豆腐小僧双六道中ふりだし

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (676ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062122146

感想・レビュー・書評

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  • 妖怪発生のメカニズムを、豆腐小僧と一緒に楽しく学んでいけます。たくさんいる、かくれている、いたずらをする。そんな妖怪たちがいるから、この世は奥行きがあり豊かで、人間の持つ精神や知性に対して、ゆとりを与えてくれている。フルフルと揺れ動くもみじ豆腐をおとさないように必死で盆をもち続ける豆腐小僧、かわいくて和みました。

  • いるけどいない、由緒正しい?がとにかくお馬鹿な豆腐小僧が旅に出るまで(というか旅の途中)。さまざまな来歴を持つ妖怪たちが出てきて、京極さんの妖怪への愛とスタンスがよくわかる。様々な現象を「妖怪」やらなんやらで説明することは現代ではほとんどないけど、こんなやつらがその辺をチョロチョロしており、たまに袖を引いたりしていると思うと、少し愉快な気分になる。

  • 豆腐っぽい外見の本。落語のように豆腐小僧が妖怪とからんでいく。
    妖怪絵巻解説のような。
    C0093

  • 京極作品の中でも読みやすくて面白い本。
    愛嬌たっぷりの豆腐小僧が可愛い一冊。

  • 突如としてそこに現出した「豆腐小僧」という名の妖怪の珍道中を、語り口調で進んで行く物語。
    正直買ったのは京極さんだったから、そして何よりもその書籍がとても形としておもしろかったから。十年前よりも明らかに本屋へ出入りすることが減ってしまったから詳しくはわからないが、最近こんな遊び心満載の本なんて出版してくれるのでしょうか。単行本ならではの愛おしさがある。

    物語は実に軽快、テンポ良くとんとん進んでいくのだが、なにせ豆腐小僧は生まれたばかりの赤ん坊のようなもの。教えられてはすぐ忘れ、怖がりな上に意固地なところがある。たまにいらいらしてしまうような性格ながら、片手に持つ豆腐を守りながらあらゆる人物と出会って行く様にだんだん愛着が湧いて来るから不思議である。

    この物語の時代は幕末、西洋文化の取り入れから、日本にある「妖怪」という文化が消えてしまうのではないか、という懸念がある。「妖怪」という概念の説明から入り、それが日本独特の、人間独特のものである、というのもおもしろい。「妖怪」というものに興味が沸くきっかけになるかもしれない。
    さらに絵草紙で描かれたなんの意味があるのかわからない「豆腐小僧」が最終的に果たす役割に、ずっと情けない豆腐小僧を追いかけて来た身としてはじんわりしてしまう。
    続いて行く豆腐小僧の物語、ぜひ読もうと思う。

  • 出す本が四角い四角いと言われている京極氏が本当に真四角な本を出して、発売当時爆笑したものです。カバー取った時の木綿豆腐感といったら。
    内容は豆腐小僧が様々な妖怪と出会いながら自分探しをする・・・というか妖怪とはなんぞや、を探すお話。気軽に読めて妖怪知識が増えて面白い、良い娯楽小説でした。

  •  少しばかり大きい頭に笠を被って、両手にしっかりと持ったお盆の上には紅葉豆腐。取り立てて何をするわけでもなく、ただ豆腐を持って立っているだけの妖怪、それがこの豆腐小僧であります。
     豆腐を落っことしてしまったら、ただの小僧になるのか、しかしただの小僧という妖怪もいないだろうから、豆腐諸共消えてしまうのか、そんなことにビクビクしている小心の妖怪。
     豆腐を落とさないように気を付けながらの珍道中。
     作中でも何度も、馬鹿だと、本当に馬鹿だと言われるほどの大馬鹿ぶりに、読んでいるとつい笑ってしまいます。

  • 自らの存在に疑問だらけの豆腐小僧の珍道中を基本に妖怪とは何かを書いている。後半まで読むスピードが上がらずきつかった。心に余裕がある時でないと楽しめない本かもしれません。

  • 何年か前に「おやすみ」の方から読んでしまったので、その当時の感想を探してみたのだけど見つからない。Orz
    未整理状態のデジタルデータの中にあるのか、アナログでしか残してない時代のか。
    それとも、まさかの記録し忘れ?

    気を取り直して本作の感想。
    ほのぼのしていますが、やっぱり京極夏彦。
    これでもかこれでもかと畳み掛けてくるわけです。

    ウンチクというよりも、もうこれは学問寄り。
    妖怪の成り立ち。

    得体のしれないものに対する恐怖は、これ人間のみならず、動物にだってあるんです。
    猫はシャーってなるし、ネズミは船から逃げ出すし。
    ただ、人間は怖いことを克服するために、名前を付けるわけですな。
    自分の気持ちに名前を付け、現象を理解するために名前を付ける。
    名前を付けると安心するわけですな。
    怖いことは怖い。でも、怖いには理由(名前)があるからしょうがないと思える。
    怖くてもいいことになる。だって理由(名前)があるから。

    とまあそんなことを、何度も何度も語るわけですな。
    なにぶん主人公の豆腐小僧が馬鹿なのでございます。
    何度聞いてもすぐ忘れる。
    頭は大きいのですが、一つを覚えると一つを忘れる。
    つまり、無駄に頭は大きいけれど、容量はごく小さいというわけですな。
    そのくせ変なところに頑固なものだから、まあ、事態が進まないことこの上ない。
    650ページも費やして、江戸から武蔵国(埼玉)までしか進みません。
    上がりがどこになるのやらわかりませんが、双六道中というにはあまりにも進まない。

    達磨やら猫又やら袖引き小僧に納戸婆。狐や狸も入り混じっての、最後は妖怪大戦争。
    しかし、その妖怪が存在するわけは、全て人間の心の在り方によるもの。

    怖い気持ちが悪い心(憎悪や嫉妬など)に乗っ取られれば、妖怪は凶悪化するのだし、怖い気持ちを理解もせずに、そんなものは迷信だなんだと切り捨てれば、妖怪は消え去り心の隙間に忍び寄るのは詐欺まがいの宗教やらいかがわしい科学もどき。

    妖怪は、人間が作り出した知恵なのだ。
    とりあえず妖怪のせいにしておけば、怖いは怖いでも丸く収まるのだ。

    そんなわけで、馬鹿で大頭の役立たず、豆腐小僧が最後は水戸黄門のように人間の悪い心を懲らしめ、物事を収めるべきところに収めた後、旅立つ話なのであ~る。かっかっか。(笑)

    講談調の文体は、どうしてもどうしても音読したい気持ちを抑えられず、お風呂で音読をすると「怖い!」と家族に叱られるため、家族が入浴中にこっそり居間で音読をしていました。
    声に出すと本当に気持ちのいい文章でございます。
    お勧め。

  • 本屋で見たときその分厚さに驚き、著者を見たら京極さんかと納得しました。
    読みながら筋トレができることうけあいです(笑)。

    映画化で読もうと思ったんだけど予告の印象とずいぶん違うしこれをどんな話にするんだか。

    妖怪の哲学書って感じで妖怪といえばの印象がガラリと変わったけど、すぐに小難しいことは忘れちゃうだろうな(苦笑)。

    でも、妖怪の存在が知らないうちに自分に根づいて影響を与えてきたのは確かだなと思った。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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