月桃夜 (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
3.55
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本棚登録 : 198
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800523

作品紹介・あらすじ

この世の終わりならふたりの全てが許される。奄美の海を漂う少女の元に、隻眼の大鷲が舞い降り、語り始めたある兄妹の物語。親を亡くし、一生を下働きで終える宿命の少年フィエクサと少女サネン。二人は「兄妹」を誓い、寄り添い合って成長したが、いつしかフィエクサはサネンを妹以上に深く愛し始める。人の道と熱い想いの間に苦しむ二人の結末は――。南島の濃密な空気と甘美な狂おしさに満ちた禁断の恋物語、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • よくわからん。読み進めてしまうが、結局何が言いたいのかよく理解できなかった。国語力が弱いなあと痛感した。面白いとも思わなかった。今までが良かっただけに、期待し過ぎてしまった。残念。

  • 以降の著作から入っているから、本作だけは異色な気がして、結局最後に回してしまったもの。鹿児島が舞台ということもあって、このタイミングでトライ。とはいえ、奄美大島近海で織りなされる物語だから、純然たる鹿児島風はあまり感じられんかったのだけど。内容は、ファンタジーとはいえ、やっぱりこの人はこの人。底にあるのはやはり贖罪。

  • デビュー作だったのかぁ…
    禁断の恋物語、なるほどね。

  • 自分でも意識していない「妹」への執着から、手の届くところにあった幸福を自分からダメにしてしまう青年の悲劇。悲劇はいいんだが、無理やり悲劇に持っていこうとする作者の意図が透けて見えるところがあって、そういうのは興ざめだね。

  • 切ないものがたりだった

  • 魂の交わりを感じた、一冊。

    苦しみとせつなさ溢れる遠田作品、良かった。

    200年前の奄美の歴史を背負った遠い遠い"許されぬ愛”が時を旅して、夜の海を漂うカヤックの上で幻想的に交錯していく。

    静かな夜の波の音、サネン花の香り、砂糖黍の甘さ…想像が五感を刺激してくる。

    苦しみ、せつない想い、神に誓った愛を心で味わい、そして何よりも 貪る、喰らい尽くしてやる…という遠田さんの、心の底を奮い立たせるような言葉の美を味わい尽くした。

    愛よりももっともっと深い…魂の交わりなるものを感じる余韻が続く。

    • まことさん
      くるたんさん。こんにちは。

      『月桃夜』も読まれてたんですね!
      これは、哀しい話だったけど、よかったですよね。
      魂の交わり…そうかも...
      くるたんさん。こんにちは。

      『月桃夜』も読まれてたんですね!
      これは、哀しい話だったけど、よかったですよね。
      魂の交わり…そうかもしれないですね。
      現世では、実らなかったけれど、来世では、二人の魂が一緒になれるといいですね。
      2020/11/28
    • くるたんさん
      まことさん♪こんにちは♪

      これが遠田さんのデビュー作品だったんですね。
      奄美の歴史がまたせつなさに拍車をかけていましたね。遠田さんのファン...
      まことさん♪こんにちは♪

      これが遠田さんのデビュー作品だったんですね。
      奄美の歴史がまたせつなさに拍車をかけていましたね。遠田さんのファンタジーも良かったです♪
      2020/11/28
  • 第21回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
    作者の遠田潤子さんのデビュー作です。

    ファンタジーは苦手だと思っていましたが、最後まで読んで大変よかった作品です。

    今、現在の「海のはなし」では奄美の海でひとりで船を漕いでいるマブリ(魂)が抜けかかっている状態の茉莉香に鷺が空からやってきて話をします。

    そして「島のはなし」は鷺が茉莉香に話した天保の時代の薩摩のとある島の血のつながらない兄妹の話です。
    兄のフィエクサはみなしごで、二つ年下の4歳の娘サネンが慈父(ジュウ)を亡くしたのを引き取って、妹とすることを山の神に誓います。
    みなしごだったフィエクサは自分のそばに人がいる。ただそれだけのことが嬉しくて泣いてしまいます。
    フィエクサとサネンは貧しい身分のヒザとヤンチェの子供でしたので毎日働きづめの生活でしたが、フィエクサはアジャという老人から碁を打つことを教えられめきめきと腕を上げます。
    フィエクサは、ある時サネンの罪をかばって左眼を失ってしまいます。
    サネンは年頃になり、たいそう美しい娘になりヤマトの正木和興という申し分のない男からアンゴ(嫁)に来て欲しいという話がでます。
    フィエクサはサネンはアンゴになど行ってはならぬと言いますが、サネンは正木に碁を打つために兄を船に乗せてくれるのならと言い出し、申し出を受けようとしますが…。



