さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 7-2)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150704520

感想・レビュー・書評

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  • ウィスキーが飲みたくなる、かっこいい言い回しが使いたくなるという副作用がある。読みすぎ注意。

  • 時間がかかったけど何とか読めた。粗くざらついた文体にユーモアのある比喩がキラキラ散りばめられている。日本文学では得られない独特な雰囲気がありアメリカの風を感じたような読書体験だった。朴訥としていて哀れな大鹿マロイが気に入った。

  • 男と生まれたからには、誰でも一生の内一度は夢見る「ハードボイルドな男」。
    この推理小説に出てくるフィリップ・マーロウとは、ハードボイルドを語る上で切っても切れない私立探偵のことである!

    請求記号 B993/124/CR(開架)

  • 人物表現の多彩さにくらくらした。
    正直、ミステリーはあまり好きではなく、今回も「どうなるのか?」てきな興味はなかったけれど、会話や比喩のお洒落さに惹かれてページをめくった。
    村上春樹が影響を受けるのもよーくわかる。というか、ほぼ真似? と思われる箇所も。でも、いいのだろうけれど。
    次は村上春樹が訳した、別の本を読んでみよう。

  • 作家の柳広司氏が「文体模写をして賞に応募した」というのを読んで。気になって本棚から発掘。
    奥付を見ると1989年の刷りだから23歳の時以来の再読である。
    全然内容を覚えてないのは、途中で飽きたのかもしれない。推理小説のつもりで読んだのかもしれないからだろうが(今回もその腹積もりで手に取った)、これは雰囲気小説なんだな。
    著名な作家の割には長編が少ない、というところは気に入った。翻訳としては「頸飾り、ピストル、接吻、コッピー、三百代言、水ピストル、ハンケチ、郵便行嚢、パップコーン、スリッパー、スカッチウイスキー」など、いささか気になったものの、それらの語がかえって古さを醸し出していいのかもしれない。

  • こんな有名な小説を、勘違いしていました。私。
    ハードボイルドと言えばチャンドラー。
    なのに。

    フィリップ・マーロウ。
    「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」という台詞で有名です。
    確かにある意味タフですし、優しいとも言えますが、想像とは全然違うキャラクターでした。

    一人称で書かれている地の文の人称名詞が「私」なんですよ。
    ハードボイルドなのに!
    そして会話の中では自分のことを「ぼく」と言っています。
    ハードボイルドなのに!

    木枯らし紋次郎のようなクールガイだとばっかり思っていたハードボイルドな探偵は、至極真っ当な私立探偵。
    目の前で起きた殺人事件。一応警察に協力はするけれど、自分の仕事が入れば当然そちらが優先。
    しかし依頼人が自分の不手際から殺されて、自身も命が危険にさらされるけれど、あきらめずに真相を追い続ける姿はまさにハードボイルド。

    見えない敵はどんどん巨大化していき、真相の片鱗が見えてくるのは本当に最後の最後。
    死ぬかもしれない目に何度も遭いながら、止めてくれる人だっているのに、たった100ドルを払った依頼人のために行動する主人公がだんだん格好良く思えてくるから不思議。
    「私」だろうと「ぼく」だろうと。

    「探偵小説によく出ているような酔払いの探偵になるんじゃないでしょうね」
    「なったっていいじゃないか。彼らはいつも、事件を解決しているぜ。」

    くうう。
    かっこいいじゃないか。

    大鹿マロイもヴェルマも、自分の最期を覚悟して行動していたような気がするの。
    気持ちの純粋さがせつない。

  • フィリップ・マーロウとの付き合いは今後またまた深くなるに相違ない。
    その実、「ロンググッドバイ」以前にも邂逅を果たしていた私であったがたぶんそれは渋柿信介という一少年にだいぶ昔出会ってしまっていたからだ。
    私自身のこういったタイプの人間との出会いの原点がそこにはあった。
    既存のという枠にはめられた人物像を推し量るには、やはりフィリップマーロウに立ち戻らねばなるまい。
    そういった発見を再三もたらした今回の一冊であった。

  • ハードボイルドはミステリーの一ジャンルであるわけだけど、この作品に謎解きもプロットも求めちゃいけないと思う。マーロウのかっこよさとセリフや喩えといった表現のすばらしさ、そして何より作品全体に貫かれているチャンドラーの美学を楽しむ作品。続きが気になると、次へ次へとページをめくるのてはなく、一字一句を味わってこその作品。

  • また読んでる…!

