デパートへ行こう! (100周年書き下ろし)

著者 : 真保裕一

• 講談社 (2009年8月26日発売)

感想・レビュー・書評

[sarubobo-papaさんの感想 · 2018年11月12日]

閉店後の老舗デパートを舞台に、珍客達が繰り広げる群像劇。

・会社が倒産し、家族にも見放され、路頭に迷う中年男性。
・別れた愛人への復讐に燃えるデパートの女子店員。
・お互いの父親が逮捕され、家を飛び出した少年と少女。
・創業家出身というだけで社長に据えられたお坊ちゃん社長。
・裏の世界に足を踏み入れ、嵌められた元警察官。
・過去に心の傷を負った警備員と謎の過去を持つベテラン警備員。
・宝飾フロアのゼネラルマネージャー。

多くの登場人物が出てくるが、事情は複雑に絡み合い、何らかの理由で皆がデパートへ集まってしまったというストーリー。

昔のデパートの良さと、現代の価格破壊の嘆かわしさを風刺していると思います。

三谷幸喜の「有頂天ホテル」や奥田英朗の群像劇にも似ている気がします。

読了まで時間がかかったので、内容を把握するのが難しかったです。
一気読みした方が分かりやすかったかも。

[mp_qmさんの感想 · 2018年10月15日]

行こうシリーズの第１弾。遊園地、ローカル線と新しいものから順に読み進めましたが、結果的には、第１弾が一番ドキドキでしたね。老舗デパートのお飾り社長に据えられた創業家のどら息子、買収の噂が流れる中、贈収賄事件が起こり、いよいよ窮地に立たされることに。ひょんなことから贈収賄事件の糸口を朧気に掴むことに、掴んだ糸口は繭の糸のごとく細いが、紡いでいくことで形が見えてくる。誰もいないはずの閉店後のデパートで繰り広げられるドタバタ劇がなんとも可笑しい。最後のネタは心温まる(^^)良かったなぁー

[ミントさんの感想 · 2018年7月19日]

映像化されたかどうかは知りませんが、
それを前提とした作品のように感じました。
全体図なり、ところどころに現在地の図があれば
よりスムーズに楽しめるかも。

面白くなかったわけじゃないけど、
かなり久しぶりの著者作で期待値が高過ぎたかも。
「奪取」読みなおそうかな。

[kiyom93さんの感想 · 2018年4月15日]

よく考えられてるとは思うけど、分かり難いのが残念です。各階の平面図や、途中、誰がどこにいるか図に示してくれると嬉しい。最後は予想通り集まるとは思ったけど、ちょっと盛り込み過ぎ感がある。

[jaccoさんの感想 · 2018年4月12日]

あるデパートで起こる一夜のドタバタ群像劇。映像化されたら分かりやすいだろうなぁ。

[imuyam12さんの感想 · 2017年8月23日]

ローカル線で行こう！と同じ感じを想像してたら全然違った。

[shotchiさんの感想 · 2017年6月28日]

登場人物を把握するのが大変でした(笑)。

[fyukawaさんの感想 · 2017年1月7日]

最後はドタバタになっちゃいましたね。

[marumaruchanさんの感想 · 2016年9月15日]

大勢の人たちの思惑が錯綜していて、前半はちょっと読みにくい感じがした。「遊園地に行こう」を先に読んでて、そっちが短編仕立てだったから尚更そう思ったのかも知れないけど。でもクライマックスに向かって収束していく感じが良くって。これもまたアリかなと。人が死に至らなかったのも私的には〇です。死んじゃうのかと思った瞬間があって、すごく嫌でしたもん。

[なぎさんの感想 · 2016年8月18日]

　会社が倒産、妻には離婚を突き付けられた加治川英人46歳。妻に連れられ出て行った娘に会うため、時間と金をつくっていた加治川だが、いつしかその娘にもつれなくされ、派遣も切られ、ついに住む家も、金も夢も希望もなくしてしまっていた。そんな加治川が向かったのはデパート。幼い頃、母に連れられ楽しいひとときを過ごした思い出の場所だった。
　仕事も家族も失い、生きる希望を失くした父親、駆け落ち同然で逃げ出した高校生カップル、デパートに恨みを抱くフロア社員、何者かに追われデパートに駆け込んだ怪しい男、ひょんなことからデパートに残った悩める経営者など、閉店後のデパートに残された（残った）人々が繰り広げる一夜の大騒動。

　それぞれの思惑で閉店後のデパートに残った登場人物の「それから」は興味深いところですが、いかんせん登場人物が多すぎて、しかも彼らが思い思いに、真っ暗なデパートを上がり下がりするので、その度にページをめくり直して…と、なかなか大変な読書でした。おもしろいし、納得もできるけど、ちょっと焦点がぼやけた感じがするのがもったいなかったなぁ～。

著者プロフィール

真保裕一（しんぽ・ゆういち）
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう！』『ローカル線で行こう！』『遊園地に行こう！』『オリンピックへ行こう！』の「行こう！シリーズ」、『ダーク･ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」