オタクはすでに死んでいる (新潮新書 258)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102585

感想・レビュー・書評

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  • ひさしぶりの新書で、
    オタク文化を例にとって

    世の中のプロダクツにおける衰退の流れを書いている。

    読んで4日がたった今としては何も覚えていない。
    ただ、断片的にこういったニュアンスが印象に残っていて、

    自分たちの業界についても、他人の業界についても
    様々当てはまる箇所があるのだなと、

    どの業界も同じく、あらたに先を目指さなければ陳腐化し、
    それを礎に次の世代に移っていく。ただ、その先の世代は
    礎になる根幹をしらないためにのびることが難しい。
    その分、斬新なものを作ることができるんだと。
    そして自分たちもまた陳腐化していく。


    そうやって時代がかわっていくんだと
    書いている。

    著書はおそらく、
    オタクを例にとった 世代交代の話だと認識することができる。

  • かつてオタクが持っていた共通理念と文化は死んでしまったという話。
    印象的なのはオタクを三つの世代に分類し、それぞれの違いを述べている点。第一世代がオタク貴族主義。第二世代がオタクエリート主義。第三世代が自分の気持ち至上主義。
    オタク貴族主義は他者から理解されなくてもいいというスタンスで自分が信じる対象について求道的に極めようとする努力をする。他者から批判されることも気にしない精神力の強さを持っている。そしてオタク文化がわからない人にもやさしく布教しようとする高貴な世代。
    オタクエリート主義はオタク文化を理解しない人を多少卑下する姿勢がある。オタク文化を理解できるのは自分たちがすごいエリートだからだと思っている。そして理解できない相手が悪いと決めつける。だからアカデミズムに対しては好意的。批評家などがオタクについて述べているとうれしい。オタクの社会的地位を構築することに熱心な世代。
    自分の気持ち至上主義は「今」の自分の気持ちを最優先させる。他の世代に必須とされてきたオタクの教養は必要ない。すべては自分が萌えられるかどうかが問題。我慢や協調性が不要なため共同体の拘束を解く。かわりにオタクの共通理念が崩壊する。

    現在のオタクは「自分の気持ち至上主義」が多くを占めるために個人でオタク作品を楽しむようになった。そこにはかつてのようなオタク同士の共通理念や強い絆はない。これはオタクに限らず現代の日本全体にも言える。
    オタク文化を簡単に楽しめてしまう環境がオタク文化を死なせた。

    この本と合わせて『オタク学入門』も読むといいかも。

  • オタクと呼ばれて嫌がる人には二通りのパターンがある。
    一つは、あんな根暗で引きこもりな奴らと一緒にされるのが嫌だ、というパターン。
    もう一つは、彼らみたいな情熱と行動力は自分にはないため畏れ多い、というパターンだ。
    前者のような忌み嫌われるイメージは、今ではかなり薄らいできたが、それとともに後者のような時代を動かすような人材もいなくなってしまった。

    本書のタイトルでは、後者のオタクがもう消えてしまったことを指摘している。
    本来オタク活動には自分に興味がなくても半ば義務感で得なくてはならない知識があった。世間から迫害されていることを自覚しつつも、自分の意志を持ち続けて活動をせねばならない強靭な精神力が必要とされた。それがいつしか、自分に興味があるものだけを選択し、供給されるコンテンツを消費するだけの存在となってしまった。

    今でも少数ながらオタクは存在している。ただの一般人が、著名なアニメ監督にインタビューを頼む例や、漫画家に同人誌の表紙を書いてもらう例などがある。でも、アニメに興味があっても監督にアプローチする人なんて1万人に1人もいないだろし、こういう人は減る一方だろう。
    今後も良質な作品は出続け、海外からの評価は高まっていくと思う。これはパラダイムの変化が起こっただけで、それについていけないオタクはただの懐古主義者だ。

  •  今までにあったオタクの共通文化がなくなったという意味で著者はオタクは死んだという表現を用いている。著者がいうオタク第3世代は僕らの世代であるが、確かに僕らの興味の中心は「わたし」にあると感じる。共通意識を持つお宅統一民族をいう幻想は滅んでしまったが、オタクの定義も日々アップデートしていくべきであるし、文化とはそういうものなのではないかとも思ったりする。

  • [ 内容 ]
    脂肪の次は思考を整理。
    一億総コドモ社会はなぜ生まれたのか。
    テレビの企画で、いまどきのオタクたちに対面した著者が覚えた奇妙な違和感。
    そこから導き出された結論は「オタクはすでに死んでいる」だった。
    小さな違和感から始まった思索の旅はやがて社会全体の病にまで辿り着く。
    日本人はなぜ皆、コドモになってしまったのか。
    自由自在に飛び跳ねる思考の離れ業のダイナミズムを堪能出来る一冊。

    [ 目次 ]
    第1章 「オタク」がわからなくなってきた
    第2章 「萌え」はそんなに重要か
    第3章 オタクとは何者だったのか
    第4章 おたくとオタクの変遷
    第5章 萌えの起源
    第6章 SFは死んだ
    第7章 貴族主義とエリート主義
    第8章 オタクの死、そして転生

    [ POP ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 古本屋でなんとなく手に取ったら面白かった。昔のオタクと今のオタクは別物だ、と時代によるオタクの特徴と定義を大真面目に解説した本。
    読み終わるとちょっと切なくなる。そんな一冊。

  • まぁ、オタクの定義が変わってきたのは明らかだよね。
    意外と真面目な文化論に繋がっていくけど切り口が入りやすい話題だから読みやすい部類でした。

  • オタクだけが死んだのではなく、それを含む「高度消費社会」、「勤勉な国民性」の時代ー昭和後期が死んだという感覚はなんとなく分かる気がする。著者によれば、オタク第一世代は蔑まされても、ポリシーを持って行動していたが、今の世代は...、という良くある世代間の違いを嘆く大人のようであった。昭和の遺物としては加藤勝のようなヤンキーやツッパリというポリシーてんこ盛りの人たちが逆境にもめげず、反抗していた時代だったような気がする。
    昭和後期ってそんな熱い世代の人たちの時代だったんだと改めて認識できました。

    目次
    第1章 「オタク」がわからなくなってきた
    第2章 「萌え」はそんなに重要か
    第3章 オタクとは何者だったのか
    第4章 おたくとオタクの変遷
    第5章 萌えの起源
    第6章 SFは死んだ
    第7章 貴族主義とエリート主義
    第8章 オタクの死、そして転生

  • うんうんなるほどねーって言いながら読んだ

  • オタク同士の世代間のギャップ。SFオタクの世代間の話は自分より昔に既に断絶が始まっていたんだと知る。(僕はサイバーパンク世代) 自分の世代ではオタクっていう連帯意識ははじめからなかったです。

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著者プロフィール

1958年大阪府生まれ。通称、オタキング。1984年にアニメ制作会社ガイナックス創業、社長をつとめた後、東京大学非常勤講師に就任、作家・評論家活動をはじめる。立教大学やマサチューセッツ工科大学講師、大阪芸術大学客員教授などを歴任。レコーディング・ダイエットを提唱した『いつまでもデブと思うなよ』(新潮新書)が50万部を超えるベストセラーに。その他、多岐にわたる著作の累計売り上げは250万部を超える。現在はYouTuberとして活動し、チャンネル登録者数は90万人を超える。

「2023年 『誰も知らないジブリアニメの世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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