くと初めての村上春樹作品でした。
ブクロブの談話室で薦めていただいた作品なのですが、短めの話でとても読みやすかったです。
初めて村上春樹を読む人でも読みやすいと思います。