- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065283967
感想・レビュー・書評
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どの話も、うっすら潜む無自覚な悪意に何とも言えない絶妙な座り心地の悪さを感じて面白かった。
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fumi0235さん村田沙耶香さん読んだことないや。まともじゃないの??逆にちょっと気になってくるわ……村田沙耶香さん読んだことないや。まともじゃないの??逆にちょっと気になってくるわ……2023/04/13
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あんこさんコンビニ人間が1番まともかと。ぜひお試しを。コンビニ人間が1番まともかと。ぜひお試しを。2023/04/14
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fumi0235さんコンビニ人間のひとか!!それだけは読んでるわ。他のも読んでみるかな〜コンビニ人間のひとか!!それだけは読んでるわ。他のも読んでみるかな〜2023/04/23
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正直訳が分からないけれど、その訳の分からなさが魅力と言えば魅力。過去の作品見ても僕自身高評価していないのにかなりの冊数読んでいるのは、この薄気味の悪いディフォルメされた世界観に取り込まれているのかもしれません。
表題作が一番分かりやすいので誰かと語り合うとしたらこれなんでしょうが、どれもこれも善悪や好悪を超えた所でふわふわ書かれていて、手ごたえが無いのが全体的に不安。
でもつまらないわけでは無いんです。これを大絶賛出来る人はすごい感性を持っているなと思うし、全否定出来る人もまたよっぽど自信がある人なんだろうなと。
僕はこの不思議な魅力を噛み締めながら、その理由が分からず悶々としているだけの凡人なのです。
多分次作も読んでしまうであろうと思うし、そして読後首を傾げてしまうであろうと思います。 -
非日常なような、日常なようなお話し。
ページの間隔がギュウギュウではないので
読みやすかった。
少し奇妙さを感じた。 -
ちょっと変なんだけど、自分と全然違うとは言い切れない。
自分のことに一生懸命で、勝手で、普通って思い込んでるだけかも。
「引き」でみたら滑稽で、狂気かも。 -
小林多喜二の「蟹工船」が「プロレタリア文学」の代表になっていたり、林芙美子の「放浪記」が昭和初期の「社会の底辺の職業小説」の一面をもっていたりするように、今村夏子の「とんこつQ&A」という短編集は21世紀の「非正規労働文学」なのでは?と、勝手に感じてしまいました。ほんと勝手に、です。昭和はじめの格差社会とはまた違う格差が拡大している現在、「内容、お店のお手伝い、時給、八百円」とか「498円の特製のり弁の贅沢」とか「バームクーヘンの切れ端を持ち帰る禁止事項」とかのリアリティの中での、フツウとヘンが混じり合う妙な感じ、気持ちの悪い感じ、心落ち着かない不穏な感じ…日常と異常の境界線ってハッキリ見える者ではなくて、もしかしてこの小説たちの登場人物たちは自分かもしれない、という不安。社会の中での居場所が軟弱地盤化している現在、自分と他人を結びつける蜘蛛の糸のような奇妙な細い線のネバネバ感や容易に切れてしまう感じや意外にかんがら締めになってしまう感じが、ものすごい読みやすい平易な文章で表現されています。もしかしたら自分は今村夏子という蜘蛛の吐く糸に絡めとられているのかもしれません。
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表題作はちょっと「紫のスカートの女」に似ている。「もう一人の私」もの。
でも、なんだか、ラストのシーン、人によってはゾッとするかもしれないけど(語り手の妄想かもしれないし)、私は切ない幸福感でいっぱいになった。
(変人だったから)孤独だった、誰にも愛されたことがなかった、居場所もなかったであろう主人公に、必要としてくれて、和気あいあいと語り合える家族のようなものができた。それが嬉しい。
妄想かもしれないし、脆いかりそめのものかもしれないけれど、そんなことどうだっていいじゃないか。こういう風に人と過ごしたいと思いながら、かなわずに孤独を抱えて生きている人っていっぱいいると思う。そういう人たちに、幸せを与えてくれる作品。そんな小説、めったにないよ。
今村さんの作品に出てくる人たちは、大きく分ければ「普通の一般人」だけど、社会生活が営めるか危うくなるくらいの逸脱があり、そして、そういう人たちは実際たくさんいる。人が難なくできることができない辛さは、一歩間違うと犯罪に走ったり、精神を病んでしまったりしてもおかしくない。そこをギリギリ耐えている人たちへの同士としての愛と優しさを感じる。
「良夫婦」にもそれを感じた。
今回は幻想的な作品がなく、そういうのも好きな読者としては残念だったが、今村さんの作品はこれからも読んでいきたい。