国盗り物語(四) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.04
  • (339)
  • (352)
  • (282)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 2844
感想 : 199
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (720ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152073

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 全巻読了!実に面白かった!

    一二巻の斎藤道三編、
    斎藤道三は謎の多い人物だから著者の創作部分が多いが、むしろそれがファンタジー要素を強くしてめちゃくちゃ面白い!

    そして、三四巻の織田信長編、
    主人公はむしろ明智光秀で、重要キャラとして織田信長が出てくる。
    斎藤道三を超大物として前半で描いているので、
    光秀と信長が小さく見えるけど、だからこそライド(感情移入)はしやすい。

    なんか、後半を読んでると、
    光秀がめちゃくちゃ嫌味な奴に見えるんですが、
    かなり自分と被るところがあって複雑になりました。
    『自己評価が高くて理屈っぽい』とか、、、。
    でも、信長的なところもあって、
    『かなりの合理主義で、無駄に話の長い奴が嫌い』みたいな。笑。

    最後の方の光秀は読んでて情けなかったなぁ、、、。
    でも、自分のことを光秀っぽいと思ったからには、
    これを手本にして『同じ轍は踏まないようにしよう』と思いました。

  • 織田信長と明智光秀の両者の人間像の洞察が、客観的、時に批判的によく分析されている。このあたりがジャーナリストであった作者のニュートラルな視点の賜物と思う(作者が織田信長にも明智光秀にもあまり惚れ込んでいないということもあるのかも知れないが)。「この男、ふだんはこうこうこういう男なのだが、どうやらこういう一面も持ち合わせているようだ」というような、突き放した物言いはシンプルだが、これこそ理屈では説明しがたい人間の矛盾した人格の表現にはうってつけな表現なのだろう。史料などから読み解き、どうにも辻褄があわない、理屈にあわないその人物の行為を強引に解釈するのではなく「よくわからない」と書くことで、本来の矛盾の多い人間らしい姿が描けているところが司馬文学の凄いところだ。それでなくては本能寺の変を起こすにいたるまでの、理屈ではどうにも説明のしようがない光秀の行動原理は描写できなかっただろう。光秀の精神が衰弱していく終盤の心理描写は圧巻。

  • この時代の知識がなさすぎて全巻から流し読み状態でした。知識がないので明智光秀のことがわかりイメージが変わりました。他の本も読みながらいつかもう一度きちんと読めればと思います。

  • 斎藤道三からの国盗りの流れを、信長と明智光秀が引き継いでいる。特に、光秀がクローズアップされて描かれており、信長の傘下に入り重要な武将まで階段を上がっていく過程での心情変化の模写が素晴らしい。また、保守的な光秀を通して、信長の革新性も再認識することができる。徳川家康と細川幽斎の振る舞いも面白い。司馬遼太郎の本は満足度が高い。

  • 読了 20200602

  • 一〜四巻読了。
    前半の道三編も面白いが、後半の信長編のほうがより面白い。光秀が中間管理職として苦悩する姿は、現代に生きる自分にも共感できるポイントが多く、感情移入してしまう。
    解説にある、「運命に挑戦するということは、人間が全力をつくさなければできるものではない。それは、知力も体力も気力も、そして動物的な勘のようなものさえも動員しなければならない。」という言葉の通り、彼らのその全力さに、何も本気で全力を尽くしたことのない自分のような平凡な人間は、羨望や憧れを感じる。

  • 全4巻、戦国時代の斎藤道三、織田信長と明智光秀を描いた著名な歴史小説。

    国民的作家司馬遼太郎の代表作の一つ。全4 巻を再読完了。

    前回20年ぐらい前に読んだ時は斎藤道三のあまりのスーパーマンぶりに辟易したが、歴史でなく「小説」として読めばこれ以上ないぐらい楽しく読むことができた。竜馬だって土方歳三だって誤解する人が多いが史実を基に司馬が造形したキャラクターである。

    第3巻と4巻は織田信長編とはいえ、実際の所明智光秀から見た織田信長。天才の傍にいる一般人視点は映画「アマデウス」のようで分かりやすい。光秀の謀反の動機、過程も理解できる気がする。

    司馬遼太郎作品の中でも何より舞台が戦国時代、そこに人気の秘訣があるのだろう。ただ中年になってちょっと深い読みができるようになった自分。それだけ苦労してきたということだろうか。

  • 4巻読了、充実感と心地よい疲れ。
    最終巻もほぼ光秀。才能ゆえに器用に生きられない光秀がリアルに描かれている。

    いつの時代も人を動かすのは理屈を超えた信念や情。流れやツキを味方に出来るのも徹底した努力や行動があってこそ。人としてどうありたいかが何より大事。

    やっぱり司馬遼太郎の本はおもしろい。

  • 【いちぶん】
    このような機会はない。
    これほどの稀有な機会が光秀の眼前にあらわれて来なければ、光秀はおそらく平凡な後半生を送ったであろう。機会が、光秀に発想させた。
    (p.630)

  • 第14回菊池寛賞

全199件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

司馬遼太郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島由紀夫
司馬 遼太郎
司馬 遼太郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×