- Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
- / ISBN・EAN: 9784092905184
感想・レビュー・書評
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(No.12-21) 近未来SFです。YA。
内容紹介を、表紙裏から転載します。
『私は誰?記憶喪失なの?
事故にあったのは、一年半前だという。でも目覚めたのは2週間前。何が起きたのだろうか?上手く歩けないのはなぜ?
ジェンナの頭の中にあるたくさんのクエスチョンマークは、物語が進むに連れてむしろ増えていく。
ジェンナが新しい自分を見つけ生きていく勇気の物語。』
ジェンナの世界は、私たちが生きている時代より少しだけ未来。
遺伝子組み換えをした植物や、使いすぎた抗生物質のため環境にいろいろな悪影響がでてパンデミックが起き、その反省から規制が厳しくなっています。
医療技術は格段に進歩していますが、一人の人が使える点数に上限がある社会です。
でもいつの世でも手段があればそれを使って子供を救いたいのが親。読み始めてすぐに、多分そうなんだろうなということは分かりました。
この物語では母と娘の関係がダブルになっています。主人公のジェンナと母親のクレア。クレアとその母、つまりジェンナには祖母のリリー。リリーはジェンナに対して、反感というか否定するような態度なのに、ジェンナを護ろうともしています。それはクレアがジェンナを護りたがっているから。リリーにとっては自分がやりたくはないけれど、クレアが望んでいるからジェンナを護るというわけ。ジェンナはリリーの孫なのにどうしてそうなんだろうということはだんだん分かってきます。リリーがそんな気持ちになるのは無理もないのです。
これはSF小説ですが、古典的な親子の物語でもあります。少女が家族による囲い込みから抜け出し、自己を確立する物語。それが極端な設定で語られます。
あまりネタばれになることは書けないのでこれ以上説明はしませんが、私はラストではちょっと裏切られた思いがしました。
問題提起をいっぱいしていたのに、それで良いんですか?と著者に聞いてみたい気がします。
読書メーターに記録した時、ピーター・ディッキンソンの「エヴァがめざめるとき」を思い出したと書いていた人がいました。私も読んでいたときにエヴァ~を思い出したので同じ人がいる!と嬉しかったです。ラストはエヴァ~の方が好きです。
でも小説としてはとても面白くて、一気に読みました。あのラストで嬉しいと思う人も多くいると思います。 -
この本を読んでいると、「天国からはじまる物語」と「ミアの選択」を思い出す。確かに新しいSFのテーマですね。でも近い将来実現しそう。