とんこつQ&A

著者 : 今村夏子

• 講談社 (2022年7月21日発売)

感想・レビュー・書評

[yuka♡さんの感想 · 2023年2月7日]

『むらさきのスカートの女』で今村夏子さんを知り今回二作目です。
独特なシュールな世界観がおもしろく、時々ゾッともする短編集でサクサク読めました。クセになりそうです。

[和坂林太郎さんの感想 · 2022年8月5日]

今村夏子ワールド全開の短編集で、私にとっては、久しぶりの著者の作品でした。どこか暗くなる気持ちになってしまうのだが、どこか秀逸で、とても
自分と共感してしまう所もあるなと錯覚してしまう
作品が多かったです。表題作の「とんこつQ＆A」
中華料理店とんこつで、働き始めた今川さんが、新たに自分の居場所を見つけたと感じて、働くのだが、新たな従業員が入ってきた瞬間から、世界が変わってきた。今村さんの狂気の部分が、終盤から出てくるので、とても読んでて、ゾクゾクしました。

[mihiroさんの感想 · 2022年10月19日]

大好きな今村さん！！
やっぱり今作も不穏でした←期待してたけど\♡/"

4つの話からなる短編集♬

1番印象に残ったのが表題作の「とんこつQ&A」
今村ワールド全開でした。
謎のタイトルの意味が笑えた〜
そもそも"普通"が何かは分からないんだけど、ここに出てくる4人全員が一般的なとこからはかなりズレてた。
みんな真っ直ぐで純粋で、だからこそ何かしら違和感を感じさせてしまう。
笑えないんだけど、ツッコミどころ満載だったな〜。
結局、自分もおかみさんって呼んでるんかーーい！笑

「嘘の道」「良夫婦」は誰もが犯してしまいそうな話で、ちょっとゾワっとした。
もともとは良心からした事なんだろうけど、こういう事ってあるよな〜。
その良心も中途半端だったり、やり過ぎだったり違和感はちょっとあったけど、、
こういう時、結局は自分をかばってごまかしてしまうものかも知れないなとヒヤっとした。

「冷たい大根の煮物」も、なんかその辺にありそうな話で。柴山さんの本意はよく分からないけど、捉え方はその人次第って事かな。
私はそもそも苦手なタイプで警戒してしまうけど、少なくとも木野さんにとっては柴山さんは良い人だったのかな。

4つどの話も不穏だけど、久々に今村ワールド堪能しました♡♡

[つくねさんの感想 · 2023年3月25日]

今回の話は実際いそうで、いなさそうな、いやいるかなってところがリアルで怖いです。越えてはいけない一線で踏みとどまっているようなボーダーな人って潜在数からいえば多いし大まかに言えば普通に分類される感じの人たちだから小狡さもあり脆さも抱えていて、ちと退いてしまうんですよね。
多様性が進む世の中で、普通でいることのほうがむしろ難しいとゆうか、要領よくいかないとダメな訳で不器用な人にとっては生きずらさを感じます。

『とんこつQ&A』
接客マニュアルが膨大に膨れ上がってQ7855532659とか78億超え、もう呆れるしかない。
JOY使わずに粉洗剤使ってたらまた違う未来なんでしょうけど、後から入ってきた女の人があれだけ多くのマニュアルをインプットして、拒絶反応なかったのが良かったとか、ロボットかぁってツッコミ入れたくなりました。

『嘘の道』
今村さんにしては珍しく男性が主人公な作品。
罪悪感から存在消しちゃた姉と弟。
陰口叩きすぎて、そんな思考だから反対の立場になると自らを裁いちゃう感じかな。
別に悪いことした訳じゃないのに子供だから配慮に欠けただけの事案なのにね。

『良夫婦』
友加里みたいな人結構いるんじゃないかな。夢中に世話を焼くけどイレギュラーが起こると固まってしまい思考停止して責任とれない感じの人って。
こうゆう時に機転の効くパートナーがセットでいてくれてよかった感じですが、リセットしてくれる人がいなければいつ壊れても不思議じゃない人ですね。

『冷たい大根の煮物』
はっきり断れなくってその後、共依存の関係になった感じだからおたがいさまじゃないかな。

今村さんの作品に出てくる人たちとは、あまり近づきたくないなぁって感じるのが本音なんですが、とんこつQ&Aの今川さんとは友達になれたら楽しそうって思いましたっw

今回とんこつＱ＆Ａ以外の３編はなんとなく結果が予想できちゃったので今村脳に侵されたんじゃないかって思うと心配でカウンセリング受けたくなりましたｗｗ

[かなさんの感想 · 2022年11月12日]

