沈みゆく大国 アメリカ (集英社新書)

著者 : 堤未果

• 集英社 (2014年11月14日発売)

感想・レビュー・書評

[quazismさんの感想 · 2019年6月27日]

今回のテーマは「オバマケア」に焦点を絞ってのレポート。米国における国民皆保険制度の難しさを考えさせられる。無知であることの恐ろしさに警鐘を鳴らしている。

[riodejaneiroさんの感想 · 2019年6月10日]

貧困大国に続き、一気に読んだ。
今回は米国の医療に焦点をあて、大衆に喜ばれたオバマケアが如何に中流・下流の階層、さらに医師たちの負担を増やしてしまったかについて書かれている。

まあ確かに色々と破壊してしまった所はあるかもしれないが、少なくとも破壊することを目的にやろうとしたわけではなく、救おうとしたが、結局その方法論を間違えてしまったということか。ただ少なくとも変革をする場合、不利益を被る人々が出てきてしまう事は避けられないと思うが、それにしてもその度合いがひどかったという事なのだろうか。

どちらにしろ、システムが複雑化しすぎ、わかりづらい事、またビジネス化しすぎたという著者の主張はわかる気がする。話だけ読むともはや破綻しているとさえ思われる保険システムだが、2000年代初頭に米国に滞在していたが、そこまでの問題は感じられなかった。次の抜粋と被るが、筆者のいう、知らないという事は隙をつくることになるという言葉が重い。

P.114 (NYハーレム地区で開業するドン・ダイソン医師の話）
どこの国でも患者はもっと自分たちの健康について知る努力をするべきでしょう。食べ物や生活習慣や病気のことだけっではなく、自分たちの社会で医療というものがどんなシステムで動いているかを。実は教育レベルの高い先進国ほど、こうしたことに無関心なのです。けれど国民にとって無知は弱さだ。気づかないうちにいろいろなものを奪われてしまう。

[Chelangatさんの感想 · 2019年3月30日]

読了

[gratius2018さんの感想 · 2019年3月5日]

オバマケアの実態を暴く。これでは皆保険制度とは言えないのでは？
ＴＰＰ以外にも日本の医療が侵略されているのには要注意！！

[能戸淳（じゅんじゅん）さんの感想 · 2018年12月8日]

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[dekadannaさんの感想 · 2018年11月12日]

オバマケアの本質がよくわかる本。日本式の皆保険が曲がりなりにも実現したと思っていたが、大間違いであることがよく分かった。結局、これまでの保険会社を益々利するだけの制度であり、その設計者は保険会社から出ているというのも、ショックだった。金の威力というのは恐ろしい。ほんと、この本を読むと無力感に苛まれる。日本は、どうなるのだろうか？30年遅れでアメリカ化を実現しているが、医療に関しては、とっても儲かるようなので、もっと早まりそうである。

[kyan88さんの感想 · 2018年10月12日]

「オバマケア」って日本のように皆保険制度だと思っていたが、この本を読む限り実態は、業界トップに君臨する少数企業とウォール街が形成する1％と、その傘下で低賃金と増税、医療や教育費に苦しむ99％の二極化に貢献した制度のようだ
無知は弱さになる。奪われないためにも日本の医療制度の概要ぐらいは知っておく必要がある。

[littlebambさんの感想 · 2018年3月21日]

蓄えがないと悲惨な老後を迎えるアメリカの医療・介護の現状を紹介し、その背景にある医療・介護ビジネスの存在を指摘。ひるがえって日本の国民皆医療保険制度も、各種の規制緩和によりアメリカ化しつつあると警告する。
制度を作るのは政治、その政治を動かすのは世論、その世論がロビイングや情報操作によりいかに形成されるか、という話が第2章。
第3章はアメリカ、第4章は日本の、医療を改善するための足元からの取り組みを紹介。地域医療におけるプレーヤーの一員にキリスト教団体が登場する（p144）のがアメリカらしい。
個人のレベルで言えば、正しい医療情報や健康情報の理解ともつながる話。

[ビビビガ光線さんの感想 · 2018年2月21日]

「久米書店」を観てこの本と著者のことを初めて知った。「久米書店」での話が面白かったので、読んだ本。著者の著作の中で初めて読んだ本。この本を読んで「オバマケア」の問題点や1つの大企業による独占のデメリットについてよくわかった。「オバマケア」のデメリットの話が読んでいて怖いと思った。次の選挙の時に政党の政策について考える時に参考になる本だと思った。著者の他の著作も読みたいと思った。

[ドラソルさんの感想 · 2017年11月19日]

アメリカのオバマケアについて、その実態について描いた一冊。

日本からは好意的に見られているが、実際は中所得者や医療業界は大変で、潤うのは製薬業界だけという話。
そして今後は日本も他人事でないということがよく分かった。

著者プロフィール

堤 未果（つつみ・みか）／国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業。ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券を経て現職。米国の政治、経済、医療、福祉、教育、エネルギー、農政など、徹底した現場取材と公文書分析による調査報道を続ける。

「2021年 『格差の自動化』 で使われていた紹介文から引用しています。」