- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087462494
感想・レビュー・書評
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谷崎潤一郎の作品はほとんど初めてだったが予想以上に良かった。個人的には柳湯が不気味で好きだった。解説にもあるように乱歩が大きく影響を受けたのがわかる。
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何故か機会あるごとに谷崎潤一郎を読んでいるなあ。
「柳湯の事件」を読んで、背筋がぞわりとした。
妻を愛で、殴り、懇願する夫。いつしか銭湯で妻の髪や体を足蹴にしている“感覚”に襲われる。
その暴力性ではなく官能性が浮き上がってくるのが流石。
「白昼鬼語」でもそうだが、現実感のある女ではないのに……生々しさや美しさを際立ち、魅了される。-
表紙イラスト(くまおり純)が、それっぽさ無しって言うのが面白いって言うか、凄いって言うか。若い人が読んじゃってハマるんだろうなぁ~
表紙イラスト(くまおり純)が、それっぽさ無しって言うのが面白いって言うか、凄いって言うか。若い人が読んじゃってハマるんだろうなぁ~
2012/07/18
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谷崎潤一郎が実は推理小説、ミステリーらしきものをいくつもしたためており、しかもそれがどれも秀逸らしい、と知り手に取った一冊。
収録されている4篇ともキャリアの序盤、100年と少し前に書かれたもので、やたらと"気違い"などという言葉が登場し、マイノリティやハンディキャッパー、あるいは女性に対する差別が顕在的かつ余りに露骨だなあ…と、今となっては半ば呆れてしまうところはあるが、読んでいるうちに我知らず、その時代に生きているかのような錯覚に陥る。
それほどまでに、作品が持つ見えざる膂力は凄まじく、つまり、文章の美しさ、完成度が際立っている。
プロットの方も、江戸川乱歩が文壇に現れる前の当時では、まだ誰も日本語で読んだことがなかったであろう、革新的かつ実験的なミステリーの構築が試みられており、こんな一面もあったのか、と素直に感嘆する。
そこに、人間の醜い業とも言えるフェティシズムや、退廃的な印象すら醸し出す耽美主義といった要素が不可分に絡みついてくるところが、いかにも"らしい"ところであり、期待を外すことはない。 -
短編4本。
あらびっくり、な落ちがあったりでしたが
ちょっと語りが長い。
説明だけで犯罪内容を終了させているので
分かりやすいは分かりやすいのですが
読むのに疲れました。 -
乱歩が谷崎を日本のエドガー・アラン・ポーと高く評価したのも納得。『私』が書かれたのがクリスティの『アクロイド殺人事件』の5年前というから驚き。まさしく日本のミステリー小説の先駆者と言っていい。
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高校生の時に読んだ「富美子の足」に
衝撃を受けて以来、久しぶりに谷崎潤一郎作品を読んだ。
(メインタイトルの「白昼鬼語」は
そんなオチ?と思ってちょっと消化不良...)
とにかく女性の描き方に並々ならぬ作者の拘りを感じる。
女の滑らかさ、白さ、美しさ、など
人一倍女性に執着してたんだろうなと改めて思った。 -
なんか乱歩っぽいなと思ったら、乱歩が感銘を受けた作家なんですね。 登場人物の心理描写が秀逸で、文章もとても美しくて一気読みでした。 他にも小説集があるようなので読んでみたいと思います。
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収録作は「柳湯の事件」「途上」「私」「白昼鬼語」の4作品。女性が出てくると怪しくて美しい世界観に一気に引き摺り込まれる感じがする。
「白昼鬼語」が4作品の中で1番長くて読み応えがあった。オチが予想外でびっくり。
犯罪小説として1番面白かったのは「途上」。探偵がある男を追い詰めていく様が痛快だった。 -
なんだか、谷崎潤一郎に弄ばれているような感じがした。
推理小説ではないので考え込まず素直に読めたのが心地よかった。