催眠〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (463ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151788512

感想・レビュー・書評

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  • そこそこ凝ってはいるのだが…いかんせん、主人公(と言っていいのかわからんが、捜査官以上に結構な割合で出張っている外部協力者の精神科医)が、まるで共感できないクズっぷり。
    北国の陰鬱な冬空の下、ビタイチ共感できない「主人公」が、めったやたらな流血と必然性の薄いエロ(しかも不倫)と他害癖ある異常者てんこ盛りの中、むやみとややこしい謎に分厚い上下2巻たっぷり右往左往させられる…力作ではあるが、読んでいて楽しいかとかひと様に薦められるかと問われたら、うーんと口ごもらざるをえない。
    作者の正体は著名な純文学作家だそうで、確かに地力は感じる。感じるんだが…なんつーか、すべてが過剰なんだよなー。事件は実質2つ起こるがそこまでの関連性はなく、1つでも「お腹いっぱい」級のが無造作に2つ詰め込まれた感じ。グロも、やたら長い過去パートも、「主人公」一家の境遇や内面描写も、とにかく特盛り。もうちょっと整理してくれていたら、すごい傑作だと感じたかもしれない。
    次作から見違えるように面白くなるらしいので、それを頼りに読むかも。

    2021/12/14〜12/15読了

  • スウェーデン発の<ヨーナ・リンナ刑事>シリーズ第一作目。テンポが良くて読み易い作品ではあるが、凄惨な事件の割に書き込みが不十分で立体感も緊張感も全く感じられない。登場人物達の無駄なすれ違い、噛み合わない会話、ザル過ぎる警察組織など残念なポイントが盛り沢山な上に『ナイフの刺し傷が数百ヵ所』や『銃弾三十六発を一気に撃ち込まれ即死』といった誇張表現も目に付く。事件の全容は未だ見えてこないが、全く気乗りしないまま下巻へ。事前情報を殆ど仕入れなかったので、ヨーナが男性名とは思わなんだ。てっきり女性警察官だとばかり。

  • スウェ-デン国家警察の警部(ヨーナ・リンナ)が、ストックホルム郊外での一家惨殺事件の捜査をするに当たって、精神科医(エリック・マリア・バルク)は、催眠療法によって犯人逮捕に協力することになりますが、一命を取り留めた15歳の少年(ヨセフ・エーク)が引き起こす度肝を抜くスト-リ-展開に目が釘付けになること必至です。<イングリッド・バ-グマンの墓石>や<ポケモン・キャラクター>が登場する軽妙な語り口ながら、悪夢の連鎖に引きずり込まれる北欧の絶叫ミステリ-小説です。

  • 「催眠」(ラーシュ・ケプレル : ヘレンハルメ美穂 訳)を読んだ。
    これはさぁ、あまりにも多くの血が流れすぎるんだよね。
    スウェーデンのミステリーってけっこう過激。
    でもまあ確かに読み応えはある。
    ヘレンハルメ美穂 さんはスティーグ・ラーソンの「ミレニアム三部作」も翻訳してるね。

  • なんだか、よくわからない物語 

    ただ、舞台は北欧ストックホルム
    先日読んだ[傷だらけのカミーユ/ピエール・ルメートル]ー舞台はパリーでも感じたのだが、

    事件は荒っぽいし、性描写も好みじゃない

  • 実は2009年にスウェーデンで書かれ、2010年7月に邦訳出版された時期外れの作品。覆面作家としてデビューしたらしいが邦訳時には既に、他ジャンル(イングマル・ベルイマン監督や天文学者モデルにした小説とか)で売り出していたアレクサンデル・アンドリル、アレクサンドラ・コエーリョ・アンドリル夫妻であることが明らかにされている。思うに、こうした娯楽小説の方が売れるのだろうな。現に本家作品は本作と違って邦訳もされていないわけだし、この時期は『ミレニアム』やら、ヘニング・マンケルのヴァランダー警部シリーズなどを筆頭に北欧ミステリがいよいよ世界に台頭を始めている変革期なのである。

    版元にしても、やれ『ミレニアム』に続けとばかり、しかもサイコサスペンスでもあり、国内では松岡圭祐が少し古いが『催眠』(1997年)が2008年ドラマ化までされている等々、この手のジャンルはまだまだ追い風環境にあったのだろう。

