空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468823

感想・レビュー・書評

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  • 『 #危険な読書 』よりチョイス。

    チベット奥地を流れるツアンポー川流域に
    存在する世界最大のツアンポー峡谷。
    これまで数々の冒険家たちが挑み
    それでも未だ未踏の地域があり
    「空白の五マイル」と呼ばれている。
    そこに単独で挑んだ著者の記録とツアンポー探検史。

    こんなに技術が発達した現在でも
    前人未踏の地があるなんて!
    しかもそこにたった独りで挑むなんて…
    その命がけの探検は何よりも
    自分との戦いだということを強く感じた。
    やはり著者は冒険によって
    生きている意味を感じる瞬間があると言っている。
    その上で続けてこう付け加えている。

    «冒険は生きることの意味をささやきかける。
    だがささやくだけだ。答えまでは教えてくれない»

    人生はその意味を問い続けることであるのだと思った。

  • これはまさしく、21世紀の冒険小説である

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/detail?rgtn=B13634

  • 一気に読めた。考察部分はちょっと飽きそうなところもあるけど、探検の描写はとても引き込まれる。
    しかしこの人いつも成功しないね。
    ただ単に冒険するだけじゃなくて、過去の冒険者の著書やら話からかなり勉強していくのがすごいなと思った。これが普通なのか?冒険者って言うと無鉄砲に行くのかと思っていたけど。

  • 角幡氏がした冒険も凄いがツアンポー峡谷に挑んだ歴史上の冒険家の話がとても面白かった

    冒険家であり元新聞記者である著者の文章力のなせる技だろう
    ネム・シンの従者キントゥプの話は特にビックリするような冒険譚で同行者のラマ僧に裏切られて奴隷に売られるという波瀾万丈の物語は興奮した

  •  冒険家、角幡唯介が学生時代に訪れたのは、チベットの奥地に残された未踏のツァンポー渓谷の五マイルだった。

     英領インド時代の150年ほど前から現代に至るまで、ツァンポー渓谷は様々な冒険家探検家により調査が進んでいた。
     しかし、一番切り立った峡谷部の五マイルだけは未踏の地として残されていた。

     そして学生時代、若さの勢いで筆者はツァンポー渓谷に入渓するが空白の五マイルに触れたのち撤退する。
     そして就職するも五年で仕事を辞めてツァンポー渓谷に戻った。

     ツァンポー渓谷に関わる歴史を紐解き、なぜ人跡未踏の地があるのか、そこに何があるのか、知りたいという一念に命を懸ける。

  • 292.2

  • 高野秀行氏の著書で本書に興味を持ち積読。同氏との対談本が文庫化されなかったら、未だ積読だったかも知れない。ツアンポー峡谷の探検を、過去の探検家の伝記や早大カヌークラブOBの遭難という外伝を前半に配することで、著者の冒険行に深みを与える考えられた構成だし、その意図は対談で窺い知れる。常にじめじめした密林を藪漕ぎし、急峻な岩壁を昇り降りし、深雪の尾根をラッセルする単独行の情景に過酷さが伝わってくる。

  • リアルでハラハラ、ドキドキ。

  • チベットのツアンポー峡谷に対する探検家の歴史を紐解きながら、探検家でもある著者自身のツアンポー峡谷探検を綴ったノンフィクション。
    本自体は面白いのだが、おそらく峡谷のスケールは文章では伝えきれていない感じがして勿体なさを感じた。
    もっと沢山の写真を大きく掲載すれば良いのに。

  •  なぜ本を読むのか。と問われたらどう答えるか。

     人生の指針とするためとか、教養を身につけるためとか、ボケ防止とか。
     いちいち読書の効用なるものを期待する風潮があるが、自分ならこう答える。
     そんなもん、読みたいからに決まってるじゃないか。
     あなたはなぜご飯を食べるのですか?と聞くぐらいおかしな質問だ。 


     なぜ山に登るのですか。そこに山があるからだ。
     有名なこの言葉も、つまらないこと聞くな、山(エヴェレスト)に登りたいからに決まってんじゃないか、という意味じゃないのかと思ったりもする。


     なぜツアンポー峡谷なんてに行くのですか、命をかけてまで。なにか社会に対して伝えたいメッセージがあったのですか?
     この本を出版するとき、雑誌のインタビューを受けた著者は返答に窮してしまう。
     ・・・ツアンポー峡谷なんて日本人はまず知らないだろうし、知ったところで興味が湧くでもないだろうし、つまりは社会的な意味なんて全く無い秘境だ。


     煎じ詰めればひとりよがりの理由だと気づく。私は命をかけてでも、そこを冒険したかったんだ!


     おぉ、なんと清々しい態度だ!


     前置きが長くなった。


     チベットの奥地に世界最大の峡谷、ツアンポー峡谷がある。人跡未踏のその峡谷には、数多の冒険家たちの挑戦を退けた空白の5マイルと呼ばれる秘境がある。
     落差が50メートル以上もある幻の大滝があるとか、チベット密教のシャングリラがあるなど、噂されていた。
     真偽を確かめようにも激流に阻まれ、巨大な岩棚に阻まれ、日がほとんど差し込まない峡谷特有のぬかるみに足を取られ先に進めない。現地の人でもあまりに危険で近づこうとはしない。チベットを弾圧している中国政府からの邪魔も入り、案内を頼もうにも現地でガイドを雇えない。中国の法を犯して踏み入るので、見つかれば逮捕確実。頼みの綱は我が身のみ。


     様々な困難を乗り越え到達した峡谷の奥深くに広がる光景とは…
     それを初めて目撃した時に押し寄せる感動とは・・・


     ツアンポー峡谷に挑んだ数々の猛者どもの探検の歴史を追体験しながら読み進むので、非常に面白い冒険譚になっている。
     
     ほんと、男って馬鹿だよねえ。なんでそんなことに命をかけるかねえ。
     
     だから面白いんだけどね。

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著者プロフィール

角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)
 1976(昭和51)年北海道生まれ。早稲田大学卒業。同大探検部OB。新聞記者を経て探検家・作家に。
 チベット奥地にあるツアンポー峡谷を探検した記録『空白の五マイル』で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞。その後、北極で全滅した英国フランクリン探検隊の足跡を追った『アグルーカの行方』や、行方不明になった沖縄のマグロ漁船を追った『漂流』など、自身の冒険旅行と取材調査を融合した作品を発表する。2018年には、太陽が昇らない北極の極夜を探検した『極夜行』でYahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞を受賞し話題となった。翌年、『極夜行』の準備活動をつづった『極夜行前』を刊行。2019年1月からグリーンランド最北の村シオラパルクで犬橇を開始し、毎年二カ月近くの長期旅行を継続している。

「2021年 『狩りの思考法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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