カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)
- 講談社 (2011年7月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062769778
感想・レビュー・書評
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道尾秀介をはじめて読んだ。面白くて一気読みしてしまった。逆転に次ぐ逆転にしてやられたと思うと同時に、ミステリー小説の醍醐味を知った。とにかくカラリとした雰囲気があって、登場人物が憎めない者ばかりである。秀逸なエンターテイメントであった。読後感もよく、これはスッキリとする。
登場人物の誰もが「家族の喪失」に関わっている。家族を求める気持ちが伝わってくるし、作品全体に漂う切ない雰囲気でもある。ただ単に、エンタメとしてではなく、家族の大切さを改めて、しみじみと実感するようなメッセージ性もあわせ持った作品である。
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人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組・武沢竹夫(タケ)と入川鉄巳(テツ)。
ある日、彼らの生活に同業者の少女・河合まひろが舞い込んでくる。やがて同居人は増え、5人と1匹に。奇妙な生活に慣れてきた武沢たちだが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは……?
あらすじ紹介にて二人組の中年詐欺師が主人公と知り、好奇心に駆られながら読み進めると彼らの賑やかな生活に惹かれながらも、5人の立てた作戦の合否にはらはらとさせられる一方だった。
詐欺を行うシーンでは、自分が被害者と同じ立場であった場合、簡単に騙されてしまうだろうなと思うものばかりで、タケとテツの二人組の鮮やかな手際とその周到さに舌を巻いた。
8割ほど読み進めたところで多くの読者は「このまま終わり?」と考えるかもしれない。
しかし、作者さんはあの道尾秀介氏。このまま終わるわけがない。
裏切らないという予想通り、裏切られたような予想外の展開に、息も吐かせない展開の数々に心温まるラスト。読了感は非常に爽やかなものだった。
続編となるカエルの小指でまた彼らに会えると思うと、いまから胸の高鳴りが止まらない。 -
カエルの小指を読み終わり、前作であるこの本を10年ぶりに再読。
途中までのミスリードの波状攻撃は、カエルの小指の方が素晴らしかったが、本作のラストは本当に秀逸。仕掛けと壮大さと、訪れる大逆転と、その結果辿り着く大団円に、深く感動を覚える。
『人間は人間を信頼しなきゃ生きていけないんです。絶対に、一人じゃ無理なんです。死にかけの身体になって、自分、ようやくそのことに気づきました。』
人間社会の理不尽さと矛盾、罪と罰、贖罪と赦し、人を信じること生きること。そんなものが詰まっているにも関わらず、爽快な物語だった。読後感が素晴らしく、高揚する素晴らしい作品。ミステリーの手法であるミスリードを使った、最高のエンターテイメントだ。
映画もあるようなので、是非見てみたい。村上ショージが、どんな味を醸し出しているのか、楽しみだ。 -
2016年12月に読んだ本。
何年か前に読んだ本ではあるけれど
良かった!面白かった!
話の初めから、引き込まれていった。
主人公の詐欺師は、もう一人の詐欺師と
出会い、ひとりふたりと仲間が増える。そこで皆は、あることを企てる。
強く印象に残る話だ。
登場するひとりひとりのキャラクター、展開もよく飽きさせない。
最後、えっそういうことだったのか、と思わせる。
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ゆうママさん、レビューありがとうございます。作品の魅力がグッと詰まっていて、自分も読みたいなと思いました。早速読ませていただきます(^o^)ゆうママさん、レビューありがとうございます。作品の魅力がグッと詰まっていて、自分も読みたいなと思いました。早速読ませていただきます(^o^)2021/12/22
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こういう小説は好み。詐欺ではなくマジック。伏線もすごい。終盤での展開に驚愕する。
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とにかく登場人物のキャラが最高で、道尾秀介さんが「また会いたくなった」と思い続編を書いた理由も納得。
そんな魅力的なキャラ同士のコミカルなやりとりもクスッと笑えて楽しいし、何より道尾秀介さんらしい大仕掛けもお見事としか言いようが無いです!
続編読むのが楽しみ! -
名作。再読したいと思った。
2冊目の道尾秀介。
ミステリー特有の不気味な描写が少なく、読みやすい物語だった。
彼の新たな世界観に浸ることができた。
コミカルであり、スリリング。何度も騙される。本当に面白い。物語にのめり込み、驚くほどページをめくる手が止まらなかった。胸を打つ家族愛も織り込まれていた。登場人物達の伏線回収が巧みで感動につつまれる。
他人の罪はよく見える。でも、自分の罪は、背中にしょってるもんだから見えないんです。そんな生活を続けていると、自分で自分を追い込んで、いつかは一人で干からびる。
きっと、まだ間に合う。
二つの対照的なメッセージが胸に刺さった。
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詐欺師たちが主人公のミステリー小説。
まんまと騙された。ラスト50ページで今までの話が180度ひっくり返される。さすが道尾ワールド。
詐欺とマジックの両者の違いが特に面白かった。詐欺とは、最後まで騙されたと気づかないものこそ一流。一方のマジックは、最後に騙されたと気づくものこそ一流。このセリフの内容は、貫太郎が途中で何とは無しに放った言葉だが、ラストのラストで本当の意味が分かるようになる。
この小説は、言葉遊びが多く最後まで楽しめた。
続編のカエルの小指も読んでみようと思った。続編にもアナグラムが隠されているのだろか、、。
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おもしろかった!!!!の一言。
最後の最後で全てが綺麗にひっくり返る。
万人におすすめできる推理小説。
非常に読みやすいのでこういう本はみんな好きだと思う。
ただ、最近小難しい本じゃないと物足りないのはなぜなんだろう。