愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061847392

感想・レビュー・書評

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  • 相田剣介、ゼロ、鈴原冬二、狩猟社、フルーツ、社交ビルセルブレティと亡命者収容施設、ザ・マン社長時田史郎、千屋裕之、洞木紘一、山岸良治、クロマニヨン、ザ・セブン、シャノン・フーズ杉ノ原工場。お前が、ゲッベルスになるんだよ、ファシスト。政治経済の部分はつまらない。段々とあきてくる。

  • 1990年に発表され、政治・経済といったテーマへの著者の関心がシフトするきっかけとなった大作。

    政治・経済といったテーマは、数十年経てば独自の面白さがあるだろうが、約20年という中途半端な時間の経過では、その面白さも中途半端なものになってしまう感じがある。大作であり、かつ加速していく物語のドライブ感が読み物として麻薬的な興奮を与えてくれるのは間違いがないのだけれど。

  • 理想の社会とは。日本の荒廃。

  • (2016.11.28)
    (542P)

  • 20年くらい前に読んで、衝撃を受けました。
    大きな事件があるたびに、上巻だけ読み返しています。

  • 主人公がカリスマとなって世の中をウがしてゆく話。本人は狩猟を行うように獲物を逃さない。流れを読むのがうまい。適当な時期によい判断をすることでピンチもチャンスに変える。この本を読むことで世の中のシステムが少しだけわかるような気がする。アメリカとロシアにたかられる日本。宛てにされていない相手にされていない日本など。

  • 「狩猟はそれ自体が快楽だ・・・狩りによって俺達は人間になった」p.9
    「女優とか歌手とかは最高だよ、こう、モヤがかかってる感じでさ・・・売れてない女優はひどいけどね・・・悲しみを抱いてるようなもんでひどいけどな」
    「全ての男は、ハンターで、実業家で、そして芸術家だったんだ」p.173

  • ☆☆☆☆☆
    「システムに抗する人間…」という言葉があるが、この“システム”の捉え方が読む人によって違ってくることでこの本が映し出す世界は違ってくるのかもしれない。
    「ザ・セブン」「アメリカ」「戦後日本の民主主義」。
    小説のうえではボカされた感じで描かれている「ザ・セブン」がその標的として描かれているが、鈴原冬ニの世界観から眺めた社会を想定すると、本のタイトルからしても「民主主義」が当てはまるのではないだろうか。

    私などはこの強固で居心地の良い民主主義の窓から眺めることでしか、今存在している、あるいは過去に存在してきたシステムを想像をすることしかできない。
    だから、そこに違和感を感じたり、都合の悪さを感じたり、時には非難したり、拒絶したりしながら、自分の中で必死にこの愛着のある『民主主義というシステム』を守ろうとしてしまう。

    だけど、時としてみせるこの「民主主義の綻び」にそのシステムの構築の礎となった数多くの人類の歴史の悲劇を忘れかけて、限界を感じて、他のシステムを希求してしまう自分もいる。

    そんな隙間にジワって入り込んでくる魅力的な『狩猟社』。歴史上の様々なシステムの発生とその末路を目にする人は存在しえないから、そのメッセージは伝承されない。だから歴史は繰り返すのだろう。

    先日相模原の津久井やまゆり園で起きた事件は、この「民主主義というシステム」の綻びに限界を感じ、その外のシステムに魅了された者の凶行だが、これを穏やかな言葉でジックリとシステムを変更しながら進める『狩猟社』のような存在が現れる可能性はある。

    そんな可能性を携えて読んでゆくと刺激的で面白い作品です。そして、ゼロという人間の描き方が掴みきれない。
    2016/08/15

  • 大学生以来の再読。今読むとお腹いっぱい感もあるなあ。

  • 劇画の様な娯楽小説。が、そのメッセージは鋭利である。『セブン』と呼ばれるグローバル企業集団を外敵に、国体崩壊寸前の日本で内憂を革命に昇華させようとする狩猟社。 狩りと討論のシーンは血が滾る描写。 『草食』の表現がさらっと使われているが、20年以上前に、これらが蔓延する事を予期して描かれていたのだろうか。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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