愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061847392

感想・レビュー・書評

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  • 1987年に作られた作品であるが、今読んでも新鮮な感じがする。
    日本の閉塞状況をどう打ち破るのか?
    そのことを、暗示させるところがある。

    ハンターであるトウジ(鈴原冬二)は、ゼロ(相田剣介)と出会い
    政治結社 狩猟社 をつくる。
    弱者をころせ。と トウジは平気で言う。
    強者しか生き残れない 時代がやってきていると
    そのカリスマ性を 徐々に 確保していく トウジ。

    暴動、ストライキの中で トウジは 演説をもって
    その群衆のこころを 掌握する。
    トウジは 大衆の期待に応えることができるのか?

    ゼロはフルーツへの手紙
    『君に自信を与えられなかった。
    君は美しくすばらしい女だと今ぼくが何万回言っても信用しないだろう
    ぼくのことを忘れてくれ
    そして君に自信を与えてくれるような男をさがしてくれ』

    百姓や奴隷の眼に卑屈さを感じる。
    獲物をしとめる時の快感は他にない。
    狩猟民族が優れているのだ。
    と 組み立てられた 論理があっても
    システムを壊そうとしてシステムをつくることになる。

    欲望はなぜ起こるのか。
    快楽の深さと情報量の多いものがニンゲンの容量を決める。 

    ファシズムとは 効率のいい 支配形態。
    混沌の時代に 強いリーダーシップを発揮するニンゲンが登場する。
    一方では 多国籍企業の グループである ザセブンが
    経済を支配する。それに,敵対することができるのか。
    今の時代に 革命が できるのか?
    革命は どんなスローガンとなるのか?

  • 10年ぶりのリベンジ。
    読んでて不愉快になりますなあ。
    こんな世界にならないでほしい。
    村上龍は、いつも大事なことがあっさり過ぎてしまう。
    まあでも半島を出よに並ぶ、読みごたえのある作品。
    下巻に期待。

  • 身震いするほど暴力的でありながらも、強く心を揺さぶる作品。今の日本を描いてるのかと思いきや、執筆されたのは1987年。バブル期以前の作品であることに驚きを隠せません。

  • 俺に村上龍の登場人物の要素ってほとんどない。

  • 私には全く理解できなかった。

    世の中を形成している「システム」に反逆したい。
    それはどうぞご勝手に。
    でもそこで「弱者は淘汰されてしかるべき」と掲げて
    堂々とテロに走ったりする、そういう思想や行動に
    強い「嫌悪感」しか抱かなかった。気分が悪い。
    それだけ今の日本と、そして私の周囲が平和だということなんだと思うけれど。

    ほんとは上巻の最初らへんでまじギブアップだったけど
    薦めてくれた友人の手前、すごい時間かけて無理矢理読んだ。
    主人公の鈴原冬二に何のカリスマ性も感じられない。
    その時点でもうこの本を楽しむ資格はなかった。
    本当に申し訳ないけれど、私にはだめでした。
    よんちゃん、ごめん。。。

  • 日本からヒトラーみたいな独裁者が現れて
    日本、果ては世界の政権を取ろうとする話。

    狩猟から農耕へと人間の社会が変化した事が
    今の社会を駄目にしている。強い人間しか
    生きていく資格がない。
    とか、かなり激しい思想の主人公。

    色々考えさせられる作品。
    経済・思想・社会・人間関係・人生の目的など

  • 読んだきっかけは「エヴァンゲリオンの登場人物の元ネタだから」でしたw しかし、一気に村上龍作品にハマるようになりましたね。

    中学生以上なら一度は読んでおいたほうがいいし、政治にも関心が持てる名作かもしれない。 ファシストになるかもしれませんがw

  • 読み進める時は、一体どういうことなのか知りたくて知りたくて、どんどんのめり込んで読んだ。最終的にはぶん投げられたのでスッキリしない。宗教的で少しグロくて、不思議な雰囲気。未来を予想したかのような物語で、2012に読んだが、現代と重なることが多く、驚いた。

  • 25年前くらいに書かれた小説なのに、なんとなく今と時代がかぶるような気がした。政治的なストーリーであるが、描かれている精神はとても野性的。

  • 「間違っちゃいけない、美しいってのはそれだけでパワーがある。」それは小説だってきっと同じ。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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