坊っちゃん (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010038

感想・レビュー・書評

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  • なんだかんだ言っても単純に面白い。

  • 夏目漱石である。明治39年、1906年、今から100年以上前の作品である。無鉄砲な青年教師の話である。名作なんだろうが、古典である。

  • 古典作品はいつも脱落してしまうのだが、短いのもあってかスラスラと読めた。
    今の時代からすると坊っちゃんや赤シャツは珍しい部類の人間かもしれない。
    そういった人間の悪い部分というか、人間らしい部分を表現するのがとくに上手だと思った。

    坊っちゃんの1人1人に対する接し方や態度の違いが面白い

  • まさか今更?の初読。
    私自身衝動的に動く傾向が強く周囲を驚かせることも多い人間ですが、直情径行の見本のような主人公の坊っちゃんの行動にはそんな私も「もうちょっと考えてからにしたらいいのに…」と思いながら読み、思いがけず己を顧みる読書となりました←超個人的な感想です^^;
    流れるような、ほとばしるような文体が心地よく、坊っちゃんのつく悪態のキレのよさにしびれます。何度も声に出して笑ったほどの面白さでした。「議論のいい人が善人とはきまらない。遣り込められる人が悪人とは限らない」(125ページ)など、スパッと言い切る至言も気持ちいい。なにしろ言葉の響きがいいんだなぁ。漱石の小説を読むと日本語の美しさを改めて感じます。
    69ページに出てくる「単純や真率が笑われる世の中じゃ仕様がない。清はこんなときに決して笑った事はない。大に感心して聞いたもんだ。清の方が赤シャツより余っ程上等だ。」という一節も好きです。この、婆やの「清」と坊っちゃんの関係の温かさがとてもいい。時々優しく坊っちゃんを諌めながらも、無条件に坊っちゃんを認める清と、何かにつけて清を思う坊っちゃん。2人のやりとりには温かい涙が出ます。
    結局勝ったのか負けたのか分からない。山嵐とも東京に着いて別れたきり。東京に戻ってからは先生とは全く違う職に就く。坊っちゃんにとって四国の学校での出来事はいったい何だったのか…と思わずにはいられませんが、清の話で締めくくられる物語の終わり方に救われます。
    文句なしに面白かったです。

  • 何度も読んで、毎回最後まで見きれず挫折していた「坊ちゃん」。

    どうしても坊ちゃんのイライラについていけず…。
    田舎をバカにする態度も、いろんな人に対する
    傲慢な態度にも辟易してしまって、どうしても最後まで
    読み切ることができなく、パタリと本を閉じる…。

    その繰り返しだったけど、今度こそ!
    と絶対に読むと決めて挑んだ何度目かの坊ちゃん。
    やっと最後まで読むことができた。

    やっぱり今回も何度も閉じたくなりつつ[´ー`;]
    でもでも最後まで読んでほんとによかった。
    私にとっては、よく「坊ちゃん」について聞く批評とは
    感じることがまるで違うというか、勧善懲悪でも
    胸のすく話でもなく、不条理で憤懣やるかたない
    切ない話という全体の印象だった。

    山嵐とうらなりさん以外はいい人に感じられない。
    清は現実度外視で坊ちゃんだけを溺愛し、
    坊ちゃんと同じく「田舎の人」への偏見にも
    満ちていたりもするので、褒められた人とは感じないけど
    その愛情は揺らぐことなくあたたかく愛おしい。

    坊ちゃんは気性は真っ直ぐだけど、とにかく怒りっぽく
    1つの角度でしか物事を考えたり捉えたりすることしかできない
    欠点はあるけど、間違ったことにはちゃんとすぐ詫びることもできる
    ただ頑固な人ではなく、まだ日本が今の日本とはまったく別の国
    とも言えるほどの倫理観だったので、いろいろな道理の祖語は
    仕方ないこともあるんだと思うので、最後まで読み通すと
    坊ちゃんの勝手さに振り回されることだけでなく
    とても魅力的な小説であることに気づくことができた。

    明治39年に書かれた作品なので、その当時の日本の背景や
    暮らしぶりもとても興味深く、なによりいい人は少ないけど[笑]
    1人1人の人物が生きた人として心にくっきりと残る。
    道後温泉や坊ちゃんの愛した団子、天麩羅蕎麦。
    今度旅行する時はゆっくりと坊ちゃんの足跡も感じながら
    楽しい文学散歩ができるかなぁと思うとわくわくした。

