宇宙創成(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102159750

感想・レビュー・書評

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  • 宇宙の成り立ち、ビックバンの考え方はどのように生まれて、証明されたのか、分かりやすく説明されている本だった。宇宙史に名を連ねる人たちそれぞれにドラマがあり、正当に評価された人、されなかった人、たくさんの人間ドラマを見ることができた。サイモン・シンの本は専門的な知識がなくても読めるのでとても面白い。

  • CMB放射のゆらぎあたりが理解できなかった。ものすごく噛み砕いて書いてくれてるので申し訳ない気がした。

    終盤で今だ解けぬ謎、として書かれていた暗黒物質がロマンチックすぎる。この謎はそう遠くない日に解明されるのかもしれない。今も叡智のリレーは続いてるのだなぁ。事実を知れば知るほど新たな謎を発見する、という人類の果てしない冒険は、まさに膨張し続ける宇宙と同じところに帰結するんじゃないかしらと思った。

  • 12/17読了

  • 夜空に輝く星たちを美しいとは思いませんか?思わない?それなら君とは話をしない。那由多の彼方から届いた光、それは古代の人々に夢を抱かせ、近代の科学者には宇宙の起源への手掛かりとなった。天文学者達の地道な観測の歴史、それが現代の物理学理論と合流して100億年前の世界を明らかにする。翻訳者の「科学的方法の特徴は、人間は間違いを犯すということが、あらかじめ組み込まれている事だ」という言葉はビッグバン理論が誠実さの結晶である事を証明している。夜空に輝く星たちの、理由を解き明かそうとする事は美しいとは思いませんか?

  • サイモン・シン、3冊目。ビック・バンモデルの検証過程を追いながら、科学的手法というものを感じることができる良書。あくまで、感じる…。原子物理学あたりは、どうしてもポカーンとしてしまった。でも、それにも耐えて読み進めることができたのは、科学や、科学的であることに対する、ワクワク感と興奮。♪ららら〜科学の子〜

    科学者とは、正しい答えを与える者ではなく、正しい問いを発する者である。(クロード・レヴィ=ストロース/フランスの人類学者)

  • これから、空を見上げる事がとてつもなく楽しくなる本。

  •  化学などの科学と違い、観測することでしかデータや証拠を集められない天文学。観測機具などの精密さがなかった古代では、現代では誤りとされている説もまかり通っていた。そんな時代であっても、自分の観測に基づいて新しい説を打ち出していく古代の天才天文学者はとってもすごいと感じた。また、自分の説を証明するために絶え間のない緻密な観察をしていく様子もすごかった。

     イマヌエル・カントも天文学における重要となってくる説を唱え始めた人物であったというのが、上巻では一番驚いた。天文学者は誰にでもなれるからこそ、ロマンにあふれている学問となっている一因なのであろう。

     そして、20世紀の大発見と言える「ビッグバン理論」について。科学に全然明るくなかったので、ビッグバン理論は一人の人ないし数人の人が理論立て証明した理論だと思っていた。しかし、現実にはそうではなく理論の提唱から1世紀近くも証明に要した大理論でありびっくりした。しかも、ビッグバン理論を決めつけたのが最近であることにもびっくりした。宇宙マイクロ波背景放射といった解説されてもイマイチびんとこないものもあったが、興味深く読めた。

     最初に読んだ時は、「光」についても良くわからなかったが、最後まで読んでみて、なんとなく、わかった気がした。これが科学の勉強法なのであり、発展していく過程。のようにかんじた。

  • 下巻も興味深し。ビックバンと定常宇宙の正当性争いを通して、まさに科学的方法とはなにか、を著者は説きたかったのだと思う。

  • フェルマーの定理が証明されるに至る経過を非常にうまくストーリーに乗せた著作をよみ、サイモン・シンと科学本のファンになった。

    それゆえに、この本を読むことになるのは必然ではあったが、フェルマーの定理ほどの感動はなかった。

    やはりゴールが明確でないからか。

  •  僕は根っからの文系人間なので、数学やら物理やらの世界は理解できない。でも理解できないこうした理系の世界を、わかりやすく説明しながら、その背景にある人物像や歴史に触れつつ物語を運んでいく著者のS・シンが大好きです。著者の処女作『フェルマーの最終定理』を読んで一気にファンになりました。
     数学に興味が無くても「無限」、「虚数」やら「円周率」とかの深遠さを誰にでも理解できる処女作は素晴らしい作品でした。『フェルマー』はその定理の単純さも手伝って、数学の魅力に引き込まれる題材であるという点もありますが、その点を差し引いても必読の本だと思ってます。
     次作の『暗号解読』が出版されたとき「はぁ、暗号?」って思いました。なぜ暗号が数学に関係しているのかが、わからなかったのです。でも、暗号というのものに興味があったので、読み始めたらこれがまた面白くて一気に読んでしまいました。「暗号って数学と関係があるんだ!」と滅茶苦茶感動してしまいました。そして、その暗号の技術がPC(ネット)にも大きく関係しているという物語の収束感もたまらない作品でした。『フェルマー』と『暗号』は甲乙つけがたい、どちらとも文句なしの★★★★★です。
     
     というわけでS・シンの最新作が文庫本になった時、「宇宙か。こりゃまた面白そうだ」と思い発売日に購入し、早速読み始めました。ところが読んでるうちに「う~ん…」となって、1章を読んで止めてしまったのです。何か理解しずらく、その歴史もあまり興味を惹かなかったのです。
     理系の本というのは、こういうリスクがあると思います。読者が理解できない数式、公式や定理を並べても全く面白くない。それらの公式・定理等がどういう意味合いをもっているのか、加えて、それら公式・定理等を分かりやすく説明しなければ、(少なくとも僕のような文系人間のような)読者は読み続けることが難しいと感じるというリスクです。
     3年ほど本棚にあった、途中で読むのを止めたこの本を手に取り「せっかく買ったし、読むか」と気合を入れて読みなおしました。そうして読んでみると、上巻の終盤に出てくるアインシュタインの(特殊・一般)相対性理論の件にとても惹き込まれました。
     それでも下巻の中頃からまた「う~ん…」となってしまい、興味を失っていきました。
     いつもとおり、S・シンの筆致は冴えているとは思いますが、扱うテーマが深遠すぎて著者も扱いに困ったのではないかなと感じるのです。それでも有名・無名な人物が宇宙の秘密に迫ったというのは、よく理解できました。そして宇宙というのはあまりにもスケールが大き過ぎて、一般人には理解し難い世界だということもわかりました。
     S・シンの次作は医療がテーマだと聞いています。数学がどうからむのかよくわかりませんが、ただこういう理系の事柄をテーマに書かせたら天下一品であることは間違いないと思います。ハヤカワ文庫から数学をテーマにした一連の文庫本が出版されていますが、世間の「理系を知りたい」という風潮をも反映しているのかもしれませんね。世の中が数学で出来ているのならば、少しでもその世界に触れてみたいという欲求は当然だし、そういう欲求を満たす本に数多く触れたいと思います。そしてその筆頭はこのS・シンであることは間違いないと思います。
     

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著者プロフィール

イラストレーター

「2021年 『世界じゅうの女の子のための日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

サイモン・シンの作品

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