- Amazon.co.jp ・本 (715ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103750116
感想・レビュー・書評
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第一部は状況がコロコロ変わる感じがして少し読みにくかったけど、第二部では、その状況がすごく整理されて、なおかつ新しい展開もあるんだけど、第一部よりも読みやすく感じました。
しかし1冊が長い。。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中学2年生の男子生徒が学校で遺体となって発見された事件。彼はなぜ亡くなったのか、周りの大人たちに任せるのではなく、自分で真実を明らかにしたいと、クラスメイトが一念発起したところで第一部が終わり、この本では彼女が中心となり学校内裁判を計画、準備していく過程が描かれる。正直、中学生とは思えない程に老成した思考を持つ登場人物たち。それでも感情の揺れ幅は大人より大きい、そんな微妙な描写がいい。野田くん頑張れ!とか、和彦なに考えてんの?なんて思って、弁護側の動きにスポットが当たっていた気がするけど、先の展開が読めない。重いテーマ、だけでなく、学校という一つの枠にいる中学生のそれぞれの環境、それぞれの思いの実に多様なことか。誰も軽く扱うことなくそれぞれの心の内面を丁寧に描いているからこんなにも分厚い作品となっているのだろう。宮部さんの新たな代表的傑作となる予感がする。
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宮部作品最高傑作の予感
第一部では事件のあらましとヒロインの決意までを、そしてもこの第二部ではクライマックスに向けて、舞台にあがる役者たちを描いている。ユル・ブリナーが6人のガンマンを集めている・・・そんな感じだ。
そして、深い謎が徐々に明らかになってくる。ヒロイン・涼子の対局にいる和彦こそが真犯人なのか。それとも幇助か。主人公格になってきた助手は何を気づくのか。そもそも事件の真相は?
第二部のエンディング直前になって、モリリン事件が(悪い方に)展開する。この意味がわからない。すでに舞台から消え去ったはずの役者にスポットライトを当てるのはなぜだろうか? この部分が第三部でどうなるのかとても楽しみであるとともに不安だ。
しかし、今回も分厚い書籍だが一気読みだ。設定には非現実感が伴うものの、とにかく結末がこれほど待ち遠しいお話は久しぶりだ。最後のマックイーンばりのカードゲーム(シンシナティキッドね)を大いに楽しみにして第二部を終えることにしよう。 -
14歳の少年は何故死んだのか
真実を知りたいという思いから
かつてのクラスメートたちは学校内裁判を決意する
検察側、弁護士側の生徒たちが
知恵を絞りながらそれぞれに動き出す
分厚い本なのに
ぐいぐい引き込まれて読んでしまいます
あぁ早く第3巻も読みたーーーい -
1991年7月20日。城東第三中学校の体育館。
卒業文集のテーマを選ぶ場面から始まる。
主役は刑事の父を持つ優等生“藤野涼子”。
意外に自分の意見を主張出来る“野田健一”。
キーマンは他校の生徒ながら
『学校内裁判』に参加する“神原和彦”。
検事と弁護人のそれぞれが事実を掴もうと行動する過程で
明らかになる事実。
新たに巻き起こる事件。
ぼんやりと提示される全く別の主題。
オールキャストが集う『学校内裁判』では
どのような論争が繰り広げられるのだろう。 -
第二部に突入。第一部と同様700ページ超の分厚さ。副題の通り、さまざまな決意が描かれる。
ある生徒の自殺を巡る一連の事件の真相を知りたいという涼子の覚悟から、ついに学校内裁判を開廷することが決まる。
受験を控えた夏休みに中学三年生がここまで熱心になれるかと思えるほど、検事側と弁護側の生徒たちが精力的に動いたおかげで証人や証拠が徐々に集まってくる。
事件を複雑に見せていた、森内先生の濡れ衣や大出家の放火の真相はあっさり関係者の前で明らかにされるが、それは逆に裁判で裁かれる対象が絞り込まれたことを意味する。
弁護人の和彦が秘めているものが何かが気になるし、ある証人が証言をすることを決意したことも波乱を呼びそう。
クライマックスに向けたお膳立てはすべて整った感じで、最終巻の裁判シーンに期待。いったい何が裁かれるのか。 -
大作青春小説『小暮写眞館』の流れを引き継ぎつつも、ミステリーへの帰還をしっかりと果たした作品といったところ。ただし、大作度はより加熱して、重量級の枚数を誇る700ページ超×3作(3部構成)といった驚愕作品。
