魚神

著者 :
  • 集英社
3.61
  • (67)
  • (130)
  • (131)
  • (26)
  • (9)
本棚登録 : 819
感想 : 169
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712766

感想・レビュー・書評

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  • 大人の御伽噺を読んだ
    始終幻想的な雰囲気が漂う文体に、ハッとさせるような美しい一文が紛れ込む
    一度に読むにはもったいなくて、時間をかけて読んだ

    あまりにも美しい物語を読むと人は詳しく感想を書けなくなるのかもしれない…
    なんて言えばいいのか…
    幻想的なのにどこか現実的な話で
    架空の島であるのに日本のどこかにあったのではないかと思わせる描写


    読後の余韻からしばらく経ってやっと感想が書けるようになった

    スケキヨが裏華街を燃やしたことで夢を見ない島の子供が島が燃える夢を見るようになった
    スケキヨは救いなのか罰なのか
    白亜にとっても救いなのかどうなのか
    蓮沼が白亜に惚れてしまうのも計算の内だったんだろうと伝えたところで泣いてしまった

    スケキヨはいつから計画を企てていたのか、裏華街に売られた時から…?
    白亜の性格なら裏華街にくるとわかっていたのかな…
    婆はどこ行ったんだろう、お金を得て本土に行ったのか?
    気になるところがたくさんある

    時間をあけてもう一度読む

  • 本島と隔てられ、人々が色街で生計をたてる島。
    その島で育った美しい兄妹が、引き離され、すれ違い、再び共に過ごすまでの話。
    一心同体のような二人だからこそ、一度すれ違ってしまうと互いに相手に拒絶されることを怖れて近づくことができない。そして、周囲の人間を巻き込み事件を巻き起こしていく。

  • 3.63/672
    内容(「BOOK」データベースより)
    『生ぬるい水に囲まれた孤島。ここにはかつて、政府によって造られた一大遊廓があった。捨て子の姉弟、白亜とスケキヨ。白亜は廓に売られ、スケキヨは薬売りとして暗躍している。美貌の姉弟のたましいは、惹きあい、そして避けあう。ふたりが再び寄り添うとき、島にも変化が…。第21回小説すばる新人賞受賞作。』

    冒頭
    『この島の人間は皆、夢を見ない。
    島の中ほどにある小さな山の上に朽ちかけた祠があり、そこに棲む獏が夢を喰ってしまうのだ。島に住む人々の心は虚ろで、その夢はあまりに貧しいため獏はいつも飢えていて、島の灯りに惹かれ訪れた客人の束の間の惰眠ですら、その餌食になってしまう。』


    『魚神(いおがみ)』
    著者:千早 茜(ちはや あかね)
    出版社 ‏: ‎集英社
    単行本 ‏: ‎264ページ
    受賞:小説すばる新人賞、泉鏡花賞

  • タイトルからは予想のつかない、まさかの遊郭ものだった。
    他の作品に、たしか神社で腐らない新鮮な魚を美味しそうに食べるシーンが出てきたことを少し思い出しました。たしか、この作品は最初の頃のものだったと思いますが、香り、に対する描写や相手を想う、熱い想いなどへの表現など、その後の作品に繋がっていく片鱗を感じました。読みにくい?けど一気にいかせていただきました?

  •  遠出できない今、ダークで濃密な物語に没頭して異世界にトリップできた。装丁もハマっていて、物語の世界に容易に入りこめる。今の閉塞感も島を出て行けない主人公たちに通じる物がある。夢に出てきそうな、いつか見た夢の様な視覚的な描写も好き。
     出て来る名前もいい。聞けば反射的に水面に逆さに突き出た脚を思い浮かべるあの名前も、まったく新しいイメージになった。

  • 波瀾万丈な物語で、読むのに少し時間がかかった。最後は主人公がやっと静かな生活を得て、とても良かった。

  • 前半かなり引き込まれてぐいぐい読めました。
    世界観の作り方が良くて、生臭く湿っていて閉鎖的な島の空気が伝わってくる…。伝説の雷魚の話もこの雰囲気にあってる。
    生い立ち語りのところでは天涯孤独な姉弟ふたりの結びつきの強さの描写がこれでもかっていうくらい重ねられてて、こういうのは好き。
    だけに成長してからのストーリーの展開はもどかしいというか、起きてる事件はしっかり派手なわりに主人公の白亜の考えてることがいまいちわからないために感情がついていけず…置いてけぼりになっちゃって、ちょっと不完全燃焼感が…本当ならもっと感動できそうな事件配置なのになあ…
    いやでもデビュー作でこのクオリティすごいっす…。
    ものすごく目に浮かぶような場面描写とか心理描写の一文があったりして、おお、ってなりました。

    あ、あとこれを言っていいのかわからないんだけど、個人的に宇野亜喜良さんの絵があまり得意ではなく、すこし表紙のイメージが強過ぎる気がしたんですよね…どうしても引きずられるんだよなあ…

  • 2019.2.3 読了


    独特な世界観。
    それなりに 楽しめましたが、
    ラストが イマイチ どう解釈したらいいのか
    わからなかった。

  • 遊郭島を舞台にした薄幸な姉弟の物語。どこまで沈んだら、足底が何かに触れて留まることができるのか。どこまで手を伸ばせば、確かなものを手にすることが出来るのか。いつもするりと逃げるよう、かわすように、手元から逃げて行ってしまう不確かさに包まれた作品。身分や境遇、それは運命なのか宿命なのか、諦観と退廃に溢れる。2人が抱えるそれぞれの強さと儚さが島の風景、色、臭い、音から感じられる。弟スケキヨの危うい描き方がギリギリを攻めている印象。書き切らず、説明し過ぎず、読者に委ねる感じが好き。デビュー作、なるほど。

  • 生ぬるい水に囲まれた狐島。ここにはかつて、
    政府によって作られた一大遊郭があった。
    廓に売られた白亜と、薬売りのスケキヨ。
    美貌の姉弟のたましいは、惹きあい、そして
    避けあう。ふたりが再び寄り添うとき、
    島にも変化が…。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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