この前に読んだ「星の子」とは全く作風が異なるように感じました。ちなみに私は今作の方が読みやすいと思いました。4編の短編が収められていますが、リアルに生活している上でちょっとありそうな内容だったからかもしれません。
一番印象的だったのは、「良夫婦」…旦那さんすごいですねぇ…まさに『良夫』です！
今村夏子さんの作品は、読めば読むほどに作品の良さがわかり、癖になるような読み応えを得られます。

[かなさん · 2022/12/10]

チーニャさん、今村夏子さんの世界た独特で、
ホント飽きさせないというのか、中毒性があるというのか…
もう少し経ってまた読んだら今度は別の感想持てそうですよね！
こんな風に思わせてくれる今村夏子さんって
やっぱりすごい作家さんです！！

チーニャさん好みの今村夏子さんの作品、
「木になった亜沙」はどうでしょう？？
多分楽しんでもらえると思います。
お時間があって、何を読もうか迷うことがあれば
手に取ってみてください(^^)

[チーニャ、ピーナッツが好きさん · 2022/12/10]

は～いわかりました(^^)
良いですね｡気になります(笑)
挑戦してみますね。
ではまた、
おやすみなさ～い
(。-ω-)zzz

[かなさん · 2022/12/11]

チーニャさん、
そう言ってもらえたら嬉しいです(^^)
はい、またお話しましょうね♪
おやすみなさい…。

[借買無 乱読さんの感想 · 2022年9月30日]

四つの物語が収められた短編集。ほのぼのしているようで、どの話も不気味な要素が混ざっている。だけど面白かった。

[TＴさんの感想 · 2023年7月21日]

お客様対応が出来ずに立ち尽くしている新人おるおる！それウチの職場でもあるなぁ特に4月5月ww
あらかじめメモに書いていて、それを読む！それ斬新革命に感じます。ツッコミどころ多いですが、とんこつQ&A面白かった。

ただ、あとの3話は今村先生のアンニュイな世界観がよう分からん……結局、与田正もタム少年も芝山さんもなんの話やったんでしょ？苦手ですわ

[ponnyさんの感想 · 2023年9月3日]

　今村夏子さんのらしさが詰まった4編の短編。その中でも表題作『とんこつQ&A』が一番良かった。全体を流れる優しい空気感、コミカルな展開、店の名前の由来などの小技？も効いている。終始和やかに話が進みながらも最後はやはり怖い…

　『嘘の道』はもう少し明確に怖い…正直に言えなかった罪悪感に苛まれるのは、ちょっとした事なら誰しも経験がありそうで気持ちはわかる。一方で嘘はよくない、イジメ防止などそれぞれは正しく、誰もが善意で行動しているのに結果は狂った社会になっているという流れに『地獄への道は善意で舗装されている』という言葉を思い出す。

　『良夫婦』はいつもとは少し違った表現か。みんな何かしらの言えない秘密を胸に表面的には善人として生きているのか。『冷たい大根の煮物』もありそうな状況。芝山さんは人のものと自分のものの概念が希薄なだけで悪い人ではないと信じたい…この2作は人を信じる事ができるか？との問いかけをされているよう。次回の長編はこの辺を突き詰めたものになるのかな？それはそれで楽しみ！

　いずれの話も今村夏子さん好きはもちろん、初めての今村夏な子作品としても楽しめると思います。

[サクさんの感想 · 2023年3月7日]

今村さんらしい、気持ちが悪い人たちの話（褒め言葉）です。短編4作ですが、どれも読み始めたら止まらなくなりました。ある意味ホラーです。クセになります(笑)

[ぐぅこさんの感想 · 2022年9月9日]

これぞ今村夏子ワールド！！なんでしょうね^_^
もっと今村さんの作品が読みたい欲が読後の今、生まれています。

今村さんの作品を読むのは今回で３作品目ですが、毎回展開が予想の斜め上をいくのでビックリ＆面白い！！そして、ほんと薄ら怖い笑笑。
特に『嘘の道』と『良夫婦』は、どこかに似たことが普通にありそうでとても怖いなと思いました。
自分の保身のために本当のことを言えないというか言わない人間の弱さや狡さ。それをとても上手く描かれているなぁと。怖い怖い。

著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。