『このミス』では2位に輝いたけれど、多くはミステリーそのものよりも、この長大な横綱ばりの力作に舌を巻いた口が多かったのではないだろうか。つまり、ジャンル上はミステリーに分類してみたものの、ぼく自身でもこれはミステリーではなく、社会派青春群像小説ではなかろうか、といった読後の感想を持っているからである。
事件は、クリスマス・イブの雪の夜に発生した。東京のホワイト・クリスマスというのは確率的にとても少ないのだが、雪の積もった中学校で真夜中に屋上から転落したのは、その学校の二年生男子生徒の一人。
事件の骨格はこれだけであり、通常なら2000ページ超の大作になることは考えにくいのだが、この事件を発端にして、街の全部を巻き込んだような騒動となってゆくのは、自殺か事件ががわかりにくいことから、疑いのかかる不良生徒たち、真偽のはっきりしない告発文、それらに対応するメディアと、これらに振り回される関係者たちの動きなどなどによるのである。
青春群像物語と書いたが、主人公たちは中学生たち数名でありながら、事件の巻き起こした波紋が、多彩な登場人物の複雑な相関関係を生み出してゆくので、実際には実に多くの子供たちと大人たちの人生ドラマの集合体みたいな小説でもあるというのが本当のところである。だからこそ、の超大作であるのだ。
雪の日に幕を開けた事件の模様が、年を越え、告発文とともにメディアに照準を捉えられるあたりから、各方面に飛び火する。悲喜劇と言うだけでは済まされない被害者さえも登場する。
何よりも中学生たちの心の動きを描ききったところが見事である。教訓めいた語調などはどこにもない代わりに、決して親が教えてくれない種類の試練を彼らは否応なく味わわされる。そしてそれは途轍もなく現実に近いことでもあるのかもしれない。
人間関係図はさほど複雑ではないものの、キャラクターたちのそれぞれの心の裏側へのアプローチが容易ではない故に、最後には学園法廷といった途方もないアイディアに収斂してゆく。真犯人を追い詰めることではなく、曖昧にされて終息させられてしまった事件のあらゆる陰の部分を明らかにし、それぞれの喉にひっかっかった事ごとを、一つ一つ嚥下しては消化してゆくという作業を行うために、中学生と一部教師の発案による学園法定がにわかに出現することになる。
厳密な法廷(リーガル)サスペンスは違うものの、読み応えとしては近い部分もあり、読書の醍醐味といったところが、ほぼ全編法廷内に絞られる第III部では味わうことができる。
事件を解決するミステリーとしては、真相らしきものも、うすらうすらと見えてくる中、さほどの謎解き要素には乏しいものの、群像ドラマとしてのここの心の謎解きプロセスには、相当の読み応えがあると思う。
実際に手に取れば、ノンストップで読みたくなる楽しみに満ちた作品であり、それは宮部みゆきという作家の腕力によるところが当然ながらほとんどである。
作家としてのライフワークにすら見えるこのエネルギッシュな力作に、かつての『模倣犯』『火車』などとの共通点を感じ取ることのできる、エポック・メイキングなこの三冊。読書好きを標榜する人ならば絶対に見逃すべきではないだろう。 -
悪い言い方をするとワクワクする展開ですね。決して内容が面白いわけではないので表現としては間違ってるかもしれませんが、見えるような見えない真実にもどかしさを感じながら先が楽しみになってくるわけです。
大人たちに情報を操作され、自分たちがかかわることなのに真実が見えない。
自分たちが真相を暴こうと決心した中学生たちの裁判のための準備が始まります。
いろんなものが見えてきます。 -
真実を知りたいがため、行動を起こす。
その姿は勇敢で、中学生の行動力には驚かされる。
現実では、きっと内申書や受験のことを考えて、何もできないだろうと思う。
しかし物語の世界だからこそ、彼らは活躍できる。
彼らの世界がそこにはある。
『英雄の書』を読んでいたので、そんなことを思ったのかもしれない。
その物語の中で精いっぱい行動して欲しいと思った。
被告人と弁護士と弁護士助手の絆が芽生えるシーン、
そして、被告人が決意し、絆が深まる場面では、心が温かくなった。
1部は読むのが辛かったが、2部は物語が動き出し、面白く読めた。 -
「小説新潮」に連載されたものの単行本化で、3部(冊)中の第2部。
第1部では、クリスマスの朝、中2の柏木拓也の死体が学校の外で見つかり、いじめられていた女生徒がいじめていたグループが犯人だと匿名で告発し、マスコミが取り上げたために大騒ぎになったが、警察は自殺と見ていた。
告発状を受け取った一人で、3年生になった藤野涼子は、このまま真実がわからないままにしたくないとして、生徒による裁判という形で仲間と協力して調査を進める。
柏木と塾が一緒で弁護士役を買って出た東都大付属中生神原和彦が切れ者で、次第に色々なことがわかっていくが、補佐役の野田健一も検事役の涼子も違和感を感じていく。
悪ガキの身の潔白、ではない別の真実を予感させ裁判直前で第2部がおわる。