    この間読んだ「長いお別れ」ですっかりマーロウ君に心酔中。

    今回は村上春樹訳が出たとき飛びついて買って、
    読んでなぜか挫折していた、この本。

    どのあたりで挫折したかと言うと、
    大鹿マロイと、マーロウ君が出会い、
    「フロリアン」で一杯交わすところ、くらいで!
    (「初っ端も初っ端ではないか!!」と笑ってくださいな)

    今となってはなぜ、この素晴らしい小説を
    途中で投げ出したのか、不明。

    出所した大鹿マロイが、別れた女を探して
    訪ねてきた現場に偶然居合わせたマーロウ君。

    しかしそこで大鹿マロイはまた事件を起こしてしまう。

    その後、ある依頼を受けたマーロウ君は、
    重大な失態をしてしまうが…。

    またまた、今回も現れました、吃驚するくらいの美女が…!

    風に草がなびくように
    素敵な女たちが当たり前にマーロウ君にメロメロになる感じが
    非常に心地良いです。

    一匹狼で、権力に阿ることなく、
    金持ちにもへつらわず、常に自分にとっての真実を求める
    この男の姿に、魅力を感じない人はいないでしょうねえ。
    あ~あ、なんともかっこいい!

    今回は命の危険を冒すほどの大冒険もありました。

    大鹿マロイの純情、あの女のある愛の形、
    人間臭い警察官や、憎めないあの男などなど…

    ある事件と事件が、徐々に繋がっていくところ、
    本当に引き込まれて、あっという間に読んだ。

    またへんてこな面白いたとえが沢山出てきて、
    村上春樹はチャンドラーに大いに影響を受けてるでないの!
    と証拠を掴んだようで嬉しかった。

    そして「あ、この部分、村上春樹はどうやって訳したのかな?」と
    読後ちらりと読み比べたりして、
    ちがう楽しみもありました。

    チャンドラーが病床の奥さんを看護しながら
    小説を書いていたというのは知っていたが、
    その奥さんはなかなかの美人の、18歳年上の人(!)で、
    奥さんが亡くなって、
    がっくりきたチャンドラーは
    アルコール依存症になってしまった、とあった。

    ここに今一人、形を変えたマーロウ君、と言う感じで、
    ますますチャンドラーが好きになってしまった!

  • 面白かった。
    マーロウ格好いいな〜

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著者プロフィール

Raymond Chandler
1888年シカゴ生まれの小説家・脚本家。
12歳で英国に渡り帰化。24歳で米国に戻る。作品は多彩なスラングが特徴の一つであるが、彼自身はアメリカン・イングリッシュを外国語のように学んだ、スラングなどを作品に使う場合慎重に吟味なければならなかった、と語っている。なお、米国籍に戻ったのは本作『ザ・ロング・グッドバイ』を発表した後のこと。
1933年にパルプ・マガジン『ブラック・マスク』に「脅迫者は撃たない」を寄稿して作家デビュー。1939年には長編『大いなる眠り』を発表し、私立探偵フィリップ・マーロウを生み出す。翌年には『さらば愛しき女よ』、1942年に『高い窓』、1943年に『湖中の女』、1949年に『かわいい女』、そして、1953年に『ザ・ロング・グッドバイ』を発表する。1958 年刊行の『プレイバック』を含め、長編は全て日本で翻訳されている。1959年、死去。

「2024年 『プレイバック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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