- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087712766
感想・レビュー・書評
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3.63/672
内容(「BOOK」データベースより)
『生ぬるい水に囲まれた孤島。ここにはかつて、政府によって造られた一大遊廓があった。捨て子の姉弟、白亜とスケキヨ。白亜は廓に売られ、スケキヨは薬売りとして暗躍している。美貌の姉弟のたましいは、惹きあい、そして避けあう。ふたりが再び寄り添うとき、島にも変化が…。第21回小説すばる新人賞受賞作。』
冒頭
『この島の人間は皆、夢を見ない。
島の中ほどにある小さな山の上に朽ちかけた祠があり、そこに棲む獏が夢を喰ってしまうのだ。島に住む人々の心は虚ろで、その夢はあまりに貧しいため獏はいつも飢えていて、島の灯りに惹かれ訪れた客人の束の間の惰眠ですら、その餌食になってしまう。』
『魚神(いおがみ)』
著者:千早 茜(ちはや あかね)
出版社 : 集英社
単行本 : 264ページ
受賞:小説すばる新人賞、泉鏡花賞 -
タイトルからは予想のつかない、まさかの遊郭ものだった。
他の作品に、たしか神社で腐らない新鮮な魚を美味しそうに食べるシーンが出てきたことを少し思い出しました。たしか、この作品は最初の頃のものだったと思いますが、香り、に対する描写や相手を想う、熱い想いなどへの表現など、その後の作品に繋がっていく片鱗を感じました。読みにくい?けど一気にいかせていただきました? -
遠出できない今、ダークで濃密な物語に没頭して異世界にトリップできた。装丁もハマっていて、物語の世界に容易に入りこめる。今の閉塞感も島を出て行けない主人公たちに通じる物がある。夢に出てきそうな、いつか見た夢の様な視覚的な描写も好き。
出て来る名前もいい。聞けば反射的に水面に逆さに突き出た脚を思い浮かべるあの名前も、まったく新しいイメージになった。 -
波瀾万丈な物語で、読むのに少し時間がかかった。最後は主人公がやっと静かな生活を得て、とても良かった。
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2019.2.3 読了
独特な世界観。
それなりに 楽しめましたが、
ラストが イマイチ どう解釈したらいいのか
わからなかった。 -
遊郭島を舞台にした薄幸な姉弟の物語。どこまで沈んだら、足底が何かに触れて留まることができるのか。どこまで手を伸ばせば、確かなものを手にすることが出来るのか。いつもするりと逃げるよう、かわすように、手元から逃げて行ってしまう不確かさに包まれた作品。身分や境遇、それは運命なのか宿命なのか、諦観と退廃に溢れる。2人が抱えるそれぞれの強さと儚さが島の風景、色、臭い、音から感じられる。弟スケキヨの危うい描き方がギリギリを攻めている印象。書き切らず、説明し過ぎず、読者に委ねる感じが好き。デビュー作、なるほど。
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生ぬるい水に囲まれた狐島。ここにはかつて、
政府によって作られた一大遊郭があった。
廓に売られた白亜と、薬売りのスケキヨ。
美貌の姉弟のたましいは、惹きあい、そして
避けあう。ふたりが再び寄り添うとき、
島にも変化が…。