ソロモンの偽証 第II部 決意

著者 : 宮部みゆき

• 新潮社 (2012年9月20日発売)

感想・レビュー・書評

[ヒョードルさんの感想 · 2012年11月19日]

法廷開催に向けて、人間関係・人物描写が徹底して書かれているのだが・・・・、ここまで長いのは？？？
確かに彼女らしい表現と人物描写は、相変わらず上手いのだが、それにしてもここまで長くする必要はあるのか？
かなり苦痛の一冊。
何より、ストーリーに大きなもしくは、中規模な変化が全くない！

[tamakoさんの感想 · 2012年11月8日]

一人の少年の死に端を発した騒動に翻弄された中学生たちが、もう大人には任せておけないと学校内裁判をすることに。この第２部では、学校や周囲の圧力に屈せず裁判を計画し、検察側、弁護士側の生徒たちがそれぞれ事件を調べ直していく過程が描かれている。
第１部から一転してほとんどがまっすぐな中学生視点になり、周囲の大人たちも協力的なので少々話がご都合主義に進みすぎる気がしたが、それでも一気読みの面白さにかわりはない。
他校から謎めいた弁護人も登場し、彼の真意も含めて次の巻がますます楽しみである。

[housekeeperzさんの感想 · 2012年11月6日]

第一部が大人の思惑とかがいろいろと・・みたいな話が目立ちましたが、第二部は中学生の部。メインで大活躍です。
タイトルで第三部が「法廷」ということで裁判ものかな～って思ってましたが・・・そういう流れでしたか。なるほど。

読んでいて「ちょっと出来過ぎじゃね？」と思うこともしばしばあったり、とても中学生の思考とは思えないようなところも感じましたが、それでも面白いですね。子供が子供なりに活躍する青春ものとかがあんまり好きじゃない自分からしたらちょうどよかったのかもしれません。

細々とした謎や、いろんな勢いをもって第三部へ。続きがとても楽しみです。

[読子さんの感想 · 2012年11月4日]

第I部に続いて一気読み。徹夜で1400頁以上読んだので流石に憔悴したが、とても途中でやめられなかった。
学校、警察、マスコミによって歪められ隠される真実を自分達の力で解き明かそうとする生徒達。他校から来た弁護人の目的は？告発文の作者は本当に事件を目撃したのか？松子の事故は偶然だったのか？一眠りして第III部へ！

[garboさんの感想 · 2012年11月3日]

第Ⅱ部は、学校内裁判が開廷するまでの準備期間を描く探偵パート。第Ⅰ部でもかなりの展開を見せたのに、それが序章に思えるほど、全体に掘り下げた厚みのある内容となっている。

ぐらぐらしていた裁判の行方が、日を追うごとにしっかりとバランスを保ち、さらに多くの関係者を巻き込んで行く様子は圧巻の面白さ。一連の騒動を受けて、生徒たちが違った意味で成長していく印象が強い。悪意から始まった行動も、結局はみな自分の思いを聞いてほしいのだ。それぞれの言い分、それぞれの考えに突き動かされ、事件はますます複雑さを見せていくが、真実を知りたいという覚悟を決めた生徒たちが読んでて眩しい限りである。

これだけのボリュームを飽きさせず、しかも無駄なエピソードも挟まず、一気に読ませる手腕はさすがの一言。“真実の追究”というテーマのもと、皆の想いが結実していく裁判が今から楽しみなところ。中学時代のクラスメートよりも、彼らに親近感を覚えるのはナゼ？(笑

[シェラさんの感想 · 2012年11月1日]

中学生達が、判事、検事、弁護人、陪審員に廷吏まで努めます。
学校内裁判の開廷までにそれぞれが真実を見つけるために走り回ります。

弁護人になりたかった涼子は、不本意ながら検事になりますがその覚悟はたいしたものです。
他校から弁護人に名乗りを上げた神原和彦。
有名付属中学に通う、かなりの秀才です。
しかし、どこか謎もあり……。

みんな、中学生とは思えない賢さと覚悟の強さです。
高校生ではなく、中学生を設定したのは、１４歳ならではの真っ直ぐさがあったからなのかもしれませんね。

さて、どんな判決を下すのでしょう……。
益々楽しみになってきました。

[ちびまさんの感想 · 2012年10月31日]

三部作の第Ⅱ部。前作に引き続き７００ページの大作。
中学生、まだ子供の話だが、同級生の死の真相を突き止めるべく学校内裁判をする。

出てくる人物たちが皆魅力的だ。お互いを理解していく様子もいい。これを、今現在の中学生高校生に読ませたいと思った。

読み終わるのが惜しいと思いながらよみすすめていた。この文章をずっと読み続けていたいと思った。
第Ⅲ部はもう発売しているが、図書館で借りられるのはもう少し先だ。発売の２か月も前から予約を入れてあるというのに・・・早く、第Ⅲ部が読みたい。

[Persimmonさんの感想 · 2012年10月31日]

真実を突き止めるための裁判に向けての準備が始まる。
弁護人・神原和彦が感じる責任とは、三宅樹里の真実とは、など隠された真実が何なのか、早く知りたくてたまらない。
第三部ではいよいよ裁判が始まる。どのような真実が描かれるのか楽しみである。

中学生が行ってると考えると、ちょっと出来すぎ感が否めなくはないが、これが高校生だと随分と雰囲気が変わってしまうんだろうな。

[未来さんの感想 · 2012年10月30日]

３部作の２作目。
もちろん本作も７００ページを超える厚さ。
それにも関わらず、どんどん読めて、中だるみ感が無いところが素晴らしい。

１作目で起きた中学生の死亡。
事故か自殺か、それとも。
残された者たちは、自分達で裁判を開き真実を探る決断をする。

それぞれの苦しみの中、中学生たちがどう現実と向き合うのか、
３作目が楽しみである。

[ao-nekoさんの感想 · 2012年10月14日]

緊迫感がどんどん高まってくる第二部。ますます目が離せません。
これは現実にもあることだけれど。学校や教師のやり口が腹立たしいです。それでもそれに逆らって立ち上がるだなんて、なかなかできることじゃありません。中学生たちがとにかくかっこいい！
そして。読者もすっかり先入観と偏見に捉われていたであろう大出俊次の姿。なんだか読み進むうちに、だんだん可愛げが出てきました。なんだかんだ言っても、まだまだ子供なんだよね。
謎も深まります。もしかしたらとんでもないところから思いもよらない真実が飛び出すのでは、という気も。さあ次はいよいよ最終巻！

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。