- Amazon.co.jp ・本 (563ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120041372
感想・レビュー・書評
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「おそろし」の続編。
続編を読むといつも、登場する人たちにまた会えたことが嬉しくなる。
奇っ怪で面妖な話なのだけど、いつでもどこでも人の想いが繋がっている。
中でも、「あんじゅう」はとてもやさしい。
想いのカタマリで、それは恨み辛みで表現されずにとても優しいものになっている。
また三島屋の人たちに会いたくなりそうです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宮部みゆきの時代物は安定感がある。
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時代物の怪談話である。ゾクゾクと身がよだつものもあれば、ほんわかしたものもあり、江戸の暮らしから見えてくる人とお化けの関わり、生活の営みは現代においても変わらずに伝わるものがあると感じられる。村のしきたりに対する村民の思い、しがらみに抗い恨みが募り、怖いものへと変化していくのは悍ましい。あんじゅうの話は切なさが残る、何とも言えない余韻が残る。お化けが怖くて身が震える程の物から、ペットのようにだんだんと愛おしい存在へなっていくのは冷たい中にもほんのりと暖かさが伝わるようだった。
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おちかの煩悶が前作で少しケリがついたせいか
今作は、切迫感とか閉塞感がない感じになりましたね
割り切れないおどろおどろしさを期待しすぎたせいか
ちょっと拍子抜け
とくに『あんじゅう』は希望、未来の回でした
くろすけ、かわいい -
シリーズ2作目。
前作はかなしおそろしだったが、今作は南伸坊氏の愛らしい挿絵も手伝って、何だかほんわか。
くろすけかわいい。 -
江戸時代の神田を舞台にした変わり百物語・三島屋シリーズの第二作目。四編を収録。
つらい過去があって叔父夫婦の三島屋で女中として働くことになったおちかが、人々が持ち込む不思議な怪奇話の聞き手となって、自らも怪奇な体験をすることで、少しずつ内面の傷を癒していく。
”人は、心という器に様々な話を隠し持っている。その器から溢れ出てくる言葉に触れることで、おちかはこれまで見たことのないものを、普通に暮らしていたなら、生涯見ることがないであろうものを見せてもらってきた。
そこに惹かれている。(P.142)”
宮部みゆきの怪談話の特徴として、怪異を心の闇が見せる錯覚や思い違いとしてやり過ごすのではなく、はっきりと怪物や妖怪などの形となって人の前に姿を現すことだ。本作でも、『逃げ水』のお旱さん、『藪から千本』の幽霊、『あんじゅう』のくろすけ、『吼える仏』の木仏が生々しく登場し、時には残酷に、時には温かな余韻を残していく。安定して読めるシリーズ。
第一作『おそろし』を読んだのが8年も前ということがわかり驚いた。宮部みゆきの江戸怪奇小説はもっと読んでいたはずと思っていたら、三島屋シリーズではないが名作揃いの『ばんば憑き』の方だった。
ほとんどのページに南伸坊氏の可愛らしいイラストがあしらってあり、電車の中で読むには少し気恥ずかしかった。 -
おそろしの続編。
水を飲み干してしまう「お旱さま」。
表向きは仲の良い大店の兄弟夫婦。その奥の心の闇から産まれた妖。藪から千本。
人間の疚しい心が産み出した幽霊によって空き家なった屋敷の「くろすけ」暗獣
山里のしきたりによって産まれた憎悪。果たして御仏は存在するのか?吠える仏。以上四話 -
連作短編4編
単なるホラー話ではなく,人間の心の奥に潜む欲望,哀しさや優しさ,愛などに心動かされます.おちかの周りにも,一人また一人と大切な人が増えていくのが嬉しいです.