- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062151887
作品紹介・あらすじ
なぜ災害時には大量のデマが飛び交うのか?心理学者が読み解くうわさの功罪。
感想・レビュー・書評
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▼福島大学附属図書館の貸出状況
https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90238480
(推薦者:経済経営学類 藤原 一哉先生)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
噂はよくない行為、という決めつけでなく、噂というものを正しく理解して人として豊かに生きること、というメッセージはわかりやすい。
[more]<blockquote>
P33 私たちは本質的に社会的な存在であり、世界を理解したいという抗いがたい衝動を抱えている。【中略】噂とは人間が世界を共同で理解しようとする本質的な行為であり、噂とは実際、そのための優れた方法なのではないだろうか?
P63 人間には、ポジティブな情報よりもネガティブな情報を重視する『ネガティビティ・バイアス』と呼ばれる性向がある。
P115 噂は真偽が証明されていないが、ゴシップは証明されていることもいないこともある。噂は大きな関心事を扱い、ゴシップは個人のプライベートな問題を扱う。噂が曖昧な状況を理解するか、脅威に対処するために用いられる一方、ゴシップは集団の中で個人的な地位や仲間との関係を築き、変化させ、維持するために用いられる。
P137 不安は人間から”コントロール感”を奪うことで影響を及ぼす。人間には、周囲をコントロールして自分がうまく生き延びる、という基本的な動機がある。それは、自分が周囲の出来事や物事に影響を及ぼすことができるという確固たる感覚だ。
P148 人が行動を起こすとき、そこに他社や集団を助けたい、誰かの役に立ちたい、と言う同期が働くことがある。心理学者はそれを『向社会的動機』と呼ぶが、その動機が本当に他者のためなのか、それとも自分のためなのかについては意見が分かれるところだ。
P167 社会的ネットワークの構造-トーラス(東西南北につながっている)・リボン(筋向いと両隣はつながっている)・ファミリー(交流の大部分が”家族”内)・ランダム(文字通りランダム)
「ファミリー」構造では、噂は内集団に留まり、外集団に伝わる機会がほとんどない。
セグメントされた社会構造では”違う事実”が生まれやすい。
P212 噂は中庸がお嫌いらしい。【中略】正確な噂はより正確に。不正確な噂はより不正確か不正確なまま。=噂の正確さのマタイ効果
P272 噂のワークショップ=噂の確認作業を習慣づける「わたしは・・・に行く前は・・・だと思っていました。でも行ってみたら・・・だとわかりました」事実と噂とを比べる習慣づけ
P296 他者の信じる話に耳を傾けるときにはわずかな謙虚さが、都市伝説を聞くときにはちょっぴりの遊び心が必要だ。【中略】噂を理解するとは、世界を共同で理解すると言う、人間にとっての基本的な行為に、よりこんなんで、より大きな喜びの味わえる方法で参加することだ。噂を理解するとは、真実をより素晴らしいものとして受け入れることである。噂は私たち人間が共同で行うものだ。本書が"より良く噂話をする"一助となることを、私は強く願っている。</blockquote> -
中国の段ボール肉まん事件はねつ造、やらせであった。これを信じられる人にはこの本は必要ないだろう。
噂とデマ、雰囲気的には噂の方が善でデマが悪のような気がする。
しかし、結局どっちにしろとらえる人の主観で是にもなるし非にもなる。
そして、噂を、デマを流す方にしてもそれをおおいに利用して真実を隠そうと考えることだろう。木を見て森を見ず。木は森に隠す。という
そしていつも思うネット社会に流れる情報は新聞テレビなどからの情報に比べて本当に有益なのだろうかと、この疑問に誰か答えられる人はいるのだろうか。結局その情報を判断する人に真否は預けられてしまう。
そして最後は信頼を寄せ、考えを確認し、自由に意見を述べ合い、全員に事実を差し出す動機を与える。それが噂デマを解決する数少ない方法の一つとなる。
六度の隔たりで誰とでもつながる
噂への反論 効果的な6つの反論方法
事実に基づく 信頼されている人物が行う
噂が出た直後に行う 否定するだけでなく反論の理由も明確にする
