Ank: a mirroring ape

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  • 講談社
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感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062207133

感想・レビュー・書評

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  • 私たちにも未だ解明されていない「アラームコール」があるのでしょうか。

  • 鏡と進化の考察が興味深い。細かい伏線までキレーに回収されて気持ち良い!

  • 佐藤究初読。本書を読むまで、類人猿(オラウータン、ゴリラ、ボノボ、チンパンジー)と猿は全然違うということを全く知らず、類人猿って猿の一種だと思っていた私。Stsat反復というのが遺伝子の中にあるのが、ゴリラ、ボノボ、チンパンジー、ないのがオラウータンとヒトということも知ることができた。少し賢くなった。
    時の流れどおりに物語は進まず、行ったり来たりするのだが、時系列としては、次のように流れる。AIで財を成したシンガポールのダイエル・キュイの資金により、世界中から人材が集められ、京都に霊長類の研究所、KMWPセンターが設立される。なぜヒトが霊長類のトップとして生き残ったのか、チンパンジーを対象に研究が進められる。Ank(ジュバC)というチンパンジーが、ウガンダから密輸されかけ、途中で保護され、KMWPセンターで飼われることとなる。実験中偶然発生した地震により、リーダー格のチンパンジーが水に落ち、それを見たANKは警戒音(アラームコール)を発することによって、意図せず人の理性を8分19秒奪い、KMWPセンターの研究者を殺し合いに導く。その後KMWPセンターを脱走したANKにより、京都の人々、観光客等は互いに殺し合い、これが京都暴動と呼ばれる。動画サービスにより京都暴動の様子が配信され、京都暴動はAZ(Alomost Zombie)と呼ばれるようになり、それを見た人々は同様に殺し合い、世界中がパニックに。これを防ごうとKMWPセンター所長の鈴木望はAnkを追う。
    なぜANKの警戒音が人の理性を奪うのか、その警戒音が人の進化とつながりがあるのかないのか、どうして効果があるのが8分19秒間なのかといったことはさっぱりわからないか、説得力のある推測が皆無な点が、本書の欠点。でもストーリーは面白く、さらっと読めた。

  • 知的好奇心をくすぐるサイエンスクライムノベル。時制を駆使した構成は読み応え満点だ。徐々に明らかにされる謎解きはまさにノンストップの面白さだった。
    ただ、残念だったのは、辿り着いた真相に説得力を感じることができなかったこと。

    京都暴動というセンセーショナルな事件を軸に、物語は類人猿研究の側面を描いていくが、アンクがなぜ天才だったのかは謎で、その警告音がなぜあんな事態を生み出すのかも謎。仮に攻撃心がそそられたにしても、自らの防衛本能がなぜ失われてしまうのかも謎で、DNA反復についてはこじつけにしか感じられなかった。

    とはいうものの、面白かったのは事実。進化論や鏡像認識のくだりは説得力あったし。

    そういえば、昔の三面鏡とか、確かに布で覆われていたよね。

  • 佐藤究作品を連続して読んでるけど、またもや斬新極まる物語!
    このリアリティとスピード感が魅力だな。文章が過去形じゃないからか、ノンストップパニック映画を観てるかのよう。
    類人猿とヒトの進化の違いなどの学術的要素が強いので、意外と恐怖は感じない。大丈夫、怖くないよ。

  • 霊長類研究、暴動発生。先が読めない展開にひきこまれました。
    面白かったけど専門的な部分が難しく理解が追いつかなかったのが残念です。

  • 洋書のような壮大なスケールで展開する。良作。

  • つまらないわけじゃない。あの分厚い本を全部読了したし。しかしどこかとっちらかった印象。グロなの⁇哲学?京都の歴史?はたまたNASA?とりあえず筆者だけのジャンルが構築されようとしてる進化の途中なのかもしれない

  • お盆も終わっちゃったね

    ってな事で、佐藤究の『Ank : a mirroring ape』

    京都にチンパンジーの生態と知能についての研究所としてKMWP(京都ムーンウォッチャーズ・プロジェクト)をシンガポールの大富豪として投資家、起業家でもあるダニエル・キュイが1000億円を投じて建設。

    そのKMWPのトップに研究者としてはまだ無名の鈴木望がキュイによって任命される。

    またKMWPには世界の名だたる研究者達がヘッドハンティングされ集まり日夜、チンパンジーの研究に明け暮れているところへ、南スーダンで密猟で捕らえられたジュバCとコードネームを付けられ後にAnk アンクと名付けられるチンパンジーがやって来る。

    その後にKyoto riot 京都暴動と言われる謎の殺戮暴動が京都の一部地域から段々と広がって行く……

    と、内容はここまで(笑)

    これはオモロい!

    今のコロナ禍に近い物が感じられる様な話で、フィクションじゃなくて現実に起こり得る可能性も有るんじゃ無いかと不安になります

    ノイズキャンセリングヘッドフォンを買わないと(笑)

    AI、言語、鏡、DNA、A(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)、G(グアニン)、StSat、サブターミナルサテライト反復、8分19秒、パルクール……

    難しい感じのキーワードが多いけど、きちんと説明してるのでわかりやすく、物語も時系列が過去や未来へ行ったり来たりなんで、そこが繋ぎ合うとなるほどと更に面白くなる♪

    実はこの本2年位前にも借りたけど時間が無くて読めず、今年頭位に再度借りたけどまた時間が無くて読めず、そしてこのタイミングで読めたのが良かった

    そんな感じのコロナ禍だからこそ今読むのがオススメな内容じゃね。

    2020年47冊目

  • 時系列が前後しながらもジェットコースターのようにストーリーが展開していく。合間に挟まれる監視カメラの無機質とも言える描写が不気味なリアリティを醸し出す。しつこいくらいの残酷で痛々しいグロ描写や理解しづらい箇所などもあるが、とてもおもしろかった。個人的にはテスカトリポカより好き。

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著者プロフィール

1977年福岡県生まれ。2004年、佐藤憲胤名義で書いた『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となり、デビュー。2016年『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞。『Ank: a mirroring ape』で第20回大藪春彦賞、第39回吉川英治文学新人賞を、『テスカトリポカ』で第34回山本周五郎賞、第165回直木賞を受賞。

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