魚神

著者 :
  • 集英社
3.60
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本棚登録 : 827
感想 : 169
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712766

感想・レビュー・書評

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  • 娼婦の生きる島、そこはデンキも通らず前時代的な場所。白亜はそこで育って娼婦になって。兄弟として育ったスケキヨ以外には感情を揺さぶられない。
    官能的で寓話のような展開で、不思議な本でした。一度読んだだけだと最後のオチで白亜が望んだ結末なのかどうかわからないです。確かにお互いがお互いを大事に思ってますが、あまり人間ぽさを感じられない関係かも…。幸せなのは幸せなんだろうけども。

  • 冷ややかで美しくて、冷静でいて狂っている島。スケキヨと白亜の神秘的な絆に苦しくなる感情は、千早さん作品の凄さの原点だと感じる。湖の底から見える月はほんとうに綺麗。

  • 図書館。

    質感のある水のようなどろっ、でもないけど
    さらさらでもない、独特の世界。

    スケキヨっていう名前がどうも違う作品の印象が
    強すぎてマイナスだったんだけど(笑)、そして
    結末も読めてしまうところもあったけれどなかなか
    興味深い作品。

  • まどろみの世界で凛として綺麗。そんなイメージの物語でした。少し狂気の混じった綺麗な愛情に、くいっと引き寄せられてしまいます。痒いところに手が届いているというのか、読んでいて気持ちの良い作品でした。好みは分かれると思いますが別世界の空気に浸からせてくれることは間違いありません。

  • 悲しいとか、寂しいとかそんな感情じゃなくてもっと自分を突き上げるこの気持ちはなんなんでしょう

    きっと二人は神なんだ
    感情が乏しいことも、浮き世離れした美しさも、きらびやかな景色も、二人にのし掛かる残酷なまでの境遇も、周りを圧倒させるもの全て
    重く暗いが所々に滲む朱が綺麗で美しい
    嫌いじゃない
    蓮沼が好きです


    2011/09/06

  • 何とも感想が難しい。
    どろりとした、高い湿度の中にいる感覚。
    島の独特な匂いがこちらまで漂ってくる。
    独特で、残酷なファンタジー。
    表紙がとても美しい。

  • 始まりはたんたんと2人の幼少期が描かれていて、物語の展開も予想がつかず掴みどころがないな、と感じた。中盤からの展開に引き込まれ、後半は一気に読み終えた。

  • 本土から離れたヘドロの匂いに満ち溢れた島、遊女屋街、訳あって本土に居ることができなくなった人間や売春宿を利用する客人だけが渡し船で行き来する。捨てられていた子供、あまりに整っていた容貌のスケキヨと白亜。

    SFでもミステリーでもない、ファンタジーというよりは幻想小説と言うのが似合う。島の伝説はあるけれど、伝説だけで終わっているのがちょっと残念。

  • 世界観が好みすぎた。この世界の色彩とかが、言葉で巧みに表現されているから、情景が容易に想像できた。

  • 定食屋の婆に拾われた白亜とスケキヨの姉弟は、その始まりから自分たちをそう呼んだ。
    美しい見目の双子は、寄り添って育っていくが、けして互い以外を信頼しなかった。本土とは切り離された浮世の島は郭が軒を揃え、裏と表に分かれながら饐えた同じ臭いのなかともに歩んでいた。
    青年に差し掛かったスケキヨは島の中心の山の上の祠に住むという獏の正体を見破り、そこに放り込まれていた外の本を読み漁っては知恵を蓄えた。
    そして年月が過ぎ、スケキヨは裏華街は、白亜は表の華街へ売られていった。白亜はそこで驚くほどの速さで部屋持ちになり、そのための嫉妬も買いながら日々を無為に過ごしていた。同僚の菊千代がスケキヨに恋をするまでは。
    そして一度は離れた二人は再び、きな臭い風を纏って近づいていく。互いの求める心を深く思い知ったあの夜から、ただ互いを求めていたことをそして二人は解けるように理解する。

    これが処女作だなんて…という作品。文章の質感、陰影、世界観、どれも完璧にちかいのでは…なんて素人の私は慄くような作品だった。血の匂い、海の生臭さ、互いの体温の違いがこちらの肌に染みてくるような物語だった。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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