証拠を提出する 協力を求める -
THE WATERCOOLER EFFECT:
A Psychologist Explores the Extraordinary Power of Rumors ―
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=215188X -
大震災のとき、ツイッターで大量のデマが拡散されたことを思った。たかがデマ、されどデマ。多くの人々が「不安」を背景にした「善意」の名のもとに、拡散し続けたデマの首謀者はいったい誰だったのだろうか。例えば「地震で閉じ込められた助けて」とつぶやいた男のために多くの人がRTするだけでなく実際に消防車等に電話をかけた人もいたという話し。責める相手はもちろん彼だが、ただRTすることで助けた気分でいた自分はいなかったか。口は災いのもと。言い得て妙。
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著者は、噂の流布量=話題の重要さ×状況の曖昧さと定義する。噂は個人の利益に同化し、文化のステレオタイプに一致してゆがめられ、伝達の途中で平準化される。他方、自分は嘘の噂を流さない人間であるという世間の評判を失いたくないという動機によって、正確な噂が生まれる。インターネットは嘘の噂を格段に迅速に伝達するが、他方、到達した後の反駁の機会も早く、打ち消しの速度も早くなる。しかし、ネット上でも共通の嗜好をもつコミュニティ内のコミュニケーションの比重が多くなる傾向があるため、打ち消しの力が弱くなる傾向がある。議論の多様性が確保されているほど嘘の噂の打ち消し効果は高くなる。
豊富な事例で噂の発生と伝達のメカニズムを解説する。事例も豊富だが、あまり深く掘り下げられていないように感じた。ネットを経由した噂の拡散についての分析がほとんどないのも物足りない。また文章が少し読みにく感じた。 -
うわさとデマについて。
うわさとデマについて、興味深い記述がいくつもあった。
特に、都市伝説の記述は面白かった。
このうわさのすごさを、何かに活かせないかと思った。 -
震災後、色々な噂がネット上で広まっていた。その仕組みや、なぜ嘘の噂が多いのかなど知りたくて読んでみた。なるほどこれが心理学か、と思わせられる内容だった。洋書のせいか、事例があまり身近ではなかった。でも「6度の隔たり」など面白い内容の
ものも多かった。 -
【レビュー】
タイトルに「口コミ」とあったので、経営的に参考になるかもと思ったが、原理的にはよくわかっても、実用性にはいざ乏しいかも。この手のアメリカ人が書く本は、やたら事例が豊富だが、読んでみると、中身はそれほど濃いものではない。しかし、噂について要領よく知りたい人にとっては格好の本と言うことで、★4つ。
【特記事項】
●「噂の流布量=話題の重要さ×状況のあいまいさ」By『デマの心理学』
●噂=話し手と聞き手にとって重要か関心が高いとみなされ、真実と証明されずに世間に流布している情報。噂はあいまいな状況か、脅威に直面しているか、将来の脅威が予想される状況で生じる。噂は、あいまいな状況を理解するか、脅威に対処するために用いられる。
●人間が社会的存在であること、世界を理解することを望んでいることが噂の原因。
●噂の種類:願望、恐怖、くさびを打ち込む(中傷)
・いったん噂によってついた悪印象は、ポジティブ印象によって覆せる。事例:マックはミミズ肉を使っているという噂をきいた人たちには、それを否定するより、フランス料理ではミミズ肉は重宝されている、という情報を伝えると効果的だった。
●ゴシップは個人的な問題を扱い、自分の同盟関係に相手を入れることを目的とする場合が多い。
●噂が広まる原因:
不確実性、不安、恐怖、重要性が高いこと。噂は、他者との関係性を維持し、自己を高め、相手を倒す武器になる。類は友を呼び、噂に関心を持ちそうな人に話すので、噂は同じグループ間内に広まり、異なるグループ間には連絡がなくなる。
・人間は何度も同じ話を聞くと、その話をさもよく知っているように感じ、信じやすくなってしまう。「錯覚の真実効果』
・噂は、ほぼ全く正確か、ほぼ全く不正確かに二極化する傾向がある。
・相手に信じてもらいたければ、簡潔に、明瞭に、理路整然と話すべき。えーと、などど詰まってはいけない。
●噂に対処する場合は、事実と証拠、理由を明確に提示し、信頼できる人物がそれを行うこと。
・株式売買に関しても、何の噂も聞いていないグループのほうが利益が高かった。