    中盤からは特に一気に物語を読ませる熱量を感じて
    村上春樹さんを読んだ時と同じく、これが天才なのか…と
    難しいことや仔細について考えていくまでもなく
    いかに魅力的な文筆家であるかを感じて感動した。
    他の作品はもちろん、夏目漱石という人にとても魅力を感じて
    いろんな資料を読みたいなと思った。

    あたたかい古き日本を愛し、近代に絶望を見た夏目漱石の
    人となりを知りたいと思えた素晴らしい作品でした。

    • kuroayameさん
      松山にいとこがいるので、北海道に住んでいた頃から何度か訪ねているのですが、坊ちゃんはこれまで二度ほど読んだ本で、道後温泉、松山城などに足を運...
      松山にいとこがいるので、北海道に住んでいた頃から何度か訪ねているのですが、坊ちゃんはこれまで二度ほど読んだ本で、道後温泉、松山城などに足を運ぶたびに坊ちゃんの光景と重ねることができ、わくわくしちゃいます(^з^)-☆。
      坊ちゃん団子を初めて食べた時には嬉しくてたまりませんでした( ´ ▽ ` )ノ。
      2013/03/10
    • 山本 あやさん
      [♥óܫò]∠♡えぬちゃん

      本の中の景色を知ってたりすると
      ますますうれしくて愛着がわくよねー[*Ü*]
      本で読んだ場所に後から行くのもす...
      [♥óܫò]∠♡えぬちゃん

      本の中の景色を知ってたりすると
      ますますうれしくて愛着がわくよねー[*Ü*]
      本で読んだ場所に後から行くのもすごい楽しいし
      いろんな楽しみを本って増やしてくれるよねー♡

      私も早く道後温泉を見に行きたいなぁ~☆
      何日も滞在できるんだったら、現地で
      その空気と景色を前に坊ちゃんを読みたいねー♪
      2013/03/13
  • 朝日新聞の天声人語で人物のセリフを引用間違いしたとする謝罪含みの天声人語という珍しいものを最近読んで興味を持ちました。恥ずかしながら漱石でこれは、昔国語の時間に一部を読んだ記憶があったものの全編を読んだことはありませんでした。引用本当に間違ってました。天声人語を書くような日本語の識者でも読み間違えってあるんですね。

    とにかくおっかしいですね。

    笑えます。久しぶりにこれだけ笑える小説を読んだ気がします。思えば小説ではあまり笑ったことがなかった。

    あと思ったのが、この坊っちゃんがアスペルガー症候群と言えるという点です。専門家ではありませんが、かなり自信あります。

    例えば
    ・物事の裏や含みが理解できない
    ・物事や人を白黒で判断しグレーを認めない
    ・差別的で独断で決めつけが多い
    ・弁は立つが、実は言葉を完全に理解して使っているわけではない
    ・癇癪持ち
    ・超頑固
    ・空気が読めないので時に大胆な行動に出る

    他にも周りの状況として
    ・使用人清は真っ直ぐな性格とほめるが、父親からはろくなものにならんと異常に嫌われている
    ・ほかの教師や生徒に嫌われたりたりからかわれる

    などアスペルガーという症状だったとしたらあり得るけど、ちょっと普通では考えられないような部分が多いです。自己認知として知恵がないなどはわかっていたりするので、アスペルガーとも言い切れないのですが、生い立ちとして環境でこうなったというよりは、生まれながらの先天的部分に坊っちゃんが坊っちゃんたるゆえんがあるようなので、アスペルガーかと思いました。アスペルガー的という言葉があるなら、間違いなく当てはまります。

    しかし漱石はこのことを良しとしています。寛容しています。いやもっというと羨望のまなざしすら感じます。

    この坊っちゃんの正直さと純粋さはバカの裏返しです。おそらくバカ正直という言葉がぴったり当てはまるかと思います。つまりバカなんです。しかしこのバカを漱石はとてもうらやましく、尊いと感じていたのです。しかし世の中ではやはり坊っちゃんは負け組になったといえるような終わり方です。もちろん当人はまったく気にしていませんしむしろ清の元へ帰れてうれしかったでしょうが。ここにうらやましく思いつつ、侮蔑も含まれているような印象を持ちましたし、侮蔑とまではいかずとも、世の中ではそういったものは受け入れられないという悲しみのようなものも感じました。
    しかし漱石はそのバカを良しとして、寛容いやむしろ尊敬していたのです。

