- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065283967
感想・レビュー・書評
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とんこつQ&A
「とんこつ」で働くためのQ&Aを作成する。
噓の道
嘘つきは、いつか消えていく。僕も消え始めてるのかも。
良夫婦
妻は近所の小学生を手懐けようとする。
冷たい大根の煮物
金を貸すと返ってこない同僚が料理を作ってくれる。
これは、どの話も面白かった!!
確か、アメトーークでも紹介されてた気がする。
うんうん、納得ー笑
「噓の道」は、ザワザワしながら終わる感じがよかった。
こういう終わり方って、なんか好きなんだよねー。
「とんこつQ&A」は、そんな人いるー?って
思いながら読んだよー。
仲良くはなれないけど、遠くから見てる分には
面白い人たちだなーって思っちゃったー(*´▽`*)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かなり不器用であり性格的に少し異常な人々を描く短編集。4話収録。
* * * * *
うーん、やっぱり今村ワールド。ホラーでもファンタジーでもないのに、かなりシュールな世界でした。
1話目の、主人公を含む食堂の面々。
最初はわりとまともに思われた大将父子が特に異常で気持ち悪い。自分ならこんなビョーキな人たちが営む店には行かないなあ。なぜ常連さんがついているんだろう。
ということで理解不能な表題作。
2話目と3話目は、いかにもありそうな展開で進んできたのに、最後はゾッとするような異常な空気を醸して終わります。ああ怖い。
4話目が最もリアリティのある物語でした。
主人公の木野はよくいるタイプの人付き合いが苦手で不器用な女性ですし、親切を装って近づく中年女も話にはよく聞く寸借詐欺です。
光熱費を負わされ1万円を借り逃げされた主人公だったけれど、調理の要領やリズムを教わったことも含め、木野にとっては人生勉強になったと(無理やり)納得できないこともない。
ただ「大根の煮物」は例え冷めてなくても、この先も木野は食べることができないだろうなと思いました。
今村さんの最新作。覚悟して読んだはずでしたが、作品の強烈な力に押し切られてしまいました。私の負けです。 -
終始不穏な感じが続き、ソワソワしながら読んだ。『むらさきのスカートの女』といい、今村夏子さんは不気味だけれどクセになる物語を描くのが本当に上手。
収録されている4作品中、私は特に『冷たい大根の煮物』が好き。相手にいい人だと思わせ、油断させ、その隙に悪事を働く。世の中で1番怖いのは人間かもなと思わせてくれた一冊。 -
なんだろう…読後に残るうっすらとしたモヤモヤ感……
どの作品も、終わった後に「え?これでいいの?」と、つっこみたくなる感じです。 -
「紫のスカートの女」は苦手な作風でしたが、こちらはなかなか楽しめました!
一癖ある登場人物達の、それでもありふれた日常の先にある不気味な出来事が4編納められています。
あれ?途中まで何の違和感も感じなかったのに、どこからずれてきた?
どのお話も後半一気に「普通」から逸れていってしまう恐ろしさと面白さ。
「世にも奇妙な物語」に似た世界観かなと思いました。
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やはり、今村夏子ワールド!読み終わってから考察してしまう!!
短編集になっておりすごくさくさく読めて面白かった!
今村さんの作品を読むと、この展開は面白い!とか、このかんがえはなかったーとか、驚くこと多々あり。
不思議な内容だけど、引き込まれていくし、これぞ今村夏子ワールド!って感じでした♪ -
たまらなく癖になる、
唯一無二の不可思議ワールド。
拭えぬ違和感。根を張る疑惑。
忍び寄るイヤな予感。
平穏な空気がいつのまにか二層になり、
ふと気づくと足元に漂う不穏。
その薄ら怖さを意識すればするほど泥濘んでいくのに、
その危うさに身を任せてしまう。
本当の怖さは日常に潜んでいるのかもしれない。
きっとみんな口にはしないだけで
身に覚えがある。
きっと何かに感づいている。
そのざわつきに息を潜めて、
どうしたって読まずにはいられない。
今村夏子中毒者ですが
『とんこつQ &A』が一番好きかも!
ふつふつ、ふつふつと煮詰まった不穏が
粗熱も静まり、冷たく形を崩し、浸み込んでくる
『冷たい大根の煮物』などなど
今村夏子さんの短編が4つも楽しめちゃうという
よだれモノ短編集。
「とんこつQ&A」
「嘘の道」
「良夫婦」
「冷たい大根の煮物」 -
4つの短編が収められているが、全体的に僕が期待していたような小説ではなかった。何様だと言われるかもしれないけど、「嘘の道」以外、今村さんらしい不穏さというものを感じられなかった。いつもの鋭さが無かったといえばいいかもしれない。
今村さんといえば、人々のいびつさを描く作家だと思う。それもかなり現実的に。そしてある時点で読者にその人物のいびつさ、言い換えれば異常さ・狂気にピンポイントで気づかせる。でも表題作の「とんこつQ&A」では、とんこつで働く人全員が客も含めてもれなく狂っているからか、狂気が当たり前になった世界はほのぼのしているだけで、異常さが際立たず、そのためか僕は怖さを感じなかった。
また「良夫婦」や「冷たい大根の煮物」はただ普通の日常を描いた小説のように感じられた。唯一「嘘の道」だけが、僕が思い描いていた今村さんらしい小説になっていた。「嘘の道」では子供の無邪気さに潜む残酷さがとてもよく表現されていた。姉弟が自分をだまし、罪から逃れた末のオチも面白かった。歳月が経つと存在が消えるというのは一つの現象というか真理なのかもしれないと思ったし、これはこれで怖いなと感じた。
本作を読んで思ったのは僕が勝手に今村さんらしい小説というのを期待していて、その自分のほうに問題があったのかもしれないということだ。作家だっていろいろ作風は変わるだろうし、本作を読んで怖さを感じなかった自分が麻痺していたかズレていたのかもしれないと、読み終わって自問した。もしくはそもそもそういった怖さを求めて読むべきではなかったのかもしれない。