    導入は、入りやすくて悪くないし、キャラもよく立っており‥なのだが、最近のリアル主義小説作法に較べると、本作はサービス精神が先行して目立ち過ぎ、の感が強い。構成力は悪くないにしても、サイコなら何でもあり、とばかりに死体や事件やアクション数をばら撒き過ぎると、流石に格が落ちる感は否めなくなる。肝心の催眠シーンも、詰めが甘いように思う。

    真面目小説でひたすら勝負していた地味な作家夫妻が、好きなミステリのジャンルで気負い過ぎた印象だ。但し、謎めいた一匹狼刑事ヨーナ・リンナは、もっと追いかけてやりたい気がする。サブキャラの医師一家も使い捨てにするには惜しい、それぞれななかなかのキャラなのである。

    ヨーナ・リンナ刑事は当初より8作完結のシリーズで設計され、現にスウェーデンでは、最後まで書き継がれている様子だが、邦訳はこの後『契約』『交霊』の三作でストップしている。版元が8作までやり切るなら読者としてもつきあう気になるのだが、途中で投げ出されているのではどうにもならない。残念!

  • 催眠を医学的に正しく扱える人間は世界に何人もいない。数少ないその知識と技術を持っている医師のエリックは、二度と催眠をしないと心に決めていた。しかし、一家惨殺事件の生き残りの少年に事情聴取をせざるを得ない状況であると知り、止むを得ず誓いを破ることになる。少年が語った事件のあらましは驚くべきものだった。

    まあタイトルが催眠なんで、かけるんだよねとは思うわけですが、怖い。怖すぎ。ヨゼフやばい。しかしながらまだ姉がやばい恐れもあるので、サイコさんは誰なのー怖いー、というハラハラ感でどんどん進んで行きます。否応なく巻き込まれていくエリック一家、アイーダとその弟、ベンジャミンの行方とヨゼフは関係あるのか?そして、エリックが催眠をやめると決めたきっかけは何だったのか。催眠のVTRと、それがブチッと切れる様子とか、想像しただけでゾクッとしますよ。。

    関係ないけど、急にポケモン出てきてびっくりしたわ。ホエルコ好きです!(ほんと関係ない)

    下巻に続く。

  • 医学分野の用語だと、催眠術ではなく、催眠なのかな。
    「ぼくの言ったとおりだったでしょう」を連発するヨーナ、ちょっとうざい。

  • 匿名作家で、翻訳権争いで大変だったという裏を見て読んでみた。

    私には後味悪すぎる。読んではみたものの・・・

    上巻では、エリックが催眠をやめた理由が書かれないので、表面的な理解しかできない。こいつ精神科医のくせに、安定薬飲みすぎ。なんでお前警護拒むだよ。つけろよ。警護。家族全員につけろ。

    奥さんのシモーヌも理解できない。10年前の浮気をねちねちと。そんなに克服できないなら、10年前に別れれば良かったのに。そしてあっさりと自分も浮気。ありえない。

    息子のベンヤミンも心に思うところがあるようで、(これも下巻でわかる)、大分反抗期している。ぞっこんのガールフレンドは両親には好かれていないし。

    あとがきにもあったけどヨーナだけが光です。

  • おもろい。頁を繰る手が止まらず、というのは久方ぶり。文章は読みやすく展開も滞りなくだけれど如何せん人名で引っ掛かり。それはさておき殺人事件と誘拐事件がどのように交差していくのか、色々期待を膨らませて下巻へ。

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著者プロフィール

ラーシュ・ケプレル
アレクサンドラ・コエーリョ・アンドリルとアレクサンデル・アンドリルの作家夫婦が共作するときのペンネーム。国際的なベストセラーとなったヨーナ・リンナシリーズは、40以上の言語に翻訳され、1500万部以上も売れている。アンドリル夫妻は、ラーシュ・ケプレルのペンネームで執筆する以前も、それぞれが単独で書いた作品が出版され高い評価を受けている。3人の娘とスウェーデンのストックホルムに在住。

〈扶桑社ミステリーのラーシュ・ケプレル作品〉
『砂男』上下
『つけ狙う者』上下
『ウサギ狩り人』上下
『墓から蘇った男』上下

「2023年 『鏡の男 (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ラーシュ・ケプレルの作品

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