神々の山嶺 下 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472233

感想・レビュー・書評

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  • 2014.07.19読了。
    今年23冊目。

    ひさしぶりの夢枕獏作品。

    面白かった!

    カトマンドゥで偶然エベレストで遭難したマロリーのカメラを見つけたところから物語が動きはじめる。
    カメラとそのフィルムを持っているであろう、羽生という男との出会い。そしてそこから彼の山屋としての人生を調べ始める深町。
    そして深町を通して私は山に生きた羽生の人生を見ることになる。

    前半はマロリーのカメラをめぐる話。
    これはこれで面白かった。
    そしてネパールという国を見てみたいと思った。

    でもやはり面白いのは後半!
    羽生のエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂への挑戦。

    エベレストの恐ろしさ、厳しさ、雄大さ、そして美しさがこというほどに伝わってきた。
    夢枕獏氏は本当にそういう描写がうまい。
    自分がそこにいるような感覚になれてしまう。

    不器用な羽生の生き方、羽生の山に対する想いに胸が熱くなった。

    深町を助けたシーン、そして深町がカメラ越しに最後に捉えた羽生。

    登頂して無事戻ってきますように!と深町と一緒に祈りながら読んだ。

    そしてラストでまた感動。
    最後まで羽生という男に魅了されっぱなし。

    読み終わった後の切なさと喪失感。


    しばらくは余韻に浸ってしまいそう。

  • 上巻にも増して面白かったです。ついにエヴェレストに登り始めましたが羽生はスイスイ登りますが深町はどんどん遅れていき、高山病に掛かりながらも登っていたとこに事故が起きたシーンは忘れられません。その後の展開もドキドキし続けました。

  • 普通に生活していると、すぐそばにある死は感じない。しかし、ヒマラヤはちょっとのミスと運で命が奪われてしまう場所だ。
    この小説を読んでいるとそんな疑似体験ができる気がする。ただ、怖いことばかりではなくヒマラヤの荘厳な姿も目に見えてくるようだ。
    昔、登ったことのある北アルプスのことを思い出した。
    強いけれどさわやかな風か吹いている。
    羽生は言葉通り山になってしまった。
    多分、最後には自分を許せたのだと思いたい。

  • 下巻を読み始めて上巻を読み終えたときに大きな読み違いをしていたことに気付く。

    僕は上巻を読み終えて本作品を
    「本書はこのカメラをめぐる物語である」
    と評した。

    下巻を読み始めて早々に気付くが
    マロリーを巡るエピソードはこの作品の核をより際立たせるためのスパイスに過ぎない。

    本作品は羽生丈二という孤高の天才クライマーが
    前人未到のエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑むを描いた物語である。

    読者である我々は主人公である深町誠というフィルタを通じて、
    羽生丈二という男の生い立ちを知った上でその挑戦に同伴することになる。

    そこで目の当たりにする生涯を山に費やした羽生という男の姿は
    山をのぼる意味を通じて生きている意味についての問いかけてくる。

    あとがきにある通りの「ど真ん中」な物語は果てしなく崇高で、泥臭く、そしてカッコいい。

  • ふるえるぞハート、燃えつきるほどヒート、
    刻むる血液のビート(ややパクリ)

    熱い。漢なら確実にシビれる。

    羽生、深町両者の生き様が、圧倒的な迫力で迫ってくる。
    もーね、安穏な生活してる自分に喝を入れたくなる。
    ほんでもって、読んだ後、力尽きた感じになります。

    感激して漫画も読んでみたら、原作とほとんど同じで
    これも読みごたえがあった。ラストは漫画のほうが好き。

  • 下巻も読了!
    神々の領域のエヴェレストをどう攻略するか、ロマンだけでは済ませられない、圧倒的な存在感と恐怖に打ち勝って登頂を目指す。
    夢枕的な、ドロッとした文体ながら、読後には清涼感も漂う不思議な作品。

  • 久しぶりの獏さんの作品で上下巻を合わせると結構な厚みがあるのですが、特に下巻の展開が面白く、あっという間に読み終えてしまいました。
    昔は獏さんの『キマイラシリーズ』や『我狼伝シリーズ』を読み漁った時期もあり、本人曰く「エロスとバイオレンスとオカルトの作家」との事ですか、本作品は本格山岳小説ながら描写が秀逸で思わず物語に引き込まれました。
    特にヒマラヤのエベレスト登頂を描いた圧倒的な臨場感は、作者自らがヒマラヤに登った際に高山病や幻聴を経験したのではないのかと思い、フィクションながら非常なリアリティを感じました。
    登山イコール人生(男の生き様)だなと思い、本作に登場する羽生丈二の壮絶な生き様に圧倒されました。 おすすめです!!!

  • またもやドキドキ、ハラハラしながら一気読み。
    中身が濃すぎて読み終わってからしばし呆然としてしまいました。
    主人公 羽生のモデルとなっている森田勝がそのまま動いているような錯覚に陥る。エベレストの美しさと厳しさの描写がすごくよく書かれていて、最後の羽生の登攀シーンは、手に汗にぎりつつ、胸がぎゅっとなるような切なさでした。
    漫画の方も読んでみたい。

  • 皆さんがはまるだけあって、本当に面白かったです。そこに山があるからではなく、そこに俺がいるから登るんだって…カッコよすぎ!誰もやったことがないことをやりたいという気持ちは研究にも通じます。羽生さんみたいに前のめりに研究する人が最近は少ないような…

  • 読み終わった!時間かかった。途中で読むのをやめようかと思うくらい。でも後半からめちゃくちゃ面白くなった!
    正直、上巻では羽生さんのこれまでの軌跡の部分以外はあまり面白く感じなくて長いな〜としか思わなかった。そして下巻も山を登り始めるまでは長かった、、でも山を登り始めたらその臨場感が圧倒的。その寒さ、風圧、息苦しさ、恐怖がもうそこにあるかのように感じた。
    なぜ登るのか?の問いに「そこに山があるからだ」と答えたマロリーと「ここに俺がいるからだ」と答えた羽生。羽生の真っ直ぐで頑固で純粋で孤独な内面が出てる。
    山の頂には何もない。でも登る。それしかないから。生きているうちにここまの想いをもてるものがある人生になりたいな。

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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