とんこつQ&A

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  • 講談社
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感想 : 371
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065283967

感想・レビュー・書評

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  • むらさきのスカートの女と同列にある作品であると感じた。短編集ではあるが、どの作品も日常の危うさと、常につきまとうメランコリックを味わいながら楽しめた。
    令和であって、昭和を感じる作者である。
    やはり、不気味な雰囲気作りが上手いです。

  • 純粋なのに狡猾で残酷。
    真逆だけど人間はそうゆう事をするもの。
    自分がどんな大変な事を起こしても時々その事を忘れ普通の人間である事のような気がしてくる。
    めちゃくちゃわかる。

  • やはりこの人の破壊力はすごい。
    『とんこつQ&A 』『嘘の道』『良夫婦』『冷たい大根の煮物』の4編が収録されているのだが、まずこの『とんこつ』と『冷たい』のタイトルの破壊力がすごくないですか?今までこんなタイトルの小説があっただろうか、こんなタイトルありなんだ?という…。

    正直なのかトンデモなのか、展開の読めなさも好きなんだけれど、とにかく心情がとてもストレートで、私はぐいっと揺さぶられる。

    表題作もいいんだけれど、食べ物がタイトルに入っているからと言って、この人の場合絶対に「傷つくこともいろいろあるけど、丁寧で温かい美味しいものを食べて癒される〜」みたいなつまんない話にはなりっこない。
    『冷たい大根の煮物』に至っては何故かハードボイルドに感じられる。人間関係がハードボイルドなんだよ、きっと。ラストの1文はチャンドラー『長い別れ』の最後の1文と呼応してるでしょー。

  • 大好きな今村夏子さん作品。
    社会になかなか適応できなさそうな風変わりな人を主人公としていることが多いのだが、読んでいると主人公より周りの人間の冷酷さや不気味さに違和感を抱いたり、主人公の孤独さや切なさを感じることが多い。
    本作では『とんこつQ&A』と『良夫婦』が特に印象的だった。
    題材によっては重たい作品もあるが、世界観に引き込む力がすごく、物語に没入できる体験がやみつきになります。大好きな作家さんです。

  • このところ、怪異系のホラーなんかをちょっと覗き見したりしていたのだけど、今作を読んでしみじみ思った。
    やっぱり生きている人間が一番怖い。
    怖くて悲しい。

  • とんこつ好きによるとんこつ好きへのQ&Aサブカル本かな?とお思いきや、とんこつ関係ないジワリと怖くなるお話4作。
    日常の風景を切り取ったちょっとクスッとする何処にでもあるような話しの様でよくよくみると人々のダークな部分を炙り出していて怖い。笑ってるけど皆んな目が笑ってないようなそんな感じ。

  • 短編集で読みやすかった。
    微妙にズレた人達の、何気ない可笑しみのある日常と思いきや、狂気が垣間見えてくる。
    「嘘の道」が、一番ゾワっとした。
    集団心理と無意識な悪意はタチが悪い。消えていなくなるって、こんな顛末、怖いよ〜。

  • 今村夏子初読。
    タイトルが謎で手に取る。

    途中までハートウォーミングなお話だと信じてちょっと感動までしながら読んでいたのに、だんだん雲行きが怪しくなる。全編どれも。

    世渡りがあまり上手でない主人公が、半径1kmほどの小さな世界で、自分と他者の距離感に戸惑ったり見栄を張ったり傷ついたりしながら、ようやく生きている様を描く。

    それは私自身の鏡のようで、切なく思い入れた途端、彼らの中の姑息さや臆病ゆえの残忍さがチラリと覗き、ギクッとさせられる。
    「自分がどういう人間だったかを」p173 まっすぐ指を差されるように突きつけられる。ある意味、ホラー小説なみに怖い。
     

  • 「とんこつQ&A」「嘘の道」「良夫婦」「冷たい大根の煮物」の四編からなる中編集。

    どれもホンワカいい話風にまとめてあるけれど、実は怖い。人間は実は怖い。鏡に映してみる自分が一番怖い。
    そう感じさせられる話ばかり。
    人間って壊れる機会というのは割とすぐ傍にある気がする。

  • 独特の気持ち悪さが薄膜でうっすーーく残る話だった。
    優しさと奇妙が絶妙に混ざり合うカオスな空気感の今村ワールド。

    星の子やこちらあみ子ほどじゃないけど。 

    今村さんの作品ってだいたいの読み手が思う【ちょっと普通じゃない】と感じる感覚で読み進め、終盤にかかる頃には、そういえば自分を含め人間って普通じゃないとこばっかりだよなぁ〜って無意識に自分が納得してるのが不思議。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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