【旧版】深夜特急3 ーインド・ネパール (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235073

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  • インド行きたい〜

  • 対談「十年の後に」の最後の言葉、「出入りする活力だけは失いたくないですね」私も常にそう思っています。

  • 「沢木耕太郎」の紀行小説『深夜特急〈3〉インド・ネパール』を読みました。

    『深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール』の続篇です。

    -----story-------------
    アジア旅行者はみんな読んでる! 
    バックパッカーのバイブルは、ここから始まる

    風に吹かれ、水に流され、偶然に身をゆだねる旅。
    そうやって〈私〉はやっとインドに辿り着いた。
    カルカッタでは路上で突然物乞いに足首をつかまれ、ブッダガヤでは最下層の子供たちとの共同生活を体験した。
    ベナレスでは街中で日々演じられる生と死のドラマを眺め続けた。
    そんな日々を過ごすうちに、〈私〉は自分の中の何かから、一つ、また一つと自由になっていった――。
    -----------------------

    人生を変えてしまうほどの魅力を持った作品『深夜特急』の第3弾作品です。

     ■第7章 神の子らの家―インドI
      ガンジーが「神の子」と呼んだ最下層の人々の子供たち。
      彼らのための孤児院であり、学校であり、職業訓練所でもあるアシュラムで、
      私は“物”から解き放たれてゆく……
     ■第8章 雨が私を眠らせる―カトマンズからの手紙
      ここカトマンズでは、旅の途中でひとり、またひとりと若者が死んでゆきます。
      ハシシを吸い、夢とうつつの間をさ迷いはじめると、
      恐怖感は薄いヴェールに覆われて……
     ■第9章 死の匂い―インドII
      ベナレスは、命ある者の生と死が無秩序に演じられている劇場のような町だった。
      私はその観客として、日々、遭遇するさまざまなドラマを飽かず眺めつづけていた……
     ■対談 十年の後に(此経啓助・沢木耕太郎)

    これまでの旅で訪れた、どの場所とも異なる異文化を持った、インド・ネパールでのエピソードが綴られた物語、、、

    悲惨なもの、滑稽なもの、崇高なもの、矮小なもの… それらが全て目の前にある、そんな香港とは違う熱気や興奮、そして驚きが感じられる旅です。

    他には比べ物のない異文化圏… ホントに驚きの連続で、何度、読み返しても自分の中で消化しきれない、そんな胃が重たくなるような印象の残る一冊です。


    『第7章 神の子らの家―インドI』は、シンガポールからカルカッタへの旅を決意した〈私〉が、インド航空のチケットの起点となるバンコクへ戻り、チケットの行き先をデリーからカルカッタ行きに変更してもらい、カルカッタを始めとするインドでの物語、、、

    ダッカに向かう途中、飛行機の遅れでカルカッタに一泊せざるを得なくなった青年と出会い、その青年のために航空会社が準備したオべロイ・グランドという一流ホテルに一緒に泊めてもらうことになり、幸先の良いスタートを切ったかに思われたが… 青年に付き合って売春宿を訪ねたり、路上で物乞いの老人に足を掴まれたりと、インドならでは経験、カルチャーショックを味わうことになる。

    その後、ブッダガヤに行き、そこで出会った日本人ボランディアたちと一緒に、農業技術などの教育をする施設「アシュラム」へ行きボランティア活動をします、そして、徐々にインドの文化に馴染むにつれて精神的な自由を手に入れていきます。


    『第8章 雨が私を眠らせる―カトマンズからの手紙』は、雨のカトマンズでの物語、、、

    カトマンズは、アメリカやヨーロッパからのヒッピーたちにとって、モロッコのマラケシュやインドのゴアと並ぶ三大聖地のひとつ… しかし、この街のヒッピーたちは、長く旅をしていることからくる無責任さから生じたすえた臭いを放っており、その無責任さの裏側に空いている深い虚無の穴、自分自身の命をすら無関心にさせてしまうほどの虚無に気付き、カトマンズを離れることを決意します。


