- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087815139
感想・レビュー・書評
-
遺体の航空機輸を行う法人のノンフィクションかな。海外で雑に扱われる遺体に敬意を持って整えたり、遺族から感謝されたりする日常トピックスとか、人にフォーカスして、少しドラマチックにした感じ。とても大事な仕事だと思う。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ドラマを見てから本を読みました。
ドラマも素晴らしかったので、毎回よく泣いていました。
本もひきこまれまして、泣きました。
ドラマよりも現実のお話が、こころにささります。 -
先日『無縁遺骨』を読んだからか、遺族のいる方々のいい話、と感じてしまった。
これが書かれた2012年時点は、きっと今よりも待ってくれている家族がいた時代だったのかもしれない。
そう思うと、国際霊柩送還の″今″を知りたくなった。 -
彼は新入社員として登場しました
私は彼が遺体を処置しているのを聞いて誰にもできることではないと尊敬しました
どんな状態でも真摯に向き合い処置するそうです
彼には後に子供が生まれて、生と死を間近で関わっているうちに生きること、仕事、信念、進むべき道を深く考えていた所で全朝礼に社長さんが「私の考えについて来られないなら辞めてほしい」この一言で退社を決意したそうです。
彼は会社から逃げました、または、生き進む我が子を見ていて自分を解放してあげました
一言でいえばブラック会社と言うのかもしれませんが彼も私もそうは思いませんでした。
ただ、ひとつ思うとすれば怒鳴れば想いが伝わるわけではない優しさが通じるわけではないということです
人は完璧にはなれません。
完璧を目指すことは愚かだと思います
どんな仕事でも補い合う敬う精神をどの立場になっても忘れてはいけないと思うのです。
彼は今でも処置はできます。
立派な父として夫として人に与える仕事をしています。
私はそんな彼を尊敬しています。
喧嘩もしますし離婚したほうがお互いの為になるかとも考えたりもしますが幸せです。
最後に……
ヒーローは自分を押し殺していて人から直接評価をされないし称賛もされないですが
ヒーローは何をバネにしてヒーローができるのか
答えは、誰のためにヒーローでありたいかだと思います
表紙の右端にいる新入社員は私の夫です -
海外で、亡くなった人…漠然と、日本で亡くなった人と同じような状態で帰って来ると思っていた。国によれば、帰るまでに何日もかかったり、その国の気候や飛行機内での気圧などで、想像もつかないような状態で帰って来ることは、珍しくないらしい。そんな亡き人を、生前のような姿にもどし、色々な雑務を代行したり、時には遺族の支えになったり、表には出てこないけど、なくてはならない職業。エアハースの方たちの職人魂には、ただただ感服です。
-
「生きざまは死にざま(P140)」
この言葉が強く印象に残った。 -
心配させられて、苦労させられることが、親孝行でした。亡くなって、もう苦労させられることがないと思うと、無性にさみしくなるのである。
彼らの仕事は国際霊柩送還。海外で亡くなった方を受け入れて、家族に合わせるまでに、遺体をきれいにする仕事だ。飛行機で運ばれてくる遺体は、気圧の関係で体液が漏れたり大変なことになっていることも多い。その遺体をきれいにするのだ。ただきれいにするのではなく、生前の安らかな表情に戻してあげる。声をかけながら、化粧などを施していく。きれいになったよ、家族のもとへ戻ろうね、と。
遺族の方にちゃんとお別れをさせてあげる、次の日にはお骨になるとしても、しっかりとお別れをさせてあげ、遺族に区切りをつけさせてあげる。それがエアハースの使命だった。
いくら処置をしても死者が蘇ることはないと家族は知っている。知っていてもなかなか愛する人の死を受け入れられない。日本に魂を呼び寄せ、その人は帰らないことを知って初めて、遺族はその人を諦めることができるのではないだろうか。 -
国際霊柩送還士、この本を読むまでこのような仕事があることを知らなかった自分が恥ずかしい思いです。また、多くの人ができれば避けたい、目をそらしたくなるような仕事に対し、プロ意識とプロの磨かれた技術を持って責任と使命を果たす姿には、ただただ頭が下がる思いで敬意しかありません。佐々さんのノンフィクションは、「命」「家族」について考えさせられる作品が多くどの作品も奥が深く胸を打たれます。
-
初めましての佐々涼子さん。2003年に日本で最初に設立された国際霊柩送還専門の会社、エアハース・インターナショナル株式会社。そこで働く人たちを実際に取材して書かれたノンフィクションです。
国際霊柩送還とは、海外で亡くなった日本人の遺体や遺骨を日本に搬送し、また日本で亡くなった外国人の遺体や遺骨を祖国へ送り届けるお仕事です。
またその際に行われる処置をエンバーミングと言い、生前の姿に近い形でお別れをするために、ご遺体に防腐や修復を施します。この辺りの描写も、誇張するでもなくあえて避けるでもなく、ご遺体と真剣に向き合う姿を真摯に捉えています。
それもすべては故人の尊厳のため、またご遺族が故人ときちんとお別れできるよう、数日後には荼毘に付されるご遺体を、全身全霊を尽くして修復していきます。
その姿勢がもう「仕事」の域を超えていて、胸を突かれました。著者のお母様の話から、尊厳死についても触れられていて、「死」について様々な角度から考えさせられます。
こちらの本はノンフィクションなんですが、Amazonプライムビデオにて今年の3月になんとドラマ化されましたね。主演は米倉涼子さん、他に松本穂香さん、城田優さん、遠藤憲一さんなどなど。かなり良さそうなのでぜひ観ようと思います。
佐々涼子さんの他の著作、『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』や『エンド・オブ・ライフ』もずっと気になっているのでぜひ読みたいです。 -
忘れさられるべき裏方の仕事に従事される方に敬意を示さずにはいられない。
読んでいて何度も胸が熱くなり、涙が出た。
親の死は過去を失う
配偶者の死は現在を失う
子の死は未来を失う
葬式は、悲しみの器である。
私はまだ祖父母の死にしか直面したことがない。
身近な人は、味わった人にしかわからないのだと思うけれど、死は身近なものであると感じ、精一杯生きていこうと思う。