- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087815412
感想・レビュー・書評
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泣いた。その努力と愛情に。現実の厳しさに。
皆が幸せになることは、簡単じゃない、とてつもなく難しい。支援者たちがそれぞれの立場で一生懸命頑張ったとしても、子供たち全員を幸せにできる訳じゃない。虐待がなくなるたわけじゃない。それでも目の前の子供一人ひとりを幸せにしようと生きてくれる人ちに心からの敬意を送りたい。
社会的養護という言葉を知らなかったことが恥ずかしい。税金はそういうことにも使われているのか。募金とか寄付とか里親とかできなくても、私たち一人一人にできることをやる社会を作りたい。
今まで虐待関係の本を読んで、社会の構造とかはなんとなくわかったつもりでいたけど、本書では当事者たちがどんな風に苦しみ、立ち直っていくのかが上手に書かれていた。専門家では逆に書きづらそうなことを書いている感じも良かった。「若い母親が生みっぱなしにする」とか。
「生きることは、涙を流すこと
生きていくことは、涙を拭くこと」
ということを、こどもたちや支援する大人たちに改めて気づかされた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ファミリーホーム、初めて知りました。
当たり前のことを、当たり前としてこなかった子どもたちの姿に、心が痛くなった。歪んだ愛着形成が、負の連鎖を引き起こすのですね。 -
こういう世界もあるんだね
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フィクションであったと信じたいくらいキツいが、現実を受け止めなければならないこともあると実感させてくれた。
相手は選ぶが人に薦めてもいいレベルの内容。 -
幼児虐待を受けた子どもたちが、里親なりホームなりに引き取られた後を追った本。
虐待により、脳の気質に変化が現れることは知っていたが、それが具体的にどういう症状として表れるか(愛着障害、解離、幻聴など)が詳細に書かれていて、怖いと思った。
安全なところに引き取られたからもう大丈夫、とはいかない、むしろ、障害ともいえるほど変化してしまった精神を抱えて生きていかなければならないその後のほうが、よほど大変なのだ。 -
第11回開高健ノンフィクション賞
自分の認識の甘さに気付かされました。
そして、ファミリーホームと呼ばれる場所で奮闘している人たちの凄さ。
虐待の連鎖とひとくくりにしてはいけないけど、虐待されて大ききなった人たちのケアの必要性も十分に感じられる内容だった。
性的虐待が一番困難な事例という文言が心に刺さってます。 -
実際の里親里子家族の人間模様。
いろいろと考えさせられた。 -
痛ましい過去をいかにクリアしていけばいいのか。考えても答えが出ない。前に進むしかない状況の中、おおいかぶさってくる過去の亡霊に付きまとわれて今も存在の証明と生きている感覚を探し続ける傷ついた者たちの記録を赤裸々に綴る著者の繊細な描写には何か宿命を共にした者同士の同志愛のようなものを感じた。
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どれだけ良心的な施設に保護されても、どれだけ愛情深い里親に育てられていても、心ない実親を求めてしまうというのは虐待の残酷さと難しさを顕著に物語っていると思う。
虐待死のニュースは後をたたないが死に至った件数は問題でないことは理解しておきたい。ましてやそれを防げなかった児相や役所の対応の批判を耳にすることもあるがそれは虐待の問題点としてはピント外れであることはわきまえておきたい。 -
貧困同様、虐待も連鎖してしまうんだなと感じました。いつでも子どもが犠牲者です。一部だとは思いますが養護施設の実態もひどい。虐待を受け、心に傷を負い、決して育てやすいとは言えない子どもたちの里親をしている方々ってホントにすごいなとただただ尊敬です。もっともっと里親制度が利用できる被虐待児が増えればいいなと思いつつ、実子ですら子育ての壁にぶつかる自分には里親は到底無理だというのが正直なところです。