文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (1226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062754996

感想・レビュー・書評

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  • 京極堂シリーズの中では一番先の展開が読めてしまったので辛口評価。「鳥の館」と呼ばれる白樺湖の湖辺に佇む巨大な屋敷。主人である伯爵の元に嫁いだ花嫁達のいずれもが、新婚初夜の明ける頃には何者かに殺されていた。5人目となる花嫁の婚礼が迫る中、謎の解決のため屋敷に招待されたのはあの榎木津礼次郎と関口巽。果たして犯人はだれなのか。そして黒鳥の妖、陰摩羅鬼の祟りは解けるのか。冗長な部分を削れば半分くらいの長さに出来たのではないか。でも募るものはあったのか、最後は少し泣けた。

  •  伯爵の目から見た関口君がとても素敵な人に感じられたのが印象的というか、好きだとか好感だとかいう言葉をまあ偶には使うけどそれほど頻出させないでここまで「好意的な解釈」を表現、実践出来るのかと感心した。読んでてこちらが照れてしまう。書斎の対話がとても好き。

     面白くない事態になって、あいつらがちゃんと依頼すればちゃんと出来たんだって拗ねる榎さんが、見ていてとても可哀想に感じた。目も見えないし、分かることは多いけど何をしたらいいのか分からないし、振る舞いはいつも通りでも大変だったんだろうなあと思う。

     関口君がずっと言葉に出来なかったことを、みんなの前で言葉にさせてあげた京極堂の優しいとこ好き。

  • 死とはそれを認識できる生者の精神世界であって「人は生と重ね合わせることでしか死を認識できない。死後の世界は生きる者の中にしかないし、それは即ち生きること、生きたことに対する敬意」時間と経費を大いに費やし、多くの他人をも巻き込んで催す葬儀とて、死者のためと思い疑わぬものの、実際には生者が自らのためにするもので「人は、亡き人の生に対し篤き敬意を払うことで自らの生の尊厳を保証する」儒仏混合ともいうべきか、魂が依り付く位牌と、魄すなわち肉体が寄り付く墓の二つを別に祀る日本の簡易複葬の成り立ちなど、死生観を学ぶ。しかし、我が敬愛する榎木津よ、いくら体調が芳しくないとはいえ何たる体たらく。自分への依頼が明確でないとばかりに、存在価値を示さぬとは。京極堂曰く「この世には不思議なことなど何もないのです」否、君だけは不思議の権化でなくてはならん。

  • ミステリとしての意外性や衝撃はいつもよりかなり少ないかな。
    読者も読んでる最中に気付ける部分が多いと思います。
    でも京極堂の講義が自分の興味があるところどんぴしゃだったのと、関口が前回よりは行動的で元気になったかな…?という点がシリーズファンとして嬉しくて大満足です。

  • 大好きなシリーズであるが、さすがにネタ切れを心配させるほど、今回はクオリティが落ちていた。『このミス』でもやはり評価はさほど高くないようである。もちろん、中禅寺秋彦や榎木津礼二郎など、お馴染のキャラクターが登場し、いつもどおり「憑物落とし」のシーンなどもあるため、そういった点で楽しさはあった。しかし、肝腎のミステリイとしての要素がどうにもいただけない。真犯人をあのような「特殊」な人物に設定してしまえば、それこそ「警察相手にウソを吐いてはいけないと知らなかった」とか「じつは日本語がよく理解できなかったので適当に頷いておいた」とか、そういった真相でも許されてしまう。そもそも、真犯人が容疑者から外されていた根拠じたい、「とうていウソを吐いているようには見えない」という、感情論に基くひじょうに薄弱なモノで、論理性の欠片もない。そんな貧弱なロジックが破られたところで、なんの驚きもなかった。それ以外の周りを固める小さなナゾにかんしても、由良公滋が覗き行為をしていたことは簡単に推測できるし、由良昂允がじつは屍姦しているのではないか――コレは真相とは異なるけど、まったく的外れでもない――のようなことも、想像の範囲内である。わざわざありえない世界観を築き上げた挙句、わりと妥当な線でまとめて来るのであるから、さすがにコレでは高く評価できないであろう。それでいて、いつもどおりの作品の長さ。このシリーズにかんしては、ペダンティックな部分も含めて評価すべきであろうから、たんに長いことだけを取り上げてことさら批判するつもりもないけれど、それにしてもやはりこの長さでこの結末では納得がゆくものではない。せっかくココまで辿り着いたので、今後もシリーズは読みつづけるとは思うが、それだけに余計にこの内容は残念に感じる。

  • 2015年9月20日読了。
    2015年142冊目。

  • 陰摩羅鬼。
    おんもらき、で変換出てびっくり!(笑)
    難しいよー!読み仮名。(笑)

    相変わらず、面白かった。
    いっきに読みました。
    中盤の榎木津や、木場のかけあいが面白い。

  • 長すぎて遅すぎて無理でした。

  • 長いみすてりー小説。

    以下は読み返して作った整理のためのメモ。登場人物と名詞が多いので。
    【目次兼メモ】 [章--頁数--視点-]
    プロローグ 0012頁  関口
    01章 0036頁  康允
    02章 0096頁  関口
    03章 0218頁  伊庭
    ・0326 『獨弔(どくてう)』
    04章 0338頁  関口
    05章 0422頁  伊庭
    06章 0540頁  関口
    07章 0628頁  康允
    08章 0688頁  関口
    09章 0808頁  伊庭
    10章 0940頁  関口
    11章 0992頁  康允
    12章 1022頁  関口
    13章 1188頁  伊庭

  • 本屋大賞、2004年度9位。珍しく、このミスベスト10には入ってないだけあって、途中で大体、結末が見えてくるし、探偵の榎木津もなんだか邪魔な感じ。ミステリー的にはいまいち。いつものうんちくをベースとした、難解なやりとりも、あんまり興味持てない。関口が真相を認識するあたりで、議論についていけてれば楽しいかとも思うけど自分には無理。いつもながら製本技術には感心するほど、分厚くって電車で読むのとかも苦労するけど、ブクログとか見ると上下分冊版より分厚いやつの方が人気あるのね。確かにミステリーだと、何度か、途中で振り返りたいときがあるので1冊の方ば便利とも言えましょう。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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