魚神

著者 :
  • 集英社
3.61
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本棚登録 : 819
感想 : 169
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712766

感想・レビュー・書評

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  • からまるの方から先に読んで、そっちはあまり好みじゃなかったので少し心配しつつそれでも何故か面白い予感がしていた。
    この島の者は眠っても誰も夢を見ない。電気すらない、ほぼ遊廓しかない隔離された島を舞台にした美しい姉弟、白亜とスケキヨの話。
    想像が難しい世界と思いきや徹底した日本語で新鮮で大胆に素直な描写には情緒も漂っていて世界観を思い描く大きな助けになり没頭出来た。俺の好みにすごくフィットした。やはりわずかに少女マンガチックな感じは否めないけれど。

    読んだと言うより自分の目で見た(あるいは観た)ような感覚。映画でいうならキムギドク作品のような色彩を感じた。

    ハマった作品に恒例なのが、風呂の中で読んでいていい加減湯船からあがりたいけどもう少しだけ読みたい...を繰り返しふやけるパターン。この作品もそうだった。

  • あきさせない展開がすごい。
    ・・・・・・けれど、ラストに納得がいかず
    残念。

  • 感情起伏の乏しい主人公、白亜の傾いた視点から見える人物たちの心の機微が美しい。特に後半は万華鏡をのぞいているようだった。
    白亜の目線から見た猫の描写も独特で面白かった。

  • 読書完了日2012年12月07日。

  • 大人の御伽噺と言う雰囲気ですね。
    どろっとした部分はあるけれど、綺麗なお話。

  • 遊女をどこか違う世界の中に描き出したファンタジー色のあるストーリー。スケキヨという名前に犬神家かー!?と突っ込みたくなるが抑えて。白亜は感情がないという割には泣き笑いをするし、どちらかというとすべて持ってる。出てくる男は精悍な顔付きでとくると、う〜ん…理想的ね、としか言いようがない。何故かあと一歩なのにちぐはぐ感が拭えなくて…うちには話に入り込めなかった。独特の世界観なのにどっか現実で止めてて、そこがすごく話全体を普通にしちゃってる気がした。

  • 極彩色なのに煙ってる湿っぽくて生臭い頭おかしい夢見たような感じ。

  • 私とスケキヨは、他の誰でもないたった二人だけの強い絆で固く結ばれていると信じていた。

    政府によって作られた島は、今はすっかりさびれ本土から見捨てられ、遊女屋とヘドロの臭いのつまった魚を捕るくらいしか収入源のない貧しいところで
    訳あって本土にいられなくなった人や売春を目的にくる人が行き来し、子供が捨てられているなんて当たり前のこの島で、白亜とスケキヨは育った。

    血も涙もない、救いなんてものはどこにもない島で
    スケキヨの残忍さと冷酷さに期待と怯えを入り混じりながらも
    二人は金のために離ればなれにされ

    娼婦となった白亜の感情も感覚もない日々に、スケキヨの影が突如ちらつきはじめ、島の行方すらも巻き込んだ
    かつて伝説にある雷魚と白亜が再びよみがえるまでの痛みと悲しみと絶望とほんの少しの幸福。

    ファンタジーだね!

    時代がいったいいつなのか、未来でも過去でもありえそうな感じ。

    これが新人賞ってなんだかすごーいね!
    嫌味なところもなく、ドキワクしながら読めた~普通におもしろい!)^o^(

  • 長編の処女作の魚神ですばる新人賞受賞 
    昔の文学作品ぽい異世界の物語

  • かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。夢喰いの獏、雷魚などの伝説が残る島で、本土を追われた人々は自治組織を作り、独自の文化を営んでいる。捨て子の白亜とスケキヨは、この島で捨て子の姉弟として育った。伝説の遊女の名を継ぐ姉・白亜と、デンキを放つ弟・スケキヨ。ふたりは互いのみを拠りどころに生きてきた。スケキヨは、あるきっかけから薬学の知識を身につける。しかし、その美貌ゆえ、悪評高い裏華町に売られてしまう 。離れ離れになり動揺したふたりは、ある夜、過ちを犯し仲違いしてしまう。成長した白亜もまた廓へ売られ、やがて島随一の美しい遊女となる。スケキヨのことが忘れられず、無感覚のまま身をひさぐ毎日。彼女は遊郭の女郎や裏華町の男達を通じて徐々にスケキヨへと近づいて行くが、彼の周囲には不穏な噂が漂っていた。強く惹 きあい、拒絶を恐れ近づけない姉弟。ふたりが再び寄り添うとき、島にも変化が……。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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