    以下、思い切りネタバレ含みますのでご注意ください。


    フィエクサとサネンの兄妹愛は悲恋でした。
    血がつながっていないのだから現代だったら、何とでもなったろうにと思います。
    山の神に誓いなどたてなければよかったのに。
    フィエクサという名の通り鷺と化して海をさまよい、サネンの再生を待つフィエクサ。
    なんとも、もの哀しい終わりでした。

  • 清々しいまでのメロドラマなのだが、メロドラマ以上のなにものでもない感じ。

  • 遠田潤子さんデビュー作。
    当然、私も本作を初めて読んで、出会った。

    ファンタジーノベル⁉︎………とんでもない。
    でも、この作品が出されたら、脇に置くことはできなかったでしょう。

    あまりにも前に読了したので、細かいことは書けないけれど、とにかく衝撃的な力で、読書を中断しても頭の中がぐるぐるとこの作品世界に塗り潰され、苦しいままで最後まで読まされた。
    読み始めると離れられない、この人の作品の魅力がはっきり刻まれた。

    たしかこんな装丁ではなかった、黒々としたハードカバーだった記憶があり、このふわふわしたイラストの文庫版のところに感想を書きたくなくて放置していたけれど、読書記録として本作を抜けたままにしてはいけないと思い直し、書き込みました。

    …と書いたあと、記憶にあった装丁の本を登録できたので、感想もお引越しします。

  • ★3.5

    日本ファンタジーノベル大賞受賞のデビュー作。


    この世の終わりならふたりの全てが許される。
    奄美の海を漂う少女の元に、隻眼の大鷲が舞い降り、語り始めたある兄妹の物語。
    親を亡くし、一生を下働きで終える宿命の少年フィエクサと少女サネン。
    二人は「兄妹」を誓い、 寄り添い合って成長したが、
    いつしかフィエクサはサネンを妹以上に深く愛し始める。
    人の道と熱い想いの間に苦しむ二人の結末は――。


    死んでもいいと思い、運命を任せようと奄美の海でカヤックに乗り
    パドルを捨て漂っていた茉莉香。
    しかし、夜の海で苦しんで死んでいくのが怖い怖いと震えている時、
    カヤックの艇首に大きな鷲が止まった。
    鷲は江戸時代の家慶公の時代からずっと海を飛び続けていると言う。
    江戸時代の奄美の史実に基づいた緻密な歴史の描写。
    そこに生きる人々の姿が描かれていた。
    ファンタジー小説と言われていますが、歴史小説を読んでいる様だった。
    知らなかった。知らなかった。
    奄美にこんな歴史があったなんて…。
    まるで奴隷制度だ。こんな過酷な歴史があったんですね。

    200年前の奄美の血の繋がりはない兄妹のお互いを想う気持ち故の苦しみ。
    そして、現代の自分の為に兄が苦しんで死んだ。
    あれで良かったのかと迷い迷っている妹の兄への愛。
    現代はともかく…200年前の神に誓った兄妹の互いを想う気持ちは、
    とても切なく、とても哀しく、とても哀れで可哀相。
    あまりにも哀しいお話なので読んでいて辛かった。

    時代は違えど、200年前と現代考え様によっては似ている。
    富める者はドンドン富。貧困にあえぐものは負の連鎖でいつまでも抜け出せない。
    「おまえも一粒の椎だ」
    誰かが必ず拾ってくれるって言いたかったのかな。
    希望を与えてくれようとしたのかな。

    哀れな鷲を思い、この世のおわりが来ることを願った…。

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠田潤子の作品

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