誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087815412

感想・レビュー・書評

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  • 367.6ク 2015.5.13

  • 虐待されている子供の話。結構、泣けてくる話だった。

  • 虐待についてニュースで取り上げられる事件なども多く、虐待防止については多く語られるようになったと思う。けれども虐待被害にあってしまった子供達のその後については、深く知る事はなかった。虐待を受けていた親から離れればそれで安全、終了、と言う事ではない。その後の子供たちへのケアが非常に重要であり、難しい。

  • 虐待した親から子を引き離す。そうして引き離された子のその後を追いかけたノンフィクション。引き離したら終わりではなく、トラウマの残った子供を普通に戻すのがどれだけ大変か、もうほとんど無理というか、そのためには普通の親の何倍もの愛情を持って接さないとならないということがよくわかった。そういうことを仕事にしている人がいることにも驚いた。私には無理だ。
    一番は虐待しないことなんだけれど、虐待しそうな人ほど簡単に子供を産んじゃうイメージがあるし、それを防ぐ方法はない。虐待をできるだけ早期に発見して、傷が浅いうちにそういう親から切り離すのが良いのかな。

  • また虐待のケース報告かなぁ・・と思いつつ
    「2013年開高健ノンフィクション賞受賞」
    これに引き付けられて買ってしまった。

    今まであまり取り上げられなかった
    被虐待児の保護された「その後」
    そこに焦点が当てられていて、
    問題の深さに改めて考えさせられた。

    保護されたらハッピーエンド、
    そんな簡単なことではない とは分かっていたけれど
    虐待された子どもの心の傷は想像以上だった

    優しい里親さんなど関係者も多い日本でこの状態
    とすると、インドなど最貧国の捨てられた子どもたちは
    どうやったら傷を癒すことができるのだろうか・・
    絶望的になる

  • 虐待されて死なずに生き残った子供たちのその後を描くノンフィクション。
    おもに養子縁組を目的としない里親家庭の話。
    この辺の話に興味があってある程度調べている人には物足りない内容。
    でも知らせるという点では読みやすくて良いのかも。

    虐待されて親から引き離された子供は、まともなおうちにつっこめばまともな子供になれるってわけじゃない。
    サバイブしてきた経験が、おだやかな環境での生活を邪魔してしまう。
    里親をやるような人たちはちゃんとしたおうちの人だから、そういう子供にどうやって接していいかわからずに悩む。

    助けが必要な人にほど救いの手が届かないなかで、「運よく」いい里親にひきとられた子供たちのその後を見ると救われる思いがする。
    でも本当は、こうやって福祉に拾われる子供より、誰にも救われずにおうちで生き延びる子供のほうがずっとずっと多いんだよね。
    著者は「死亡ニュースにならない、生き残った子供」の存在に気づいてそこにスポットライトをあてようとしたみたいだけど、そのまんま家に居続ける子供は見えているのかな。
    そっちも読みたい。


    著者紹介を見て「セレブモンスター」とかのタイトルを見て嫌な予感がした。
    冒頭の、虐待親を異物として描く描写や「私だったらできない」という言葉で更に嫌な予感。
    が、読み進めたら思ったほどひどくはなかった。
    取材して人の話を聞いて、聞いたことをゆがめずに記してある。
    そんなの当たり前なんだけどできてない「ノンフィクションライター」が多いから安心した。
    それでも、著者脳内の一般読者のレベルに合わせたのかもしれないけれど、「知っているつもりだったけどわかっていなかった」という書き方の無知がはげしい。
    本当に普通こんなにわかってないものなんだろうか。
    興味があるつもりだった人ですらこんなに?本当に?
    本当に「世間一般」がここまで無理解ならば、偏見が横行するのも当然だ。

  • 虐待の末に殺されている多くの子どもたち。しかし、すんでのところで児童相談所に保護された子どもたちは、それで一件落着なのか……。窮地を救われ、生き延びた「子どもたち」のその後は?

     「虐待」について書かれたノンフィクション。取材された黒川さんの驚きや戸惑い、心の痛みや苦悩がいつしか読んでいる自分と同じになって、しんどくて、でもずっと目が離せなくて、最後まで息を詰めるように読みました。
     乳児院や施設、あるいは里親でもない、「ファミリーホーム」という、里親や施設での養育経験を積んだ者が運営し、複数の子どもを通常の家庭のように預かる事業を今回初めて知りました。実の両親、あるいは施設で虐待を受けた子どもたちの心の傷の深さは想像以上で、文字で読んでわかったつもりでも、頭が理解することを拒むのか、なかなか意味がとれないことも多々ありました。産んだら誰でも「母」になれるのか?答えは「否」。どんなに認めたくなくても、そうなりたくなくても、子育てでは、自分がされたようにしてしまうのはなぜなんだろう。一方で、我が子と共に、複数の里子たちを育てているファミリーホームのお父さん、お母さんに頭が下がります。人が「人」を育てるのは大変なことだと、改めて感じました。

  • 虐待によって保護された子どものその後の話。
    虐待による後遺症がどんなに凄まじく
    残酷なものであるのか少しわかった
    里親とかなろうという思いでいても
    それまでに負っている傷によって
    双方の想いがすれ違ったりどうしたら、
    というような状況になることを知ることができた。
    虐待されている子が児童養護施設などに
    保護されることもなかなか
    うまくいかなかったりするのに
    保護されれば大丈夫だと思っていたのが
    恥ずかしいくらい。
    全員がこのように辛さを重ねている訳では
    ないとは思うけれど
    そういう現実があるということが
    もっと広く知られればよいと思いました。

  • 虐待の本は何度も読んできたけど、これはファミリーホームが多く出てくるのでまた新しい世界を知ることができた。いつか私もこういう仕事に関わりたいものだ。結婚してなくても里親になれると聞いたこともあるけど。自分の子も育てたことないのに、人の子を育てられるのかとちょっと思う。被虐待児は発達障害的な症状が出るというのは、あの子たちもそのせいなのか、と思っちゃう。問題多発のあの子も、虐待を受けたせいだと思えば許せるのか。とにかく、あの子も死なず、誰も殺さず、生きていればいいと思う。しかし、あの里親さんに渡すのを嫌がった養護施設は許せない。こんな低レベルなところが今も存在してるなんて。10年くらい前とはいえ。涙涙の本だ。ほんと、みんなにもっと読んでもらって、子どもを社会で育てるという意味を知ってほしいと思う。

  • 虐待は最も卑劣な犯罪だ。特に子どもに対してのそれは、一時の苦しみ、痛みを与えるだけでなく、人生そのものさえも奪う重大な人権の侵害行為だ。
    心の傷は目に見えない。言葉でも上手く表現できない子どもたちは、どうやって救いを求めればいいのか。

    虐待の記憶から立ち直るのは容易ではない。この本を読めばその一例がわかるだろう。
    寄り添うこと。愛すること。あなたは他人にそれができますか。子どもに、それができますか。

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著者プロフィール

黒川祥子(くろかわ・しょうこ)
ノンフィクション作家。1959年福島県生まれ。東京女子大学卒業後、弁護士秘書、ヤクルトレディ、業界紙記者などを経てフリーランスとなる。おもに事件や家族の問題を中心に執筆活動を行っている。2013年、『誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち』(集英社文庫)で第11回開高健ノンフィクション賞受賞。その他の著書に『熟年婚 60歳からの本当の愛と幸せをつかむ方法』(河出書房新社)、『「心の除染」という虚構 除染先進都市はなぜ除染をやめたのか』(集英社インターナショナル)などがある。


「2018年 『県立! 再チャレンジ高校 生徒が人生をやり直せる学校』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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