こうふく みどりの

著者 :
  • 小学館
3.56
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本棚登録 : 1139
感想 : 180
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093862066

感想・レビュー・書評

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  •  どこかで見たことのある表紙だと思ったら「ノルウェイの森」だった。何か意図しているんだろうか?

     読み始めて10ページ。
     この短い中に込められている情報量の圧倒的な密度、そして心地よさ。

     これは久しぶりに「簡単に読み終えたらもったいない本」だなぁと思った。

     女ばかりの家族の中の少女を主人公に描かれる物語。
     その中で断片として大人の女たちのエピソードが挿入される。

     まるで優しくない現実が、少女の視点から柔らかく描かれる。

     あー……こういう外面のいい言葉を使ったレビューが間違ってると思うくらい面白い。

  • 西加奈子さんの書く小説は、人間の設定がいつも面白い。共感できる人がいつもおる。西加奈子さんの作品を読み続けてこれが多分5冊目くらいやけど、やっぱり飽きない。これも家族の話。これはそんなに胸が痛まないから、また読みたい本。

  • 登場人物が、たいへん魅力的。

  • 時間差で別の人物の視点から物語が描かれていたので、最初話の展開が分からなかった。もう一回読んだらよく分かりそう。
     殺人を犯した夫を、出てくるまで待った奥さんに深い愛情を感じた。

  • カミさん、ホトケさん、ポックリさん。
    まさかのふしだらな展開、まさかのラストの詩!

  • あか よりもみどりのほうが、わりと読みやすかった

    猪木が間にはいること、時間軸がずれても最後に帰ってくるところがとてもすごい。

  • 西さん、真骨頂!
    切ないとも、哀しいともちがう。
    でも涙がじわじわ目にたまる。
    関西弁の小説って全く入り込めない場合も多いが
    この作品は関西弁じゃないとだめ。
    コジマケンが「緑ちゃん」と発するたびに
    自分が好きな男子に名前を呼ばれたようで
    もぞもぞしてしまう。
    タイトルも装丁もぴったり。
    おこづかいを貯めて、自分の本棚にお迎えしたい。

  • おばあちゃんに会いたい。誰かに話を聞いてほしい。

  • 西加奈子さんの、続けて読んだからちょっと飽き気味!?なかなか読みすすまなかったなぁこれは。
    あかのも読んでみるけれど・・・
    でも相変わらず猫の描写は好き。

  • 西加奈子の本の中でこの本が一番好き

    それまで さくら とか きいろいぞう みたいな児童文学の延長のように読みやすいライトな、悪くいうと内容もライトで薄い感じのイメージがあったけどそのイメージが覆った一冊

    みどりちゃんをとりまく小さい世界のお話
    どこの誰かもわからないいろんな人の主観がぐっちゃぐちゃに入り交じって登場人物が好きなように動き回って、アレアレー?ってなってるうちにだんだん絡まった話がツウーって繋がってきれいにシュッって終わってる
    もう一度読みたい、いや読み返したくなる本

  • 図書館にて
    2/21読了

  • この人の文章はいつも赤裸々。

    かっこいい文章を書こう!とかきれいな言葉を書こう!と
    気張ってない感じがいい。
    でも話としてはちょっと地味かな。

  • 8/2/09図書館

  • ぴったりと私の泣きのつぼにはまる。痛すぎず、軽すぎず。テレビでしか聞いたことがない大阪弁が優しく、テンポよく、そして下町の感じが出ている。女ばかりだ暮らす緑の家。近所の人がいろんな秘密を話したくなるおばあちゃん。ふんわりと優しいけれどいつも煙草を吸い何もしないおかあさん。4歳になる娘と住みついたいつも料理をいっぱい作っている従姉妹の藍ちゃん。幼なじみの明日香と中学生活を送る緑は一人の転校生の少年に初恋未満の感情を持つが・・・。途中の独白が誰のものなのかよくわからないまま話が進むが、後半になりいろいろな謎が解けてくる。それはかなり重い話しだったりするのだが。中学生なりに必死にいろんなものに向かっている緑が好き。外にいれば藍ちゃんの作る美味しい匂いのする家が好き。なんだかそこにいると何か打ち明け話を思わずしてしまいたくなるおばあちゃんとお母さんが好き。大好きな人だから力いっぱい叩くおばあちゃんがいい。打たれる藍ちゃんの痛みは家族みんなの痛み。泣ける。「桜」でもそうなのだが、家族が愛おしくなる。余談だが、お母さんの煙草を吸う描写を読んでいると煙草吸いたくなる。

  • 12/9図書館借出

  • だめだった。好きじゃなかった。
    関西弁は何か慣れてないから読みにくいし
    なんとなく強烈だった。個人的に。

    あまったるい感じがして妙にリアル。
    匂いがぷんぷんしたよ。

    「恋人と変人は、にています けんちゃんすきすき
    うちが捨てるまで、捨てんといて
    一位もも 二位けんちゃん」

  • 関西風味のこうふく。いい時間でした。

  • やっぱこれやから西加奈子はやめられへん


    独特の話のてんぽで
    ちょとフツーよりかわった主人公と
    かわった家族で
    一人一人かわったキャラがしっかりわかるし
    特別にすごくも、ええこともないけど
    なんか惹かれるもんがどっかにあって

