付添い屋・六平太 龍の巻 留め女 (小学館文庫 か 35-1)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094060577

感想・レビュー・書評

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  • 時代劇脚本家として著名な著者の小説家としてのデビュー作であることを知り、面白い時代小説に飢えていたこともあって飛びつきました! 今後の展開も楽しみになる、期待通りの読後感です。

    基本、短編4つが収録されているので読みやすいです。痛快だったり爽快だったり切なかったり、それぞれに違ったテイストが味わえるのもいいですね。

    血の繋がらない妹、佐和が嫁いで家を出てしまったのが何とも惜しまれますが――

  • L 付添い屋六平太1

    カバー画の影響をモロに受けてしまってどーにもこーにも受け付けない。もっとシックなものにできなかったものかね。イメージに引っ張られてよくない。
    諸々詰めすぎ感あり。
    もっと着崩した浪人然としててもいいはずなのに…だから表紙絵がさぁ…。妹佐和も子供の頃に長屋住まいになってるはずなのに、武家が染み付いててどんだけ裕福なんだ、と疑問。佐和が稼ぎ頭といってもアンバランス。なーんかちくはぐで気持ち悪い。
    超大物脚本家小説デビュー!なんて書かれるから、一体どのへんの俳優想定して書いてんだよ…と思っちゃうし、あのへんか、と思えるような書き方。付き添い屋という言葉が目新しいだけで中身に特徴なし。

    血の繋がらない兄妹って設定ならもっと違う書き方あるだろ、と不満。

  • なぜか夢中になれないのはなぜか

  • 167

  •  長く脚本家として活躍して来た著者らしい、どこまでも王道な、人情時代劇。想い人を探して江戸へやって来た女性がお金が無くて困窮したり、大名行列を横切って武士に突き飛ばされ、昏睡状態に陥った息子の為に復讐する父親の話などなど。現代にも通じる、江戸っ子達の悲喜こもごもが描かれている。全4編。

     最後の「祝言」で、血のつながらない兄・六平太へ複雑な想いを抱きながら呉服屋へ嫁いでゆく義妹・佐和の物語は、それまでの登場人物が勢ぞろいして、4編のまとめ的な意味合いであるのと同時に、一つの区切りにもなっていて、筋自体はとっても王道なのだけれど、佐和の姿に思わずホロリとした。

     勧善懲悪、ほぼ大団円の物語なのだけれど、自分自身のせいではなく、不覚にも浪人となっていまい、一時期荒れていた六平太の悲しみとか、最後の佐和のいない家の寂しさとか、所々悲しみが滲んだ物語。

  •  時代劇の脚本家が時代小説を書いたらしい。 

     主人公の六平太は藩のお家騒動に巻き込まれ、浪人となった。しばらくは理不尽を嘆きながら、酒を飲み、やさぐれ、自暴自棄になった過去がある。しかし今は、年の離れた妹の佐和と二人で暮らし、剣術の腕をいかした付添い屋稼業で生計を立てている。付添い屋とは、いうなればボディガード。裕福な商家や町人の子女などが遊興や野暮用で町中を歩く際、半日くらいの契約で、掏りや暴漢から守ることを請け負う稼業のこと。


     一読しただけだと、登場人物が多く、キャラクターがよくわからなかったので、間をおいて二回読んだ。そうしたら結構、味のある話で面白かった。4編の短編で構成されている。


     気に入ったのは『初浴衣』という短編。
     大名行列の前を横切った少年が殴り飛ばされて、意識が混濁したことに怒り心頭の父親が藩邸に糞尿をばらまいた。義憤にかられた六平太と面子をつぶされた藩の家老がみせる駆け引きが面白い。父親に味方した町人たちは武家に対して、知恵でたたかう。したたかで痛快だ。家老は家老でただの頭でっかちかと思えば、最後の最後で粋なことをする。


     その他に『雨祝い』『留め女』『祝言』の短編がある。


     この小説は六平太とともに、妹の佐和も大きな役割を担っている。『祝言』は佐和が結婚する話。
     佐和と六平太は兄妹だが血のつながりはない。そのあたりの事情は最初の短編『雨祝い』に詳しい。『祝言』で嫁ぐ佐和の心情の移り変わりを読むと、おめでたい話なのに、せつない部分もある。


     人気脚本家らしいから、もしメディア化するなら個人的には石原さとみあたりに演じてもらいたい。


     ひとつ難を言えば六平太の強さがピンとこないこと。


     なぜかというと、必殺技(剣)がないから。相手を上手くいなし、反撃の芽をつぶす太刀裁きは、達人ぶりを感じさせるのだが、特徴がないだけに、球種が豊富で丁寧なピッチングでゲームをつくる中継ぎ投手のような印象だ。抑え投手には絶対必要な伝家の宝刀がない。
     プロレスで例えるなら、いくら強くてもアントニオ猪木が鉄拳制裁や延髄蹴りを出さずに勝利してしまったら観客が沸かないのと一緒で、六平太にも何か読者をわくわくさせる必殺技を編み出して欲しい。


     六平太の飄々として、女心に疎く、ちょっと間抜けな、でも強い、といったキャラクターを全く想像できない表紙は、メディア化の際はとっとと変えた方がいいと思う。

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著者プロフィール

一九四九年長崎県生まれ。会社勤めのかたわら倉本聰に師事し、七二年「おはよう」で脚本家デビュー。九七年、第十六回向田邦子賞を受賞。「鬼平犯科帳 」「剣客商売」「御家人斬九郎」「水戸黄門」など脚本作品多数。著書に「追われもの」「付添い屋・六平太」「ごんげん長屋つれづれ帖」「かぎ縄おりん」などの各シリーズがある。

「2023年 『小梅のとっちめ灸(三)針売りの女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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