忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)

著者 : カズオ・イシグロ Kazuo Ishiguro 土屋政雄

• 早川書房 (2017年10月14日発売)

感想・レビュー・書評

[弓削さんの感想 · 2022年10月18日]

微妙にネタバレかもしれないが、漫画「進撃の巨人」と全く同じテーマを扱っていたことにまず驚いた(ほぼ同時期の作品なので、剽窃とかそういうのではないと思う)。

進撃の巨人との共通項はいくつかあるが、今作において一番重要なテーマは過去作同様やはり「記憶」である。個人にとって、記憶は(言うまでもなく)重要なものであり、記憶こそが個人を形成していると言える。しかし、集団にとっての記憶(歴史)の扱いというのはなかなか難しい。国の歴史は、積もり積もった恨みや、鬱積した悲しみと切っても切れない関係にある。その感情と我々個人はどう向き合うべきなのか、個人として問われている、と思った。

まーそんな難しい話は抜きにしても、フツーに小説として面白いので気軽に読んで欲しいです。最初の方はちょっと勢いが弱いけど、中盤からはあっという間に読み終えるはず。一流のファンタジーが読みたい人にオススメ。

[koaraさんの感想 · 2022年8月14日]

カズオ・イシグロの3冊目に読んだ本。彼の書く文章はとにかく深みがあるのだと、理解した上で読むと、この難解な「ファンタジー」を楽しめる。所謂「ファンタジー」の読み進めていくとワクワクしたり、どんどん世界が広がったり、という感じではない。（多少はあるけれど）
謎は散りばめられているが、イングランドの歴史や、アーサー王伝説のことを知らないとなかなか深みには到達できないのだろう。私はあまりにもモヤモヤしたので、ウィキペディア程度ではあるが、ネットで単語を調べた。
繰り返し読むことによって、感じることも違うのかもしれないので、何年か後にまた読みたい。

[ジャネン・無音時・ラルゴフスキィⅢ世さんの感想 · 2022年6月13日]

私の読解力では一回読んだだけではよくわかりません！！！

[applehead0さんの感想 · 2022年5月17日]

イシグロ氏特有の足元がスッとするような文章だった。この歩いてる時に不意にやってくる無重力感のような文章が好き。

この作品は完璧なラブストーリーで、切なくて最後は涙がこぼれた。
ラブストーリーというか、人間の根底の信頼や、ある人間と人間の絆のアイデンティティのおはなし。
それを愛って言うよね。

あの老夫婦のことを祈らずにはいられない。
pmsの時に読むと涙が止まらない…

それと並行してもっと大きな人類としての絆やアイデンティティのおはなしも絡み合い、プラス鬼や妖精や龍も重要な役割を果たすので、おもしろくてやめられない。
久しぶりの寝不足になる本だった。

[natsumi0525093さんの感想 · 2022年1月17日]

ファンタジーの世界観に入るのに時間がかかってしまった。物語の進行が遅くページを繰る手も進まない。

[shinnosukeさんの感想 · 2022年1月16日]

忘れられた巨人

[とだむしさんの感想 · 2021年12月2日]

冒頭100ページくらいの物語の始まり方がすごく好き

少し前の記憶を忘れてしまう人々。
そのことに気付いた老夫婦が、かつて村を出た息子のことを思い出し旅に出る物語。

忘れた記憶を取り戻したいけれど、思い出してしまったら今の愛し合っている2人の関係も、平和な世界も変わってしまうかもしれない。

地に足ついたファンタジー。

[あつやきたまご。さんの感想 · 2021年9月16日]

カズオ・イシグロさんの作品は初めて読んだのですが、想像以上に読みやすくて驚きました。
息子に会いにいく旅に出る老夫婦の物語なのですが、2人の愛の深さをやりとりの端々から感じることができ、とても暖かい気持ちになりました。
2人の旅がどのように終了するのかが気になって、時間を忘れて夢中に読み進めてしまいました。

[みちさんの感想 · 2021年9月10日]

オーディブルにて聴き終えました。
世界観に入り込むまでつらかった。文字で読んでたら挫折してたかも。
最後の結末がなーーー、読者を裏切ってきますね。

[女子栄養大学短期大学部・香川調理製菓専門学校 図書館さんの感想 · 2021年9月7日]

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著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む（日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない）。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス！」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。