あんじゅう: 三島屋変調百物語事続

著者 :
  • 中央公論新社
4.12
  • (392)
  • (555)
  • (204)
  • (19)
  • (3)
本棚登録 : 2823
感想 : 461
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (563ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041372

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「おそろし」の続編。
    続編を読むといつも、登場する人たちにまた会えたことが嬉しくなる。

    奇っ怪で面妖な話なのだけど、いつでもどこでも人の想いが繋がっている。

    中でも、「あんじゅう」はとてもやさしい。
    想いのカタマリで、それは恨み辛みで表現されずにとても優しいものになっている。

    また三島屋の人たちに会いたくなりそうです。

  • 宮部みゆきの時代物は安定感がある。

  • 時代物の怪談話である。ゾクゾクと身がよだつものもあれば、ほんわかしたものもあり、江戸の暮らしから見えてくる人とお化けの関わり、生活の営みは現代においても変わらずに伝わるものがあると感じられる。村のしきたりに対する村民の思い、しがらみに抗い恨みが募り、怖いものへと変化していくのは悍ましい。あんじゅうの話は切なさが残る、何とも言えない余韻が残る。お化けが怖くて身が震える程の物から、ペットのようにだんだんと愛おしい存在へなっていくのは冷たい中にもほんのりと暖かさが伝わるようだった。

  • おちかの煩悶が前作で少しケリがついたせいか
    今作は、切迫感とか閉塞感がない感じになりましたね
    割り切れないおどろおどろしさを期待しすぎたせいか
    ちょっと拍子抜け

    とくに『あんじゅう』は希望、未来の回でした
    くろすけ、かわいい

  • シリーズ2作目。
    前作はかなしおそろしだったが、今作は南伸坊氏の愛らしい挿絵も手伝って、何だかほんわか。
    くろすけかわいい。

  •  江戸時代の神田を舞台にした変わり百物語・三島屋シリーズの第二作目。四編を収録。
     つらい過去があって叔父夫婦の三島屋で女中として働くことになったおちかが、人々が持ち込む不思議な怪奇話の聞き手となって、自らも怪奇な体験をすることで、少しずつ内面の傷を癒していく。

    ”人は、心という器に様々な話を隠し持っている。その器から溢れ出てくる言葉に触れることで、おちかはこれまで見たことのないものを、普通に暮らしていたなら、生涯見ることがないであろうものを見せてもらってきた。
     そこに惹かれている。(P.142)”

     宮部みゆきの怪談話の特徴として、怪異を心の闇が見せる錯覚や思い違いとしてやり過ごすのではなく、はっきりと怪物や妖怪などの形となって人の前に姿を現すことだ。本作でも、『逃げ水』のお旱さん、『藪から千本』の幽霊、『あんじゅう』のくろすけ、『吼える仏』の木仏が生々しく登場し、時には残酷に、時には温かな余韻を残していく。安定して読めるシリーズ。

     第一作『おそろし』を読んだのが8年も前ということがわかり驚いた。宮部みゆきの江戸怪奇小説はもっと読んでいたはずと思っていたら、三島屋シリーズではないが名作揃いの『ばんば憑き』の方だった。
     ほとんどのページに南伸坊氏の可愛らしいイラストがあしらってあり、電車の中で読むには少し気恥ずかしかった。

  • おそろしの続編。
    水を飲み干してしまう「お旱さま」。
    表向きは仲の良い大店の兄弟夫婦。その奥の心の闇から産まれた妖。藪から千本。
    人間の疚しい心が産み出した幽霊によって空き家なった屋敷の「くろすけ」暗獣
    山里のしきたりによって産まれた憎悪。果たして御仏は存在するのか?吠える仏。以上四話

  • 宮部みゆきの時代小説。
    これは面白かったです。
    『おそろし』、読んだかどうか忘れたけど、これだけでも十分読めます。

    そして、これはあったかい系のいい話でした。
    百物語、とついてる通り怪奇現象を語る部分もあるのですが、そうそう怖いわけでもなく・・・結構のんびりした感じです。

    表題『あんじゅう』は泣けました。
    クロスケがかわいい。

    宮部みゆきはこういうのが上手だなぁと思います。

    何ていうか、現代ものを書こうとしてもやっぱりずれちゃう。
    レベル7や理由、火車のようにいかない。
    逆に時代物は安定してるなーと思います。

  • 三島屋は、辛い過去を持つ姪おちかのために、百物語の聞き集めを始めた。聞き手はおちか。〈逃げ水〉染松は、水をたくさん飲むお旱さんに憑かれてしまった。〈藪から千本〉亡くなった双子の片割れにそっくりな人形。生きている双子と同じように扱わないと、人形に針が立つ。ホラー。〈暗獣〉人を恋しく思う気持ちから生まれた屋敷の妖、くろすけ。それゆえ人と共に暮らすことはできない。この話が1番好き。切なかった。〈吼える仏〉偽坊主の行然坊が語る、とある里の出来事。木仏さま。 この後おちかがどうなったかなど、続きが気になる。

  • 連作短編4編
    単なるホラー話ではなく,人間の心の奥に潜む欲望,哀しさや優しさ,愛などに心動かされます.おちかの周りにも,一人また一人と大切な人が増えていくのが嬉しいです.

全461件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

宮部みゆきの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
冲方 丁
伊坂 幸太郎
有川 浩
京極 夏彦
京極 夏彦
宮部 みゆき
宮部 みゆき
宮部みゆき
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×