宇宙創成(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102159750

感想・レビュー・書評

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  • 上は宇宙のまだごく小さい範囲(天の川銀河内)などを考えていたが、下では宇宙の本当の始まりのビックバンVS色々な説についてを中心に書かれていた。
    この本の作者、サイモンシンさんはその説などだけを数式などでややこしく解説していくのではなく、このような分野の本を初めて読む人でも分かりやすく、また出てくる人物一人一人の心理状況などについても書かれており、とても面白かった。
    それにしても自分たち人間、生物がいる確率は限りなく小さく、偶然に生まれたのだとしたら本当に奇跡だなと思った。

  • この下巻は、近代宇宙学の黎明期からの解説。

  • 宇宙マイクロ波背景放射の検出〜その揺らぎの検出のあたりが最も興奮した。ビッグバンの名残りの中で生きているというのはなんと感動的でしょう。
    終盤のSix Number の話は初見ではないけれど、実に不思議なお話だと思う。マルチユニバース論を信じたくなります。

  • もう大満足です。素晴らしい作品でした。
    これぞサイモン・シンという、とても濃いエピソードのオンパレード。
    よくぞここまで突きつめたな、と唸ってしまうほど、「ビッグバン」というものを鮮やかに描き出していました。

    訳者である青木薫氏のあとがきから引用しましょう。<blockquote>本書は、宇宙論の最新の知見を紹介する紹介する本ではなかった。本書の真の主人公は、<<科学的方法>>だったのだ。</blockquote>まさに、まさにです。

    通常、宇宙論がテーマとされている本は、「宇宙」のみを語ります。
    テーマが「宇宙」なのですから、一見、それは当然の事だと感じられます。
    しかし、本書でシン氏は、その考えを明確に否定します。
    「宇宙」を語るのなら外してはならない学問があるのだと、読者に提示してくれるのです。
    それが「神話」であり、「原子論」であり、「相対性理論」なのです。
    さらに、「理論」と「観測」という、言ってみれば正反対とも言えるアプローチが、互いを高め合い、補強し合いながら先へと進んでいく、そのプロセス。

    宇宙論とは、それだけで成立している学問ではありません。そもそも、それだけで成立している学問など存在しないのです。
    「科学」とは、細分化されていくあらゆるジャンルを包括した上にこそ成立するものなのだと、本書は読者に訴えかけているのだと思います。
    本書を読めば分かるように、神話からビッグバンへと至る遙かな道のりは、そのどれが欠けても駄目だったのだろうと直感できます。
    そして同時に、そのどれもが必然であり、為されるべくして為されてきた物事でもあるのだと思います。
    それは、「運命」のように生易しい言葉では到底言い表すことは出来ません。
    ある理論が生まれたとき、それを裏付けるデータを観測しようとする動きが生まれる。
    また、あるデータが観測されれば、そのデータの意味を解明する理論が編み出される。
    この表裏一体である一連の流れは、人間という生物の本質を浮き彫りにする流れであると言っても過言ではないと思います。

    そして、やはり特筆すべきなのは、その流れをこれほど「読ませる」文章で書き上げてしまう、サイモン・シンという才能の偉大さでしょう。
    ここまで明快に、かつしっかりとした深い理解を味わわさせてくれる作品には、なかなか出会うことは出来ないです。
    そしてもちろん、その魅力を損なうことなく日本語に訳しきってくれている青木薫氏の存在も忘れてはいけません。
    このコンビが放つ作品には、これからも眼を離すことは出来ないな、と改めて思いました。

    本書には、心に残る名言が多数収められていました。その中でも、シン氏が最後の締めに選んだ言葉と、あとがきで青木氏が補足している、アウグスティヌスの言葉を引用して、終わりにしたいと思います。
    <blockquote>神は天地創造以前に何をしていたのか?

