- Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062646185
作品紹介・あらすじ
完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体に童謡殺人。フーダニットからハウダニットまで、12の難事件に挑む名探偵・天下一大五郎。すべてのトリックを鮮やかに解き明かした名探偵が辿り着いた、恐るべき「ミステリ界の謎」とは?本格推理の様々な"お約束"を破った、業界騒然・話題満載の痛快傑作ミステリ。
感想・レビュー・書評
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ミステリーあるあるの本。
ミステリー好きであればある程、あるあるネタがわかるので面白い。逆にミステリーがそんなに好きではない人が読んだら全く面白くないと思う。
古典的なミステリーと読者への皮肉や不満が爆発している。
読み進めるうちに「東野さんは古典的な本格ミステリーを書きくないのかも⁉」という疑問が湧いてきた。
作中でこのような文があった。
『いつもいつも大雪で山荘が孤立したり、嵐で孤島の別荘が孤立したりするのでは、読者の皆さんも飽きてくると思うのである。〜そもそも舞台を孤立させる理由はどこにあるのだろうか?』
『同じ手品を何度も何度も何度も何度も見せられている気分である。違うのは種明かしだけだ。そして種明かしが違っても、驚きには繋がらない。〜あなた、本当に密室殺人事件なんか面白いんですかい。』
クローズドサークル、ダイイングメッセージ、童謡殺人など読者が求める古典的ミステリーを初期では書いていたけど、東野さんは「本当に書きたいものは違うこと」に葛藤があったのではないかと思った。
解説には、綾辻さんが先駆者となった「館もの」を同じ時期に書いていたけど、1作だけで続編がなく、「館もの」に象徴される本格推理小説に別れを告げたと書いてあった。
私は古典的なクローズドサークルが大好きなので、いつもいつも大雪でも、どんなあり得ない館でも、孤島でも飽きない。
水戸黄門のように、どんなに同じような設定でもクローズドサークルが読みたい。
「ミステリー」と一括りにはできないほど、ミステリーには色々なジャンルがあると思う。
私は大好きな古典ミステリーをこれからも読んでいこうと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミステリーファンを唸らせるというか、興醒めさせる短編集 笑!
誰もが疑問に思ってる事を解明!事件やなく、トリックとかの秘密…笑
ダイイングメッセージは、何で、あんな暗号めいた言葉書かんと、犯人の名前バッチリ書かんの?とか…
アリバイのある人が怪しいとか…まぁ、アリバイない人のアリバイ崩しは出来んし、そんな小説読みたないわな 笑。
てな感じで、探偵の天下一さんと、警部の大河原さんが、小説の登場人物になりきる時と小説外の人物になる時がある。
小説の登場人物になりきる時は、そのままやけど、小説外の時は、ミステリー王道の密室、時刻表、バラバラ死体、童謡殺人、首無しなどの事件を茶化しまくる!
まぁ、小説に登場してくる王道の探偵さんと警部さんの愚痴(=作者)をこんな形で聞くのもなかなか〜!(^_^)v
最後はシリーズ探偵の苦悩も… -
賛否ある作品だと思いますが、個人的には大好きです。
発売当時に読んだ本が見当たらなかったので再度購入して読みました。
探偵小説のパロディなのですが、全編を通して黒い感じが良いです。とにかく漫画を読むようにスラスラとページを捲るのが快感。
本作の語り部役の大河原警部のボヤキもたまらない! -
東野圭吾は長編の重厚な内容が面白いのだと思っていたが、こういうコメディチックな軽い作品もすごい面白いという発見を最近した。
メタ的な視点を登場人物が持つことによって、こんなに面白くなるのかとしみじみと感じた。
個人的に大河原刑事がとても好きだった。 -
本格ミステリーのお約束を盛大に皮肉ったメタミステリー。密室、フーダニット、クローズドサークル、ダイイングメッセージ、童謡殺人、叙述トリックなどおよそ12編のお約束に因んだ短編とプロローグ、エピローグ、そしてこの作品の最終回に当たる短編の計15編の短編が収録されている。どれもが作中のトリックだけでなく、探偵や警察、犯人などの登場人物の悲哀と憂鬱がコミカルに描かれてて面白かった。
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東野さんのひねくれ具合(良い意味ですよ)が伺い知れる1冊。私が東野さんに求めるものとは違うけど、これはこれでなかなか面白いと思います。しかも続編があるらしい。
村上貴史さんの解説も面白いです。 -
ミステリー好きがニヤっとくる短編集。お約束を堂々と破ってくるのは、笑えてきます。