- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087468434
感想・レビュー・書評
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ここの出版社から発売されているから、この本を買うという顧客心理はなかなかないと思うが、集英社が毎年行われているナツイチは「夏が来たなぁ」と個人的に感じるイベントの一つだ。毎年旬の女優が広告に起用される。今年は剛力彩芽だ。
ナツイチ制作委員会編集によりできあがったスペシャル企画の一つが本書である。「池袋ウエストゲートパーク」の石田衣良、「食堂かたつむり」の小川糸、「もういちど生まれる」で直木賞候補に選ばれた朝井リョウなどなど超豪華な作家陣が描いた青春の一冊。
いつか、君から受け取った大切な気持ちを、返せる日が来たらと願っている。親を失い途方に暮れていた僕に、手を差し伸べてくれた君。悪い噂を気に留めず、僕を愛してくれた君。気乗りのしない挑戦に、最後まで付き合ってくれた君――。ままならない想いに振り回され、つまずきながらも前へ進む「少年たち」の物語を、人気作家7人がこの一冊のために執筆。ほろ苦くもすがすがしい傑作青春小説集。
朝井リョウさん目当てで買った本書だが、個人的に石田衣良さんの短編が上手いと思った。石田さんは「娼年」や「夜の桃」など性的な内容も含まれる小説を執筆することもあるが、どの作品もいやらしく感じず、きれいに感じさせる。本書に掲載されている「跳ぶ少年」でも性的な部分が少しありつつも若い人の青春が描かれており、瑞々しさも感じる。
あと山崎ナオコーラの「正直な子ども」が好きだ。別にストーリーとしてめちゃくちゃ面白いわけでないけれど、人間の本質が描かれている。彼女の作品はどれも知らないうちに読み進めていってしまう。個人的にかなり不思議な作家だ。
短編集が苦手っていう人にとっても読みやすい一冊、この夏にピッタリだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「少年たち」の物語が7人の作家によって紡がれている。
読み終わって残った感覚が、男性作家と女性作家ではなぜか違っていた。
どの作品も主人公は少年なのだが、女性作家が書いたものは、少年が主人公にも関わらず、女性の方を描いているように思えてならないのだ。
小川糸さんの「僕の太陽」は、母と息子の物語である。息子が主人公なのだから、彼の心情がメインのはずなのに、読後に残るのは母の物語である。
辻村深月さんの「サイリウム」も、主人公はオタクの少年なのだが、やはり印象に残るのは彼の姉だ。
山崎ナオコーラさんの「正直な子ども」は少年とか少女というよりは、性別のない「こども」の話。オチもないし、何をどうしたいのかわからない話だった。
私がこのアンソロジーの中でもっとも「少年らしさ」を感じたのは石田衣良さんの「跳ぶ少年」である。相手役で中年の女性が出てくるけれども、その描かれかたはあくまでも「少年から見た姿」であり、メインは翔太という少年の精神と肉体のありさまである。
朝井リョウさんの「ひらかない蛍」はちょっと切ない話だった。中身とは関係ないがタイトルが「ひからない」と読めてしまうのでちょっと混乱した。
吉田修一さんの「少年前夜」は長編のオープニングのような作品だったが、なんとも煮え切らない、説明できない衝動が描かれていて胸にずしんときた。
米澤穂信さんの「913」は何かのシリーズの中のひとつかと思うような展開で、浦上先輩の意図がわからないままなのがややもどかしかった。
同じタイトルで少女編もあるのだが、そちらは読む予定なし。
やはり物語は少年に限る。 -
夏の短編集。
気持ちが穏やかに逆転していく様子を描いた
小川糸の話が一番好きだった。
実はちゃんと伝わっていて、繋がっていたんだという実感。 -
[2012.07.07]
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H24.07.03
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比較的年齢層が低めだった。青春アンソロジー。私の苦手な作家さんが収録されてた。アンソロジーにはかかせない常連さんだけど、毎回読む度に苦手意識が強くなってしまう(+_+)
個人的には全体的にぱっとしない内容だったなぁと思う。強いて言うなら辻村深月さんの話が印象に残ったかな。