    『第9章 死の匂い―インドII』は、カトマンズからペナレスに戻り、サトナ~カジュラホ~デリーと再びインドを彷徨う物語、、、

    ガンジス川の沐浴や、死体焼き場で、再びインドならでは経験、カルチャーショックを味わいます… そして、旅に出て初めて体調を崩し、カジュラホではフランス人女性客の好意で女性用のドミトリーに泊らせてもらい、一旦、回復するものの、その後、再び発症し、デリーのYMCAでインドの病気はインドの薬ではないと効かないというボーイから毒々しい緑色をした三粒の丸薬をもらい深い眠りに落ちるところで幕を閉じます。


    本巻は、読んでいるだけでカルチャーショックを感じることが多かったですね… それだけにインドという国に興味が沸き、惹かれる部分があるのも事実ですが、、、

    やっぱ、自分の器じゃ耐えきれないような… そんな感じがしますね。

    本巻までの旅が、『深夜特急』の中では印象的だし、面白く読めるんですよね… ということで、次巻以降はとりあえず読まなくてもイイかな。

  • 言葉の影に潜んだ淡くて解放感のある詩が、人さまざまな自己の内実と通じあい、純なる情感で未知の土を踏み始める。この世のあらゆる要素にまんべんなく満ちた文章群は、社会的倫理的相剋矛盾といった認識の外へ読者を運ぶ。そこで〈私〉は粘り強く他者を想う、時間の中での〈私〉の現在、空間の中での〈私〉の場所、どこまでも脱却して生者と死者とでみちあふれるアシュラムやワーラーナシーへ飛びこみ、陶酔と寂寥との中に漂う生の呼吸と死の呼吸の、におやかな反響をふんだんに聞き取る。そのあとで〈私〉はエネルギーを切らしてひぃひぃ眠った。

  • カルカッタで衝撃を受け、「私は香港以来の熱狂に見舞われ、毎日カルカッタの街をうろつき回った。」
    釈迦が悟りを開いた地ブッダガヤで日本寺やアシュラムに行く、「健全な」日本語教師の此経さんと2人の大学生(「旅先でいろんな大学生とすれ違ったけど、東京農大生と拓大生を越える水準の学生はいなかった」)と行動をともにする。
    高名な歴史学者がユーラシア紀行でヒッピーのことを「その毅然とした眸には孤独な精神の曠野があった」と言っていたが、そのロマンチシズムはあまりにも稚すぎて表層しか捉えておらず彼らが発している饐えた臭いを嗅ぐことができなかった、ものと思う。
    激しい頭痛と高熱を押してデリーに着く。

  • デリーからロンドンまで行こうというのが沢木さんが本来設定した旅の軸らしいが、3冊目にしてやっと出発点のデリーに到着するまでの話。旅慣れた為か、これまで以上に深く入り込んでいる。香港ぶりに感じたインドに対する興奮もよく伝わる。生と死が交差するガンジス河での描写は非常に詩的。ネパールについての記述は急に手紙の形式に変わったので読みにくかったが、ヌルッとしていて良かった。

  • 混沌としたインドの描写が面白い。 行ってみたら、価値観が変わりそう。

  • 第3巻では、インドとネパールでの体験が綴られます。

    インドのデリーにたどり着いた著者は、日本人の医大生と、ダッカへ向かうという旅慣れた日本人青年に出会います。そこで著者は、ダッカ行きの青年に連れられて、身体を売る幼い少女や、物乞いをする老人、さらにカースト制度のもとで生きる人びとの姿など、強烈なインドの現実を目にすることになります。ブッダガヤーでは、日本語教師をしている此経啓助に出会い、「アシュラム」と呼ばれる孤児院を訪問します。

    巻末には、旅から10年後におこなわれた著者と此経との対談が収められています。

  • 牛が恍惚とした表情で死体の臭いを嗅ぐ

    相好を崩して、ニーランニャム 男女交歓図 民法大意 出入りする活力

  • 名作

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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