    おそらく漱石の世間への皮肉と自己への嫌悪がこの作品の裏にあるように思います。
    一般人は坊っちゃん的ではなく、確実に赤シャツや狸、野だやうらなり君のような人物なのです。そして漱石自身は赤シャツやうらなり君に当てはまるのではないでしょうか(漱石の伝え聞く人物像によると)。間違いなくいえることは、こころなどを書いた漱石が坊っちゃん的な人物の要素はまったくなかったということです。
    まとめると、坊っちゃんに対しての羨望と侮蔑、世間と自己への嫌悪を、落語のようなテンポの良さで皮肉たっぷりに面白おかしく書いた作品と言えるかと思います。
    それにしても坊っちゃんの使用人だった清へのツンデレな愛情はとても美しいです。24の若者がばばあへあそこまで愛情を寄せるその純粋さは美しいとしか表現できません。やはり坊っちゃんのような性格への憧れが強かったんですかね漱石先生は。

    例えばアスペルガーという症状の人がいたとして、社会に受け入れるだけの寛容さは間違いなくありません。相当生きづらいでしょう。おそらく多くの人が坊っちゃんを読んでもハナカラ主人公が理解できないまたは、正義の味方として関心したり、ただの差別的なバカとかのーたりん、のように感じてバカにするだけで終わってしまうような気がしないでもないです。
    坊っちゃんというタイトルが示す通り、漱石の意図としてはそのどちらでもないと思いますが、現代ではもはや解説なしにはそれこそ、表面的な部分をとらえて終わってしまいそうな気がします。まあ読む人の判断が全てなんで別にそれはそれでいいのですが、あまりにもそういう人が多くなってしまうと、メッセージが伝わらない世の中になってしまうという気もしますし、なにより寛容の精神という日本の美徳が消え失せそうで怖いです。


    もっとも読みやすいながら、漱石の天賦の才をもっとも強く感じる作品でしたので夏目漱石の入り口と出口としてはベストだと思います。

  • 私が一番好きな所は坊ちゃんとやまあらしで赤シャツと野だを倒す所。
    読んでいるこっちも、「赤シャツと野だ倒したー」と嬉しくなった。
    少し意味不明な行動をする時があるが、読んでいて楽しかった。

    • Duffyさん
      いつも感想楽しく拝見しています٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
      いつも感想楽しく拝見しています٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
      2023/06/14
    • ジャスミンティー(中2)さん
      いつも感想を読んでくださりありがとうございます!
      Duffyさんの感想も読ませていただきました!
      Duffyさんの本の更新を楽しみにしていま...
      いつも感想を読んでくださりありがとうございます!
      Duffyさんの感想も読ませていただきました!
      Duffyさんの本の更新を楽しみにしています!
      2023/06/15
  • 主人公の減らず口や悪口が達者すぎる。夏目漱石自身も、こんなことを常に考えてたのだろうか…????

    好きな文
    50 ページ 気狂いじみた真似も大抵にするがいい
    70 ページ こんな奴は沢庵石をつけて海の底へ沈めちまう方が日本の為だ

  • ■ Before(本の選定理由)
    最近、夏目漱石の一代記(小説)を読み終わった。
    高浜虚子発行の「ホトトギス」に読切りとして掲載されたこの物語を、一度読んでみよう。

    ■ 気づき
    漱石自身が熊本の五高に英語教師として赴任した際の空気感が甦る。実際の日々は、坊ちゃんの「おれ」よりもスマートでチャーミングだったように思う。舞台が親友・正岡子規の故郷=松山であることも、なんだか追悼小説のように思えて鼻の奥が熱くなる。

    ■ Todo
    日々の生活を居候の猫目線で描いたという、処女作「吾輩は猫である」も読んでみたい。あまりの長さにずっと敬遠していたから。。

  • 英会話教室に通っており、外国人と話す機会が多くあります。自己紹介の中で、読書が好きと伝えています。読書好きの日本人を自称しておりますが、夏目漱石や芥川龍之介といった日本文学を代表する著者の本をあまり読んだことがないと気付き、まず中高生時代に教科書で読んだことのある本作から読み始めてみました。

    直情的で曲がったことが嫌いな主人公が、松山へ教師として赴任した際の物語。現実の世界では黙って受け入れてしまいそうな不条理も、主人公は必ず正しくはこうあるべきだ、不義理だと異議を唱え、どこか快活です。松山赴任時代の経験を基に書かれているだとしたら、赤シャツは実在した嫌いだった人物をモデルとしているのかと想像して、夏目漱石の人間味に触れた気がしました。

    これから夏目漱石の本をどんどん読み進めたいと思います。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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