    神は天地創造以前に、そういう質問をするあなたのような人間のために、地獄を作っておられたのだ。

    わたしはそのような答を与えようとは思わない。洞察することと笑殺することとはまったく別である。わたしはそのような答を与えようとは思わない。わたしは神秘を究明したものを嘲笑し、虚偽を答えたものを賞讃するような答を与えるよりはむしろ知らないことは知らないと答えよう。

    しかし、わたしたちの神よ、わたしはあなたをすべての被造物の創造主とよぼう。そして天地という名によってすべての被造物が理解されるなら、わたしは大胆に、「神は天地の創造以前になにも造られなかった」といおう。もしも神がなにかを造っておられたら、神は被造物以外のなにかを造っておられたにちがいない。わたしは、わたしの身のために知ろうと思うすべてのことを知りたい。わたしはなんらかの被造物が造られる以前に、どんな被造物も造られていなかったということを知っているが、そのようにすべてのことを知りたいのである。</blockquote>これをどう取るかは、受け取り手の自由です。
    ぼくは、これは人間の本質であり、人間性そのものである、と思います。

    「わからない」ことがある。それはつまり幸福であるということ、なのですから。

  • 「<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4102159746/ichiromarin09-22/ref=nosim" target="_blank">宇宙創成 (上)</a>」を参照してください。

  • 読後に高揚がのこる。
    インフレーション理論がエピローグなのは実証がまだだだから。
    王道中の王道といったテーマだがさすがにサイモン・シン。説明の見事さは言うまでもないも

  • 暗号解読、フェルマーの最終定理、代替医療と、これまで私の知的好奇心をくすぐりつづけてきた筆者による、宇宙創成に関する物語。

    数々の専門家が、遥かなる宇宙に挑んできたその姿は、少々専門用語が理解できなくても、充分に堪能できる。

    著者•サイモンシン、訳者•青木薫両氏も、遥かなる宇宙を巡る壮大な物語の登場人物として必須であると思えるほど、濃密な記載と丁寧な翻訳も、この本の魅力。

  • 最後まで読みきって良かったと思える作品。あとがきも読むといい。この作品の主人公は科学的方法であるというコメントは非常にしっくりきた。人は間違いを犯すということと、それを正すということがよくわかる。過去の天才でも間違いを犯していることがよくわかる。しかし、間違いを非難することは間違っていて、その間違いはその人なりの答えであるということである。非難すべきは答えを正すことができない、もしくは、答えを議論できない状況であるということがよく理解できた。

  • 読了。

    宇宙創成(下) / サイモン・シン

    やっぱサイモン・シンの作品は面白かった。

    下巻はもっぱらビッグバン宇宙論にまつわる提唱者と反論者たちの戦い。観測と理論と検証の戦い。
    ビッグバンモデルがおおよそ正しいとされたのは1992年とはつい最近なんすね。平成4年ですね。びっくりです。
    最終的には人工衛星での観測ということのようなので、それを考えると最近って感じがしますね。
    観測と検証には当時では時代が追いついてなかったわけですね。理論はあるがどうしてそうなるか検証ができない。

    第四章は原子の話へ
    宇宙は元からあった説の定常宇宙モデル
    VS
    宇宙はビッグバンから始まった説のビッグバン宇宙モデル
    戦いです。罵り合いです。批判合戦です。

    第五章
    電波天文学誕生。戦争による軍事用の電波受信装置からはじまったのは新しい技術は兵器開発からはじまるみたいな感じを地で行ってますね
    人工衛星で宇宙から発せられる電波のゆらぎをキャッチして検証した結果、宇宙はビッグバンから始まったとする説で間違いないだろうということになったようです。

    ということで
    『この物語はビッグバンにまつわる宇宙天文学に携わった科学者達の話である。』
    であるので宇宙の話を永遠と語るわけではなく”宇宙にとりつかれた人たち”のお話なので、そこまで難解ではなく読者を歴史の流れに導いてくれてますのでおすすめです。

    たいへん面白かった。

  • 古代、人類が太陽や月の大きさ、そこまでの距離を計算で明らかにするところから、やがて現代のビッグバン理論につながるまでの知の歴史を綴った物語。
    そこには理論の積み重ねだけでなく、偶然の生んだドラマ、科学者達の人間臭さ(ここが一番面白かったです)が詰まっていました。
    “科学にとって言語”であるところの数式が全く無く、文系脳の私にも内容が頭に入ってくるのは驚きです。
    夜、頭上に光る星を眺めながら、つらつらと思いを馳せたくなりました。

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著者プロフィール

イラストレーター

「2021年 『世界じゅうの女の子のための日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

サイモン・シンの作品

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