- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087715613
感想・レビュー・書評
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主人公ミチルさんは、バブル期に学生・OL生活を謳歌し、離婚を経て子どもなしの独り者の45歳になっても、どこか浮ついた生活を送っていたが、恋人に裏切られたのを機に、地に足のついた生活を送り、自分を客観視できるようになるというお話。主人公が著者とほぼ同年代ということで、バブル期と今の時代背景や人々の考え方の違いを含めてよく書けていると思う。
原田ひ香というと、個人的には「東京ロンダリング」を思い浮かべるが、どちらも不動産業が舞台に登場していて、著者がこの世界に詳しいことをうかがわせる。エッジの効いた東京ロンダリングと比べると地味ではあるが、軽い展開、読みやすい語り口の割に、人の生き方についての示唆に富んだ小説のように思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんか、いいよね・・・ミチルさん。
最初はイタイ女かと思ったけど、読むうちに好感度アップ!応援したくなる。
ちょっとでもバブルの時代が分かる年代が読んだ方が、楽しめるかも。 -
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恋を謳歌し、気ままなシングルライフを満喫する山崎ミチル・45歳。ところが生まれて初めて男に裏切られ、おまけに仕事まで失った。残されたものは元夫が譲ってくれたマンションと僅かな貯金だけ。やむなく始めた地味なアルバイト。そこで出会ったのは、個性豊かな愛すべき老若男女たち。彼らとの交流で、どん底バブリー女が手に入れた希望の切符とは―。
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「上機嫌」という割には、主人公のミチルさんは鬱屈を抱えているように見える。バブル期に青春を謳歌し、その後さまざまなものを失ってまだ、もっと満たされるという思いがどこかにあり、地に足をつけた生き方ができずにいるのである。ある意味バブルの被害者とも言えるのかもしれない。スーパーの面接に落とされ、チラシ配りを始めることになった彼女は、いままで知合わなかった人たちと知り合い、ある意味未知の世界を知る。抱えていた鬱屈がいつの間にかひとつふたつと減っていき、次第にいまを生きられるようになっていく彼女を見守るように読み進んだ。バブルもあってその後もあって、そして現在がある。そのときどきをその人らしさで生き抜いてこその幸福であると思わせてくれる一冊である。 -
45歳のミチルさんはバブル時代を謳歌してきたなごりを今も引きずっている女性。
仕事もなくし、男とも別れ、ビラ配りのバイトを始めるが…これが結構楽しくなってきて…不動産交渉屋へ転職することになる。
パワフルでマイペースなミチルさん、でも自分勝手ではないので読んでると楽しくなってきました。 -
楽しく読んだ。お節介焼きは交渉上手。
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14/10/20
バブルの恩恵を受けた45歳の美魔女、バツイチ彼氏なしのミチルさん。
彼女が自分をオバサンと認めて鎧を脱いでいく過程は惨めさはなく、なんだか微笑ましく温かい気持ちで読み進めた。
私がバブル期を生きていたらミチルさんそのものだったろうなぁ。ミチルさんに幸あれ。 -
中学生の頃から45歳を目前とする現在まで男が切れたことがなかったというミチルさんが突如仕事と男を失って呆然とするところから始まって一皮むけるまでを描いた物語。
バブル真っ盛りに青春を過ごした彼女は、仕事も男関係もさして苦労もせずご機嫌な日常を送ってきた訳だが、諸般の事情でふと我に返る。
様々な登場人物と触れ合ううちに目が開いていく
「私ってオバサンキャラじゃなくてオバサンだったんだ」
バブルの恩恵は受けなかったけれど、同じ時代を駆け抜けて来たので頷くことしきり。 -
ドンピシャのバブル世代のなれの果て?
いつまでも主役気分、人生、まだ何かあると思ってる。
自分のことかと思いました(笑) -
私よりちょっと上の世代になるミチルさん。
最初は過去にとらわれている感じがして、う〜んと思いながら読んでいたけど、だんだん前向きな姿勢が伝わってきて、エールを送りたくなった。 -
最初は「痛い人」だったミチルさんだったが、読み進んでいくと、実はいい人だなぁと感じた。
バブルを経験したミチルの上昇志向は何となくわかる気がするし、最近の若者の欲のなさも何となく感じます。
おもしろい小説でした。