谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462494

感想・レビュー・書評

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  • 短篇4作。現代仮名遣いになっているので読みやすい。純文学のイメージだったので意外な面白さ。

    「柳湯の事件」は幻想風味もあるがドロドロした感触が伝わってくる。
    「途上」探偵がじわじわと追い詰めていく様子がスリリング。
    「私」は信用出来ない語り手。アクロイドより前に書かれたというから驚いた。
    「白昼鬼語」は探偵と助手ものの趣きがあって面白かった。美女の描写にとても力が入っている。
    オチはそうか、となるけれど興味をそそられる謎が散りばめられている。

  • いわゆる犯罪小説とはちょっと異なる。内容的には淫靡で倒錯的でちと残酷なのだが、なぜかカラッとしている。

  • 短編アンソロジーである。谷崎潤一郎の耽美性が満ち満ちている。『柳湯の事件』、『白昼鬼語』が特に好きだ。読者はもてあそばれて、魅せられる。読む前は実在の犯罪をもとに書かれた作品だと感じてたが、そうではなかった。潤一郎ワールドが甘美に展開されていた。纓子にくるおしい思いを遂げてしまった園村はさすが潤ちゃんである。『痴人の愛』のナオミを思い起こした。「犯罪小説」の話から脱線してしまった。

  • 期待以上の面白さ!谷崎文学らしい艶かしさもあるし、ミステリー要素もばっちり体験できる。うーん、好きだ。

    全作品魅力的だけど、しいて一番を選ぶなら『私』かな。
    一言で言ってしまえは、読者=私=…なところにトリック要素があるんだけどそのプロットがさらに狂気を醸し出してる。昭和の文学だけど、文章も読みやすいし。次は長編に再チャレンジしようかな。。

  • 谷崎潤一郎、おもしろい!
    一気に引き込まれてしまいました。
    短編4作品。秀作揃いに唸らされます。
    大正時代の風情が趣深い。
    オススメの一冊です。

  • 小説を書いていなければただの変態なおっさんだったんじゃなかろうか。
    そんな谷崎潤一郎の名とタイトル「犯罪小説集」の文字と並ぶのは、紅い林檎飴で口元を隠した、もの言いたげなツインテールの少女。絵面がなんともいかがわしい。
    ……すごくいい! 表紙カバーにこのイラストを選んだ編集者は良い仕事をした!

    収録されているのは、ある弁護士の事務所にとつぜん現れた青年が、もしかしたら自分は人を殺したのかもしれないと告白する「柳湯の事件」。湯河の目の前に現れた私立探偵を名乗る男が、馴れ馴れしくも彼の前妻の死について推理を語る「途上」。学生時代、寮で起きた窃盗事件を回想する「私」。殺人の日時を示した暗号のメモを手に入れたという友人に振り回され、深夜の人形町で目撃する殺人の顛末を描く「白昼鬼語」。いずれも日本における推理小説の原点となった4篇。

    谷崎にかかれば罪深い妄執や狂気すらも妖しい美しさを帯びてくる(気持ち悪さも大分ある)から不思議。

  • こういうお話を書かれているとは露知らず。

    ミステリー的な要素もありつつ、時代的な風景も描かれていて面白かったです。精神的に追い詰めてたり、ブラック的な要素があったりと、4編の短篇集ですが、内容は濃い!

  • 装丁に惚れた。

    りんご飴の艶やかな紅さが
    どうしても手に取らずにはいられなかった。

    楽しいはずの祭りの喧騒のなかで見せる
    りんご飴を持った少女のうつろな瞳と
    懐かしさすら感じる夜店の風景。
    何時間でも眺めていられる。

    柳湯の事件/途上/私/白昼鬼語
    の四編収録。

    犯罪小説と銘打っているが
    トリックをどうこうする類いのものではない。
    人の秘めたる欲望、狂気を表現した作品。

  • のっぺりと官能的なミステリーマゾ小説。さすがの谷崎作品は読ませますね。「悪魔は神様と同じように美しい」って言葉はなんか心に残ってます。

  • 「読む」という行為に仕掛けられたトリック(!)
    欺かれたのは、他ならぬ『僕』である。そうまざまざと実感させられた作品集です。

    犯罪というストーリーの構成もさることながら、視覚や触覚、嗅覚にも訴えかける著者の筆力も特筆すべき点です。
    あの江戸川乱歩をして、「谷崎氏が探偵小説家にならなくて良かった」と言わしめた質の高さは、誰もが納得することでしょう。

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著者プロフィール

1886年7月24日~1965年7月30日。日本の小説家。代表作に『細雪』『痴人の愛』『蓼食う虫』『春琴抄』など。

「2020年 『魔術師  谷崎潤一郎妖美幻想傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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