容疑者Xの献身

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163238609

感想・レビュー・書評

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  • 4.5
    面白かった。
    私もまんまと騙されました。笑笑
    ドラマも昔見たような気がするんですが、
    もしかしたら、原作とドラマでは大分内容が変わってるかもしれません。

  • さて、これを「純愛ゆえの献身」と絶賛すべきか。
    以前読んだ時も、本を閉じるまでは石神の思いの深さに心を打たれていたのだが、ラストを読んで本を閉じた瞬間に浮かぶ思いは「結局、彼女の行動ですべて台無しじゃないか」という感情と、同時に「しかし、彼女の立場にたてば、とうてい受け入れられるような行為ではないよなあ」という同情。
    湯川がいう「その素晴らしい頭脳を、そんなことに使わねばならなかったのは、とても残念だ。非常に悲しい。この世に二人といない、僕の好敵手を永遠に失ったことも」というセリフにすべてが込められているような気がする。
    しかしそれでもなお、石神にとって、一連の行動は「生きている意味」を実感させてくれるものであったのだろう、とも思う。だからこそ、いっそう切ない。
    まったく、なんという救いのない物語であろうか。

    そう思って最初に戻ると、発端があまりにも身勝手で、みみっちい自己保身であることが腹立たしくさえなってくる。

    それにしても、こういう形の「愛」は、いかにも男性的だな、と思う。
    相手がどう思うか、という発想が決定的に欠落しているのだから。
    凄まじい愛の献身である、と頭では理解できるけれども、感覚としては「冗談じゃない」と思ってしまう。
    数学的発想としては完璧だったが、予想不可能な変数によって数式が崩壊した、ということかもしれない。

  • 花岡母娘は元夫を意図せず殺害してしまう。そこに天才数学者の隣人、石神が現れ母娘が逮捕されることを避けることを誓う。
    石神は生きる意味を見出せない世界に絶望し、死のうとしていたところに花岡母娘が現れた。花岡母娘こそ希望なのだと確信した石神は秘密裏に殺人を行うことで警官や花岡母娘さえも騙し、守り続けた。しかし旧友天才物理学者(ガリレオ先生)は石神の犯行に気づいてしまう。

    初めての東野圭吾作品だった。選んだ理由は「なんとなく有名なものだったから」。
    ミステリーはあまり読まない方だが、1ページ目を開いて次に気がついたときは半分を切っていた。それほど物語に引き込まれる。
    自分なりに考察しながら物語を読み進めていた。ホームレスの存在や登場人物のセリフなど、後々生きてきそうだな。と思っていたものは想像通りだった。
    1番最後まで残っていた個人的謎は「石神はどう救われるのだろう。どうしても死体損壊罪とかに問われるよなぁ。」ということ。結果はまさかの殺人罪であった。それどころか庇った花岡母は自首をした。つまり石神の行動は何一つ報われなかったのである。
    こんなにも誰も彼もが報われない物語は初めて読んだかもしれない。それでも嫌な読後感には包まれることはなかった。
    それは石神の花岡母娘に対する異常とも言えるような真摯な対応への驚きが大きな要因だろう。

    東野圭吾作品、他のも読んでみよう。

  • 優秀な頭脳を持つ石神が、片思いの隣人靖子が犯した殺人を隠蔽するのを手伝うストーリー。
    石神が施したトリックが気になりすぎて、何も考えずに後半は一気読みしてしまった。
    靖子が想いを寄せる工藤が現れて浮かれるが、殺人を犯した身分でこんなことをしていていいのかという謙虚さ、石神に裏切られたりしないかという不安が描かれていて同情。
    途中石神が、デートする靖子と工藤を盗撮するシーンがあり、「ああ、殺人隠蔽のトリックを仕掛けられるほど優秀な石神も、恋愛のことになると嫉妬してこんなことしてしまうのか」と思ったが、それすらも隠蔽工作の一部だったことに驚き。

  • とにかく凄かった。としか言えないぐらい、素晴らしい作品
    色々な人の親として、客として、元夫として、隣人として、友人として色んな愛の形が様々な視点から描かれていて、純愛のようで、歪んだ愛なのか、少し踏み込んでしまったら、崩れちゃいそうな、繊細な気持ちを書かれていたのではないかなと思った
    ずっとハラハラしっぱなしであっという間に読んでしまった。まさかの展開もあるし、読み応えもあるし、本当凄い。どんな脳みそをお持ちなのだろう、、、東野先生、、、
    圧倒されすぎて文章や感想が成ってないかもしれません。それぐらい圧倒。

  • [逆に、論理的でありさえすれば、どんな残酷なことでも成し遂げられる人間だ]
    この一言に尽きると思う。やはり圧倒的だった。
    大学時代に偶然手にとって、深夜の高速バスで読み耽った。到着するまでの約3時間で一気に読み終え、号泣した。

    今回はまた違った視点で読み進めることができた。
    [世界という座標に、靖子と美里という二つの点が存在する。彼にはそれが奇跡のように思えた。]
    この文章が意味するところが今の僕には痛いほど共感できる。

  • 最後トリックが全部わかったときの真相にすごい驚きとドキドキが止まりませんでした。ページが多いけどあっという間に読めちゃいました!
    改めてミステリー小説は面白いと思いました(*^▽^*)

  • 続きが気になって一気に読んだ

    石神って何者!?なんか不気味で変な人…学校の先生なのか〜…って思いながら読み進めていった

    愛する人を守るために、自分がかわりに罪を追う

    凄いなぁ
    昔読んだラバーソウルを思い出した


    登場人物が多くないのが良い、分かりやすい

  • 「探偵ガリレオ」はトリックが明かされても超科学的すぎてピンとこずそんなに面白くなかった。しかし本作ではトリックの種明かしを聞いて納得出来たし、何より衝撃的だった。
    ラストに向けて号泣の予感を感じながら唇を噛みしめて読み進め、やはりラストで号泣した。
    「人は健気に生きているだけで、時に誰かを救うことがある」というフレーズを忘れない。

  • ストーリーの面白さ、展開の上手さ、人物の魅力、いくつもポイントはあるけれど、なにより情感に触れる表現がいい。物悲しさもやりきれなさも激しくはないのに、読み手の中に滲むように伝えてくる。何度読み返しても、気持ちが揺れる。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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