ハゲタカ2(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062756891

感想・レビュー・書評

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  • 曙電機という企業を巡り、主人公のファンドと外資系ファンドが激しい買収合戦を繰り広げるという話。

    その過程で、曙電機を狙うメーカー、政府が複雑に絡んでくる。さらにその中で、買収劇の当事者とは全く関係ない、いい加減な社員の話が小休憩のように挿入される(結局その社員は、最後でリストラされ、さらには奥さんから三下り半を突きつけられることになるのだが)。

    著者の文章表現は見事で、一気に読み進められる。ただ読んでみて、この国に巣食う病巣を垣間見た気がする。また、正義とは何かについて改めて考えさせられた。

  • ぶれていない。
    上巻からスムーズに読み進めた。
    アランの死因については最終ページに伏線があるので次巻に引き継ぎかな。
    面白かった。

  • 3.5
    鈴坊から話が進み、シャインと曙電機(キャノンと富士通らしい)の話に。米国投資ファンドのプラザグループなども入り、大きな展開に。鷲津は政府も絡めて打ち勝っていく。結局鷲津率いるサムライキャピタルの提案の形で、シャインが曙のテレビ事業を取る。アランと美麗の伏線も残し、次作へと続く。企業のやり取りに触れることができ、なかなか面白い。

    ライブドアのニッポン放送株取得騒動は、時間外取引を利用したもので、拒否権を発動できる1/3以上の株を一気に取得。それが問題視され05年に証券取引法が改正され、時間外取引のうち、相対取引に類似する取引について、買い付け後の株券等所有割合が1/3を超える場合には公開買い付けが必要となった。
    良い会社。自分がいなくても昨日と変わらず成長できる会社。

  • 1

  • いやー、面白かった!

    本作を読んで、なんで経済小説にハマったのかが、何となく分かりました。
    これって、fantasyなんですね。
    現代版のfantasy小説なのです。

    よく、株取引のspecialistのことを、「錬金術師」なんて呼びます。
    商事系や物産系の人たちは、そういう動かし方が凄まじく巧い。
    その動きによって、鉛を金へと変えるのです。
    これって、まさに現代の魔法だと思います。
    門外漢の立場から眺めると、その鮮やかさにクラクラします。

    本作は、そういった「魔法」を最大限に誇張して見せてくれます。
    そのあまりにも壮大な「魔法」に、もう心がキュンキュンなのですよ。

    経済の現場を舞台にした、企業買収を主軸にした物語。
    「会社は誰のものか?」という問いへの解答にもなっています。
    そして、「ものづくり」の根幹にも触れています。

    カネだけではもちろん駄目。
    かといって、motivationだけでも駄目。
    蓄積され、磨き上げられてきた技術だけでも駄目。
    けど、これらが無ければ、根本的に駄目。

    それらを総合的に、そして有機的に絡め合うこと。
    それが、「会社」ってものなんだ、と気付かせてくれます。
    いま現在、日本社会が直面している問題を浮き彫りにしてくれます。
    と書くと、お堅い社会派小説のようですけれど。
    根本にあるのは、あくまでも娯楽小説としての演出。
    とにかく、読み進めることが愉しいです。
    すっと物語世界に誘われ、怒濤の展開に巻き込まれます。

    息詰まる交渉戦。
    深遠で複雑に絡まり合った謀略。
    真っ直ぐな熱意。
    cynicalな態度。
    やるせない挫折。

    こういう要素が、本当によく似合う舞台が、経済という場なのです。
    何故なら、経済というのは、何度も述べてるように、人間の営み、その根幹だから。
    ギリギリの所で交わされる、最高にcoolなjoke。
    追いつめられたかに見えた次の瞬間に起こる、絶妙の逆転劇。
    その瞬間、読者が感じる気持ちは、ちょっと何物にも代え難い。

    そしてまた、真山氏のstory tellingの妙!
    演出の仕方が絶妙で、climaxへの持って行き方が本当に素晴らしい。
    全ての策が発動し、一気に形勢逆転となった瞬間。
    思わず、こちらまで快哉を叫びたくなるほどです。
    それは即ち、物語世界へと完全に引き込まれちゃっているのですね。

  • 前作は色々詰め込もうとした結果、フラフラしたストーリーになってしまったが、今作は落ち着きがあり、丁寧に描かれている。全体的に面白く、一気に読んだ。唯、冒頭の事故が謀略臭かったのに単なる事故っていうのは、伏線回収失敗?

  • 最後にベルボックス炸裂!

  • 冒頭で死んでしまうとある重要人物についての謎が解決してない気が、、、ちゃんと読めばわかるのでしょうか?話自体はスケールが随分大きくなったなあという感じ。一気に読めます。村岡さんに合掌。笑わしてもらいました。

  • この巻では巨大電気メーカー曙電気が舞台になるのだが、ちょうどゴタゴタしている某企業とダブるのがまた……この本2007年に出たのだが、10年経っても変わんない事をしているあたり面白いというかなんというか。とはいえ、ここから先にリーマンがあって話がガラリと変わるのから現実も面白い。このあたりから経済小説というより政治小説の面が出ているのが特徴。

  • この作家の作品はどれを読んでも面白い。話の展開、登場人物の描写など秀逸である。どれだけ調査や下調べをしているのかと思わせる努力も感じられる。

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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