とんこつQ&A

著者 :
  • 講談社
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感想 : 371
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065283967

感想・レビュー・書評

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  • どの話も、うっすら潜む無自覚な悪意に何とも言えない絶妙な座り心地の悪さを感じて面白かった。

    • fumi0235さん
      村田沙耶香さん読んだことないや。まともじゃないの??逆にちょっと気になってくるわ……
      村田沙耶香さん読んだことないや。まともじゃないの??逆にちょっと気になってくるわ……
      2023/04/13
    • あんこさん
      コンビニ人間が1番まともかと。ぜひお試しを。
      コンビニ人間が1番まともかと。ぜひお試しを。
      2023/04/14
    • fumi0235さん
      コンビニ人間のひとか!!それだけは読んでるわ。他のも読んでみるかな〜
      コンビニ人間のひとか!!それだけは読んでるわ。他のも読んでみるかな〜
      2023/04/23
  • 正直訳が分からないけれど、その訳の分からなさが魅力と言えば魅力。過去の作品見ても僕自身高評価していないのにかなりの冊数読んでいるのは、この薄気味の悪いディフォルメされた世界観に取り込まれているのかもしれません。
    表題作が一番分かりやすいので誰かと語り合うとしたらこれなんでしょうが、どれもこれも善悪や好悪を超えた所でふわふわ書かれていて、手ごたえが無いのが全体的に不安。
    でもつまらないわけでは無いんです。これを大絶賛出来る人はすごい感性を持っているなと思うし、全否定出来る人もまたよっぽど自信がある人なんだろうなと。
    僕はこの不思議な魅力を噛み締めながら、その理由が分からず悶々としているだけの凡人なのです。
    多分次作も読んでしまうであろうと思うし、そして読後首を傾げてしまうであろうと思います。

  • 非日常なような、日常なようなお話し。
    ページの間隔がギュウギュウではないので
    読みやすかった。
    少し奇妙さを感じた。

  • トンコツQ&Aが1番好き。不穏→良い話→後味悪い?→良い話→なんとも言えないが不穏。という話の流れで終わった。主人公自信はハッピーかもしれないけど、読者視点だとこれはハッピーエンドとは言い切れないという感じで終わっていった

  • さわりだけ読んで、これはきっと傷付いた主人公がやさしい登場人物たちに囲まれて心を癒していくハートウォーミングな話なんだろう…とわくわくしながら読み始め、わりとしっかりめのホラー仕立てになっていてあっけに取られつつ震えた。
    ホラーというか世にも不思議な物語というか。
    後味はわるくなく、最初から最後まで続きが読めない楽しさだった。

  • ちょっと変なんだけど、自分と全然違うとは言い切れない。
    自分のことに一生懸命で、勝手で、普通って思い込んでるだけかも。
    「引き」でみたら滑稽で、狂気かも。

  • 小林多喜二の「蟹工船」が「プロレタリア文学」の代表になっていたり、林芙美子の「放浪記」が昭和初期の「社会の底辺の職業小説」の一面をもっていたりするように、今村夏子の「とんこつQ&A」という短編集は21世紀の「非正規労働文学」なのでは?と、勝手に感じてしまいました。ほんと勝手に、です。昭和はじめの格差社会とはまた違う格差が拡大している現在、「内容、お店のお手伝い、時給、八百円」とか「498円の特製のり弁の贅沢」とか「バームクーヘンの切れ端を持ち帰る禁止事項」とかのリアリティの中での、フツウとヘンが混じり合う妙な感じ、気持ちの悪い感じ、心落ち着かない不穏な感じ…日常と異常の境界線ってハッキリ見える者ではなくて、もしかしてこの小説たちの登場人物たちは自分かもしれない、という不安。社会の中での居場所が軟弱地盤化している現在、自分と他人を結びつける蜘蛛の糸のような奇妙な細い線のネバネバ感や容易に切れてしまう感じや意外にかんがら締めになってしまう感じが、ものすごい読みやすい平易な文章で表現されています。もしかしたら自分は今村夏子という蜘蛛の吐く糸に絡めとられているのかもしれません。

  • ゾッとするような、しないような、いややっぱりする。すごくする。
    「笑ってるけど目が笑ってない」みたいな何とも言えない気持ち悪さがあって、どの話も面白かった。特に表題作。
    明快な悪ってもしかしたら人の中にそんなに存在しなくて、ほとんどがこういう、善人の顔をして他人を利用する行動とか、自分の問題から目を背けることとか、偶然と保身の重なりとか、そういうものから発生しているのかもしれないなと思った。
    そうだとしたら、明快な悪よりもずっと怖いかもしれない。防ぐのも罰するのも困難だし、自分も簡単に加害者になってしまいそうだから。

    面白い!好きな作家さんかも!もっと読みたい!と思うけど、物語と上手に距離をとらないと肩にずっしりのしかかられて体調を崩しそう。自分の調子に気を払いつつまた別作品に挑みたい。


    〈装丁のこと〉
    内容のドギツさを装丁がかなりマイルドにしてくれている感はある。手に取りやすかった。本文デザインも非常に読みやすく、余白がちょうどよくて好きだった。かわいいサクランボ柄や親しみやすく今っぽいフォントは、読み終えると一見全然中身と合ってないようにも思えるんだけど、最終的には合ってない感じがしないのが不思議。普通で平和でどこにでもあるような感じを表面上出しているってことだよな、そこが合っているんだろうな。だって主人公たちは全然不幸せではなく、「普通」に笑って暮らしているのだから。……こわー。

  • 表題作はちょっと「紫のスカートの女」に似ている。「もう一人の私」もの。
    でも、なんだか、ラストのシーン、人によってはゾッとするかもしれないけど(語り手の妄想かもしれないし)、私は切ない幸福感でいっぱいになった。
    (変人だったから)孤独だった、誰にも愛されたことがなかった、居場所もなかったであろう主人公に、必要としてくれて、和気あいあいと語り合える家族のようなものができた。それが嬉しい。
    妄想かもしれないし、脆いかりそめのものかもしれないけれど、そんなことどうだっていいじゃないか。こういう風に人と過ごしたいと思いながら、かなわずに孤独を抱えて生きている人っていっぱいいると思う。そういう人たちに、幸せを与えてくれる作品。そんな小説、めったにないよ。

    今村さんの作品に出てくる人たちは、大きく分ければ「普通の一般人」だけど、社会生活が営めるか危うくなるくらいの逸脱があり、そして、そういう人たちは実際たくさんいる。人が難なくできることができない辛さは、一歩間違うと犯罪に走ったり、精神を病んでしまったりしてもおかしくない。そこをギリギリ耐えている人たちへの同士としての愛と優しさを感じる。
    「良夫婦」にもそれを感じた。

    今回は幻想的な作品がなく、そういうのも好きな読者としては残念だったが、今村さんの作品はこれからも読んでいきたい。

  • とんこつQ&A
    イライラし落ち着かなくて他の本は読めなかったけど、
    この本は読めたよ、はじめから掴まれて引きずりこまれる
    今村夏子ワールド。
    いい話なのか悪い話なのかすら曖昧で、ほのぼのするようで狂気に満ちている気もする。
    純粋そうな主人公に肩入れすると、あれこんな人だっけ?と少し離れたくなる。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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