容疑者Xの献身

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163238609

感想・レビュー・書評

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  • 東野圭吾さんの作品を初めて読みました。
    ドラマ・映画も全く見たことがありませんが、
    湯川先生のことは論理的でインスタントコーヒーで「実に面白い」というのは知ってました。

    ***

    石神は、もともと死のうと思っていたのだから死刑になっても構わなかった。
    石神は、刑務所に入ることになっても数学に取り組めればどこでも幸福なのだからそれで構わなかった。

    一方、どこまでも論理的なあの湯川が、友人としてすべて話した。

    それが余計なことだったか?と言われれば、石神にとってはそうかも。
    でもこれは、美女と野獣で出てきたのと同じ「愛」だ。
    それを受け取った靖子は、ある意味ではなんて幸せなことなんだろう?
    読み終わった後、表紙の赤い薔薇をしばらく眺めてしみじみした。

    とりあえず、トリックが明らかになったところまで読んだら「まじか」と大衝撃だった。

  • ラスト

    靖子の心が変化した部分は何度読んでも泣きそうです。

    天才は3人で、石神、湯川、東野圭吾です

  • 最初が間違っているのだもの、正解にたどり着けなくて当然ですよ。
    本当の意味で守ること、本当の意味で幸せになることとはどういうことなのか。
    それがわからなくなるのは、人間だから。
    天才だろうと何だろうと、人間だから。
    人間だから間違うのだけど、それを許さない社会もまた人間か。


    図書館関係者として、この作品を読むのはとても苦しかった。
    そうか…そんなに簡単に教えるか。
    どうにもならないのね、そのイメージ。

  • こんな愛もあるのか。。。

  • ガリレオシリーズの中ではやっぱりこれ!
    好きな作品すぎて、映画の評価はちょっと辛くなってしまった。
    東野圭吾の書く登場人物の中で、石神さんが一番好きかも。

  • 初めて読む東野圭吾の作品。有名で人気の作品という事は分かっていたけれど、ちょっとだけ「もしかしたら私は面白いと思わなかったりして」という不安もあった。でも、実際読んでみて確かに面白かった。ミステリーは特別好きでは無い、という人でも案外楽しめる作品なのではと思う。 続編については好きな人と嫌いな人に分かれている様子。これくらいの長編だと読みたいけれど、短編はどうかなー、と思う。短編ミステリーだと、事件やトリックが主で、登場人物についてあまり深く組み立てられない・描かれないと思う。そういうミステリーは、個人的にあまり好きでないのだ。

    私は犯罪トリックとかについてはそんなに気にする方では無い。最後の種明かしは「ほー!」と思ったけれど、特別にそれで「素晴らしい!」と思うタイプではない。それよりも、2人のライバル、湯川と石神の描写が面白く興味深く、それがこの作品を素晴らしいものにしていたと思う。あぁ、草薙さんもなかなかいい味を出してはいた。一番つまらなかったのは、石神が愛した靖子だったと思う。

    読者レビューを読んでいると、純愛だという声が多いが、私はそうは思わない。今までに他人に対して特別な愛情を感じなかった石神が、その極端な性格ゆえ、その不器用さ故にこういう形になった。石神のとった行動は、そう容易くできるものでない。それは彼の感情が究極の純愛だったからでなく、彼の性格の極端さゆえだと思う。実際に誰かが自分のために似たような行動を取ったとしたら、『あぁ、この人はそこまで激しく私の事を愛してくれてたのね』なんて思わない。思いっきり引いちゃって、そういうとんでもない人に出会った事と関った事を後悔する。また『なんで私、見抜けなかったんだろう』と思い、自分の軽率さを責めると思うな。

    だいたい靖子の方も最後で足掻くのが正直なところ気に入らない。私だって幸せになりたい、その気持ちは分からなくは無い。でも最初に事件が起こった時点で彼女は隠蔽するという決断をしているのだ。なんだかんだ言っても、人一人の命が消えたというのに、その見返りが、代償が辛いと嘆くのは間違っているというもの。悲劇、とは思うが、純愛は感じない。

  • ガリレオシリーズで映画にもなりましたが、非常に読みやすい作品です。

    何よりもタイトルが好きです。全てを読み終えたあとにもう一度タイトルを読み返したとき、
    「献身」ってこういうことなんだ、と改めて感じられて泣きそうになりました。

    普段ミステリーを読まない方にもオススメです。

  • ガリレオシリーズ初の長編で読み応えありました。最後は泣けた。

  • 2005年度の「このミステリーがすごい!」で大賞、
    そして東野圭吾にとっては念願となる、直木賞受賞作品。
    最近はドラマ化や映画化が相次ぎ、有名作家の一員となりながらも
    賞レースには嫌われ続けた同氏が最も東野圭吾“らしい”本格ミステリーで
    実力と健在ぶりを認めさせたのが、昔からのファンとして何より嬉しい。

    この作品は「天才数学者vs天才物理学者」とか
    そればかりが取り上げられてるけれど
    実はそれはほとんど関係ない。科学では説明できない、
    純粋で、崇高な、人間の心が中心となっている。
    だから惹き込まれる。
    不遇の天才数学者である石神が、その計算できないものに全てを捧げるために全てを計算しつくし犯行を行う、という矛盾が、哀しさを増幅させる。
    最後までトリックはわからない。わからないようにできている。
    石神は捜査網だけではなく、読者をも騙すことに成功したんだと思う。

    タイトルのつけ方が本当に絶妙。
    「x」という文字の数学的な曖昧さ
    「献身」という言葉の意味……
    これしかない、というか、このタイトルに全てが集約されていると思う。
    人はここまで人を愛せるの?
    叫び出してしまいそうなほど、切ない、切ない物語。
    2005年直木賞受賞作。

  • ガリレオシリーズはトリックが難しくて具体的に理解出来ない話もあって得意ではありませんでした。
    この本は評価もいいので読んでみましたが、ラスト思った以上の展開に涙が止まりませんでした。
    読み終わった後もかなりの余韻が…
    人を愛すことの意味、愛されることの意味、生きることの希望、いろんなことを改めて考えました。
    読んでみてよかった♪

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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