- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087712766
感想・レビュー・書評
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千早茜さんの処女作。千早さんは『からまる』に続き2作目だけど、こっちの方が雰囲気があって好きかな。離党の遊郭が舞台。美貌の姉・白亜は遊女として売られ、弟・スケキヨは男娼として売られたあと謎の薬屋として暗躍する。装画のように妖艶な雰囲気を纏った作品。処女作にして既に雰囲気たっぷり!2012/526
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前評判ほど艶っぽさはない
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夢を見ない取り残された遊廓ばかりの島で…っていう妖しい雰囲気、これは好みの種類ではあった。あったんだけどもっと妖しく幻想的で内面描写がグロテスクならより良かった気がする…。長編とはいえ短いし、手軽に美しく幻惑的な雰囲気に浸るにはちょうど良かったかも。
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湿り気を帯びた強い香りが漂ってくるような小説。
気怠いほど甘い香りだったり、時には生臭い香りだったりする。
でも耽美で幻想的で、読み始めたら止められない。とても魅力的な世界でした。 -
すばる新人賞受賞の処女作でありながら、泉鏡花賞も受賞した作品。
架空の舞台、隔離され寂れた遊廓の島で捨てられ育った美貌の姉弟が、離ればなれになりながらも互いを強く求め合う。島に伝わる伝説と相まって、耽美的、幻想的な世界が繰り広げられる。
逃げ場のない、裏社会でしか生きられない人物のみが登場し、終始どろりとした陰鬱な空気が漂う。が、その一方で、奥底にはさらさらと水が流れるような清らかさもあわせ持ち、気だるく酔える。
敵役で汚れ仕事を引き受ける蓮沼が魅力的で、物語の終わりかたにも満足。
筆者の他の作品を読んでみたくなった。 -
どんどん独特の世界に引き込まれいく感じ。おもしろかった。
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いいですねぇ、シビレました。冒頭から見事に引き込まれていきました。幻想的というか、独特の雰囲気がありました。内容はストレートで、「結局、お前等は餓鬼なんだよな」という蓮沼の言葉が全てを表している気がします。
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幾つもの濃い匂いが立ち込める文章の海に身を滑らす悦楽。
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第37回(2009年) 泉鏡花文学賞受賞
内容紹介
かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。夢喰いの獏、雷魚などの伝説が残る島で、本土を追われた人々は自治組織を作り、独自の文化を営んでいる。捨て子の白亜とスケキヨは、この島で捨て子の姉弟として育った。伝説の遊女の名を継ぐ姉・白亜と、デンキを放つ弟・スケキヨ。ふたりは互いのみを拠りどころに生きてきた。スケキヨは、あるきっかけから薬学の知識を身につける。しかし、その美貌ゆえ、悪評高い裏華町に売られてしまう 。離れ離れになり動揺したふたりは、ある夜、過ちを犯し仲違いしてしまう。成長した白亜もまた廓へ売られ、やがて島随一の美しい遊女となる。スケキヨのことが忘れられず、無感覚のまま身をひさぐ毎日。彼女は遊郭の女郎や裏華町の男達を通じて徐々にスケキヨへと近づいて行くが、彼の周囲には不穏な噂が漂っていた。強く惹 きあい、拒絶を恐れ近づけない姉弟。ふたりが再び寄り添うとき、島にも変化が……。
内容(「BOOK」データベースより)
生ぬるい水に囲まれた孤島。ここにはかつて、政府によって造られた一大遊廓があった。捨て子の姉弟、白亜とスケキヨ。白亜は廓に売られ、スケキヨは薬売りとして暗躍している。美貌の姉弟のたましいは、惹きあい、そして避けあう。ふたりが再び寄り添うとき、島にも変化が…。第21回小説すばる新人賞受賞作。