    意味のわからん文章も
    ずっとよんでったら
    なんや
    そーゆーことかいな

    てなる。


    いっつも思うねんけど
    ええとこで終わりすぎやねん
    にくいわー

  • 関西の中学生、緑とその友人、家族の物語。登場する人はみんな何かを抱えていて、でも温かくて、家族っていいなぁ~って思わせます。

  • 煙草を吸うお母さんの描写が
    とてもすき。

  • 2009.09.23. まるまま生きているみどりは、そしてみどりの周りの人たちはすごく生っぽい。大阪弁も、生きている。とても魅力的。

  • 2009.9

  • しっかり力強い光の見えるお話。

  • 「腸のあたりが、まだなんとなくむずむずする。あんだけ吐いたのに、うちなんでこない太ってんのやろ。まったく、甘やかされすぎや。」

    こうふくシリーズ、みどりの。
    あかの、と似て非なるものなり。
    私は、みどりのほうが少し分かり易いように感じた。
    それでも、なんだか、すとんとこないわ。「さくら」のあの感動はないなー。なんでだろ。
    なんか!出てくる主人公、主人公、みんなストア派っぽいなー。

    【7/29読了・初読・市立図書館】

  • にしかなこさん。

    別の作家さんのおも〜い小説読んでて、読み進められず んー て思ってたから西さんに読み替えてみた。
    読みやすくて、文章のあたたかさで心があたためられたし、よかった。

    ねこの名前すき。
    カミさん、ホトケさん、ポックリさん。
    ポックリさんが特に好きかな。

    時々入れるお母さんのだらしない相の手とか、
    ひっきりなしに藍ちゃんが持ってくる異様に美味しい料理とか、
    カミさんホトケさんの作る仲のいい影とか、
    ポックリさんが与えてくれるのらくらした密度が勝っていて、皆心から、自分の家みたいに、居心地良さそうにしてる。
    そんなときおばあちゃんが戻ってきたりしたら、もう帰られへん。
    おばあちゃんはお喋りやないけど、ぽりぽりと豆を噛み砕くようにする話は、聞いてると実はものすごい抑揚があって、その波に乗ったら最後、とろとろと心地良くて

    コジマケンと藍ちゃん。
    児島犬。
    藍ちゃんのぶどうの匂い。

    緑ちゃん。

    突撃!ウエンズデイ。
    ハロー!ビスケット。

    とことん駄目になっていくあの人に、それでもついていく、そういう自分に、酔うてたんです。それだけです。
    ここまで誰かのためにすることが出来るんやて、それを実感して、初めて自分が生きてるような気がしたんです。


    さりげなくでいて、ふかー。
    ぬるいお湯にはいって、じっくり温まっていくような感覚の西さんの文章。

  • この人の書く家族像っていい。
    少しふつうとは違っていても、
    でも幸せが感じられる。

    幸せの形っていろいろよね。

    うまくいかないことがあっても、
    いつでも戻っていけるHOMEがあるってことは、
    なんて幸せなんだろう。


  • この本で西加奈子さんにはまる。

  • 大阪弁というのはとっても感情が豊かな方言であることを思い知りました。ひょうきんで「笑い」が得意かと思えば、ひとたび怒らすと恐ろしいほどドスが効き、胸が締め付けられるような切なさが迫ってくる哀しさを秘めていて、そして愛情にあふれた優しさが感じられる、ものすごく魅力的な言葉。

    この本は全編、そんな大阪弁で書かれています。主に語っているのは辰巳緑ちゃん14歳。おばあちゃん、お母さん、いとこの藍ちゃんと、その娘の4歳の桃ちゃん、そして猫のカミさんとホトケさんに犬のポックリさんと、いろんな匂いのする家に暮らしています。なんと全員女性(メス)。仲がいいのは、小一のときからの親友明日香と、明日香のクラスに転入してきたコジマケン。緑自身はそれが何なのかよくわかっていないけど、淡く切ない「初恋」という感情も味わいます。

    途中、ちょこちょこと誰かの独白が挟まれます。それが誰の独白なのか、最初はわからないけれどだんだん明らかになっていく。一人じゃないのでちょっとややこしいかもしれませんが、それらが分かった途端、それまで感じていた切なさがぐぐんと倍増します。わたしはプロレスには詳しくありませんが、この本全体を通して、アントニオ猪木が効果的に郷愁を誘っていますね。じんわりと心に沁みてくるものがありました。

    すっごくあったかくて、なんだかたまらなくもの悲しい小説です。切なくて胸が苦しくなりつつも前向きで、すごく良い。「ああ、良いなぁ」としみじみつぶやいてしまいます。読了後、ふんわりと「こうふく」な気持ちに包まれました。これまでの西さんの小説では一番好き。自信を持ってお勧めします。

    本書には、もうひとつ別のお話がくっついています。これが「みどり」なのに対し、もうひとつは「あか」。二ヶ月連続で発売されました。<上下巻のように見えつつ、実は全然内容は違っていて、でもどこかでつながった、二冊の小説>。もちろん、「あか」の方も後ほど読みます。うおお、すっごく楽しみ。

    読了日:2008年5月14日(水)

  • 中学生って結構現実的。
    結構大人で結構子供。

    なのに大人が描くから中学生は全部なんだか
    変に大人びていて、こんなのほんとじゃないと思ったり、
    私もこんなだったと思ったり。

    『きいろいぞう』のリズムが心地よかったけれど、
    今回はちょっと読んでて疲れた。

    でも藍ちゃんの後ろすがたはまだ私の脳裏に焼き付いているし、
    人を殺した夫を愛し続ける妻の正直な心の動きは
    きれいごとじゃないまっすぐな感情が出ていて好感が持てる。

    でも一度読んだら満足。
    もうそれでいい。

  • 藍ちゃんの御飯が美味しそう…。
    コジマケンとのことは吃驚したけど。
    そう来るか〜!と思てまいました。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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